再びのチャレンジ
「……どうかな、エルナ」
「……うん、さっきと変わらないかな」
「……うん、だよね」
それから、二週間ほど経た宵の頃。
そう尋ねると、控えめな口調で答えるエルナ。……うん、そうだよね。ぼくもそう思うし。……うん、本当に申し訳ない。
さて、何の話かというと……うん、言うまでもないかな。例によって、隣でくっついてピアノの演奏――次のコンクールに向け、日々練習を続けているわけで。
……だけど、一向に手応えはなく。そもそも、何とも情けないことに我ながら全く成長していない。言い訳なのは分かってるけど、やる気がないわけじゃない。何としてもエルナの期待に応えようと、ぼくなりに頑張っているつもりではあって。……だけど、それでも――
「……その、ほんとにごめんねエルナ」
「ううん、気にしないでハイノ。ハイノは頑張ったんだから!」
それから、二週間ほど経て。
茜に染まる帰り道にてそう伝えると、優しく微笑み励ましてくれるエルナ。だけど、残念そうな様子は隠しきれてはいなくて……うん、ごめんねエルナ。
さて、何の話かというと……うん、言うまでもないかな。再びチャレンジしたコンクールにて、今回も賞には至らず……というか、前よりも賞から遠ざかったくらいで。……うん、このままじゃ本当にずっと――
「……ねえ、ハイノ。ちょっとだけ、寄り道していかない?」
「……へっ?」




