17:ロドニー・デュー視点6
「死人を出さずにサマーキャンプを終えた」
事で俺達は心底から安心した。
終わってみて
(…二週間って、こんなに長かったんだなぁ)
と、しみじみ思った。
と同時に
(王族の暗殺とか目論むヤツらって「責任問題で暗殺時の護衛の命まで巻き込んで殺す」という自覚とか持ってないのかねぇ…)
という素朴な疑問も浮かんだ。
暗殺者は一見すると殺害対象だけを殺すように見えるがーー
殺害対象が社会的地位が高い場合
「守りきれなかった護衛側に責任追求の手が及び、断罪・処刑される」
のだから要人暗殺者は一人殺すだけで数人道連れで殺せるのだ。
傍迷惑すぎる。
病死や不可抗力の事故死で死んでくれる以外では
王族は常に身近な者達を死に巻き込む…。
とりあえず
『騎士団見習い志願者用研修会、二週間野営コース』
の参加資格は10歳〜12歳の未就学児童なので
ドミニク王子の参加は今回まで。
来年はグレッグ王子のみ。
再来年からは王族の参加者は無し。
(サディアス王太子殿下は過保護に守られ過ぎてて23.8kmの走破は絶対不可能)
アホみたいに魔物・魔獣がドミニク王子とグレッグ王子を狙って襲ってきたので、もはや誰もが
「魔物がテイマーに操られている」
「魔物を操ってるテイマーは王子が狙いだという事を隠す気もない」
のだと悟った。
襲撃者は大概にしつこかったが
「何がなんでも殺す」
と思っているようには思えなかった。
本気で殺す気ならもっと強力な魔物に襲わせた筈だ。
「殺せるなら殺すが、別に殺せなくても構わない」
とでも思っていたのかも知れない。
サマーキャンプを終えた時には
「王子達と仲良くすれば常に危険に巻き込まれる」
というイメージが参加者少年達の心に植え付け付けられていたからだ。
同年代の実力ある者達に
「関わると面倒だ」
と思わせて仲良くならないように仕向け
「王子達に強力な取り巻きを作らせない」。
そんな意図で襲撃させていたのだとしたら…
襲撃を指示した者の思惑は達成されたと言える。
ただ王子以外の攻略対象者達ーー
ダウズウェル公爵家令息ロードリック・クロックフォードと
ブライトウェル辺境伯家令息エリアル・ベニントンは
武闘派として自信を持っているらしくて
「王子と居れば腕試しに事欠かないだろう」
と思った様子。
彼らがゲーム内で王子達との親友ポジションをゲットしてたのと同じく親密度を増したようだった。
(本当にゲームの通りに進むんだろうか…。「ゲームの世界に転生した」ってネタのラノベの定番としては「ここはゲームじゃなくて現実なんだ」と転生者本人が悟ることになるパターンが多かったよな…)
本当にこの世界がゲーム通りに進むとするなら…
この国もこの世界も未来はかなり暗い。
R18指定のゲームらしくキャラ達の下半身はかなりだらしない。
ヒロインが攻略対象とエッチな関係になる難易度はベリーイージーモードの筈だ。
だが悪役令嬢を排除した後にそのままハッピーエンドとはならず
どこぞかのダンジョンでスタンピードが起こっていた筈…。
その後、王国が滅亡。
ヒロインと攻略対象は自分達だけ亡命。
他国の田舎でのんびり暮らすという…
そんなメリーバッドエンドが待ち受けていた筈。
王国の滅亡を回避しようとすると
今度は世界自体の滅亡フラグが立つ。
誰も死なず、王国も世界も滅亡せずに済むような
本当のハッピーエンドは限りなく狭き門らしい。
ハッキリ言って俺は脇役。いわばモブだ。
ヒロインでも攻略対象でもない以上、
どんなにハッピーエンドを願っても何もできない。
(…俺は俺なりに限られた時間の中で人生楽しんで気ままに生きよう…)
と割り切って楽しむしかないのだ…。
近衛騎士ーー。
結構美味しい仕事である。
王城で働く者は見目の良い者が多い。
女官も侍女も美女揃いだ。
王女や王妃に惚れられたりしたら身の破滅だが…
それ以外の相手との恋愛は自由。
近衛騎士はモテる。
妊娠さえさせなければ入れ食い状態が持続。
(楽しめる間だけ楽しめば良いんだ)
と、そう思っていたーー。




