表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
カノン  作者: 暦海


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

6/11

現実?

「……やっぱり、夢じゃなかった……」



 それから、翌朝のこと。

 目が覚めて、ぼんやりとしつつポツリと呟く。そんなぼくの視界には、昨日も目にした真っ白な天井が……うん、夢じゃなかった。ぼくは、本当に――




「――あっ、おはようハイノ! よく眠れた?」

「……あ、うん……その、お陰さまで」

「ふふっ、それはよかった」



 その後、ややあって階段を降り、控えめにリビングへと入るぼく。すると、満面の笑顔でぼくの方へと駆け寄り挨拶をしてくれる少女・エルナ。続けて、キッチンから穏やかに微笑み挨拶をしてくれるパパとママ。……しまった、最後に起きるなんて申し訳な……ううん、よそう。きっと、こういうことで罪悪感を覚えるのは家族の一員として不自然だと思うし。





「――ところで、ハイノ。色々と頭の整理が追いついていなかっただろうから、昨日は聞かなかったけど、学校には通っているのかい」

「……へっ? ……あっ、その、通っていませ……ううん、通ってない、かな。その、もう何年も前から……」



 それから、数十分後。

 朝食の席にて、穏やかに微笑み問い掛けるパパ。ちなみに、呼び方が変わっているのは昨日の話し合いでそう決まったため。家族になったんだから、お互いに家族として自然な呼び方にしようという話になり、ぼくのことはハイノ、お父さまとお母さまのことはパパ、ママと呼ぶことになったわけで。そして、家族なんだから敬語も止めるように言われたけれど、やっぱりすぐには難しくて……うん、努力します。


 ……ところで、それはそうと……うん、やっぱり悪いよね、印象。この歳で、学校に行っていないなんて――


 

「……そっか。ちなみに、通いたいと思う気持ちはあるのかな?」

「……へっ? ……えっと、まあ……」

「うん、だったらエルナと同じ学校はどうかな? もちろん、入学の手続きはこちらでしておくから」

「……へっ? ……その、いいの?」

「うん、もちろん。そんなに日にちはかからないと思うから、楽しみに待っていてね」

「最初は緊張しちゃうかもしれないけど、ハイノくんならきっとみんなと仲良くなれるわ。頑張ってね」

「……パパ、ママ……うん、ありがとう」


 だけど、そんなぼくの不安を吹き飛ばすように暖かな笑顔でそう言ってくれるパパとママ。……うん、ありがとう。二人の気持ちを無駄にしないよう、勉強も運動も頑張らなくっちゃ。


「――やった、これからは学校でも一緒だ! よろしくね、ハイノ!」

「……エルナ……うん、よろしくね」


 すると、隣でそう告げてくれるエルナ。その明るい声や満面の笑顔から、本当に喜んでくれているのがはっきりと伝わって……うん、ありがとう。そして、よろしくねエルナ。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ