コンクールを終えて
「……その、ごめんねエルナ。せっかく練習に付き合ってくれて、今日もすごく応援もしてくれたのに」
「そんなの気にしないで。ハイノはすっごく頑張ったんだから! それに、惜しいところまではいったんだし」
「……うん、ありがとエルナ」
それから、数時間後。
オレンジ色に染まる帰り道にて、隣でぐっとこぶしを握り励ましてくれる可憐な少女。……うん、ありがとエルナ。
ところで、結果についてだけど……うん、改めて言うまでもないかな。今、エルナの言った通り惜しいところまではいったんだけど、残念ながら賞には届かず……うん、ほんとに申し訳ない。
「……そっか。でも、頑張ったんだよねハイノ」
「……うん、まあ……」
「それならいいじゃない。ごめんね、私達も観に行きたかったんだけど」
「あ、ううん気にしないで! ありがと、パパ、ママ」
それから、一時間ほど経て。
ダイニングテーブルの向こうから、穏やかに微笑み話すパパとママ。言うまでもなく、今日のコンクールに関してで……うん、ありがとう二人とも。
さて、今夜の食卓はいつも以上に豪華で。理由は――まあ、流石に聞くまでもなく。結果はどうであれ、今日のことを労うために用意してくれたのは明白で。
「――でもさ、ほんとに惜しかったんだよ! ほんとにもう少しで――」
すると、スプーンを持つ手をぐっと握り褒めてくれるエルナ。そして、その言葉を受け同じく褒めてくれるパパとママ。……ありがとう、みんな……そして、ごめんね。




