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26:ロドニー・デュー視点7

挿絵(By みてみん)


「ドミニク王子からの指名」

とあって、俺はドミニク王子付きの専属護衛に任じられた。


ドミニク王子が王立魔法学院中等部に入学した事で俺も護衛として学院内に出入りするようになった。


学院は基本的に全寮制だが防犯面の都合もあり王族に関しては必ずしも入寮が強要されない。

そのためドミニク王子は王宮からの通学となる。

これもまたゲーム通り。


だが何故王子が俺を指名したのかが腑に落ちない。


二次創作内のホモ話では

「一目惚れした」

というあり得ないこじつけが語られていたが…


(実際のところはどうよ?)

と疑問を感じたので、そのままズバリ尋ねてみたところ


「デュー教官はーーいや、ロドニーは、見た目が強そうに見えないから都合が良いんだよ。剣術の指南を受けるのにもね」

と何の気負いもなく言われた。


(はて?)

と首を傾げると


ドミニク王子が

「…ロドニーはこの国の王宮内の権力をどう思っているのかな?どこまで知ってる?」

と探るような目を向けてきたので


「…殆ど知らないと思います」

と正直に答えた。


何せ前世の記憶が戻る以前の俺は権力などというものに何の興味も関心もなかったのだから、情報を仕入れるツテ自体持ってない。


「…まぁ、おいおい分かるとは思うけど。私の剣術指南役はどうも本気で私に剣術を教えてくれる気が無いようなんだ。

それで学院で過ごす昼休み時間中に自分で鍛錬したいと思ってるのだけど、ロドニーにはその際に私と手合わせをして欲しいんだ」


「…?剣術指南役が本気で剣術を教える気がない、のですか?」


「何事も断言はできないのだけども、そのように感じられる。そういった教師の教え惜しみは剣術だけではないと思うし結果的には独学で習熟していくしかないとも思っている」


「…そうなのですね」


「いかにも強そうな近衛騎士を自分の専属に指名すると、こちらの腹積りがバレてしまうからね。

どんな言い掛かりで私の思惑に横槍が入れられるか分かったものじゃない。

なので強そうに見えないけど強いロドニーのような人に協力してもらって自分を鍛えるのが一番良いと思ったんだ」


「…解りました」



ーーそう答えながら『権力』というものに関して少し考えた。



『権力』は『権益』と結びついた『組織的ヒエラルキー』だ。


こうした実体を理解しておかないと人間は無駄に揉める。


例えばーー

俺の父も異母兄達も俺をイジメるでも排除するでもなく

それでいて距離を置きながら良くしてくれたわけだが…

それはちょっと言うなら「飼い犬を手懐ける」ようなものだ。


「使える手駒をキープしておくために虐げずにおいて感謝を引き出す」

といった事を上手に行える人々は『権力』というものの性質を理解できているからこそ同族イジメのようなアホな行為に耽る事はない。


逆に言うなら

「庶子を嫌悪して虐げ、血族間に無駄な恨みや揉め事を生み出す」

ような貴族は『権力』というものを理解できていない。


『組織的ヒエラルキー』は『派閥』と呼ばれ

『派閥』が『権益』に喰らい込んでいくには

『チーム戦』で勝利し続ける必要がある。


血縁者同士が

同じ陣営の者同士が

骨肉の争いを行う事自体が

「着々とチーム戦で勝利を収めている派閥を有利にしている」

のだ。


この事実に着目した時に

「人心分断工作」

という諜報工作の陰湿さが表面化してくるのである。


因みにこういった諜報工作に関する知識は、この世界で習ったものではない。

前世での自分の家の特異さに由来する知識だ。


木下家は渡来系日本人の家系。

日本の某与党政権とも関わりが深い。


「漢字を構成する部首のアナグラムによって自分自身の本当の名前を隠しながら表現する」

のは渡来人や帰化人にありがちな名前のつけかた。


戦国時代を経て成り上がったかの天下人が当初名乗っていた

「木下」姓もまた、彼が実は渡来人である事を示している。


天下取りを目指す戦いが全国で起きていた乱世ーー。


日本に入り込んで山賊稼業をしていた渡来系の悪党集団が

「この機に乗じて成り上がれないものか」

と欲を持った。


某武将は外国かぶれの過ぎた傾奇者かぶきもの


黒人でさえも武士として取り立ててやるくらいに

「国籍・血のルーツを問わぬ能力主義」

だった事もあり、渡来系悪党集団も上手く取り入る事が出来た。


「木下」家の先祖であるかの天下人がーー


本当に

「主人の仇を打った後に天下取りの夢を主人の代わりに果たした忠義の人物だった」

のか…


そもそもが某臣下の謀反自体が罠もしくは捏造であり

「(歴史さえ捻じ曲げた)主君殺しによる下剋上で成り上がった大罪人だった」

のか…

それは、傍流の子孫である俺の実家にも伝わっていない。


だが…某天下人が行った某半島への出兵ーー。


その行為は

「無駄に日本人兵士達の命を奪った」

ものだった。


「大量の日本人戦闘員の間引き行為」…。


到底許される事ではない。


それ故にーー

「かの天下人が渡来人であった事実を生粋の日本人達に知られる訳にはいかない」

という後ろ暗さを抱えている渡来系日本人もいる。


とは言え、渡来系日本人にも人間性の質は色々だ。


どんな分類をしても質にピンからキリまでの格差が出るように、渡来系日本人にも生粋の日本人にも同じ枠内で人間性の格差があった。

マトモな人間もいれば、ど畜生としか言えないクズもいた。


それと同じ事は日本の近代化が進んで後に日本に入ってきた帰化系日本人達にも当てはまる事だったのだろうが…

連中は同胞間の質の格差を埋め合わせて共闘するために

「反日」

を団結のための求心力に利用した。


つまり、ど畜生のクズが仲間内で湧いても排除はせずに攻撃性・敵視の矛先を「反日」と定めさせる事で許容し、権力闘争におけるテロリスト要員として利用したのだ。

そうやって増長した帰化系日本人による権力は日本人と同化しきれぬ異物権力だった。

そしてそれは増長し過ぎた。


「『自分達の存在』そのものが『罪の果実だ』と自覚できているかいないのか」

という認知の格差が

「悪質化へ進むか否かの分岐点だろう」

と俺は思う。


そこには「益虫と害虫の違い」があるし

「益虫と害虫の戦い」のような歴史があるのだが…

客観的には益虫と害虫の区別などつかない。


悪党である自覚もない悪は、加減も知らず、引き際すら理解できない。


大衆に対しては団結させぬように人心分断。

大衆を常に烏合の衆となさしめる。

そんなデバフを降りかけておく。


それでいて自分達は一族主義のチーム戦で団結。

集団我田引水。

欲による団結に「友愛・絆」などの美化フィルターを被せる。


『権力』というものはどこか報われない側面を持つ。

益虫として民草の命と生活を守ろうとした側が

「害虫の濡れ衣を着せられて憎まれ呪われる」

事すらある。


民草は自分達が助けを必要としていることも

調整を必要としていることにも気づいていない。

だから求められてもいない助けを施すことの難易度も上がる。

求められてもいない調整を施すことの難易度も上がる。


人々は騙されてしまう。


『権力』というものの中では人は

「マトモであればあるほど報われない」

という苦い現実を知る…。


「国民の命と生活を守りたい」

そう願い、それを実践していく。

その行為には盲目的な民草には想像もつかない犠牲が伴う。


そんな報われなさと救われなさを知ってしまう事が

「『権力』の本質を知る」

特異なポジションに生まれた者達のジレンマ…。



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