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三日目

日露戦争での勝者は日本(大日本帝国)だった。

だが、完璧な勝利ではなかった。


ロシア側も日本側も疲弊していて、

ロシアが降伏を示した。


だが、ただの降伏ではなく、

それは、賠償金を一切支払わないとい条件付きでの

降伏だった。


これに賛成しなければ、

まだ戦争を続けるぞ、

という、脅しに近いものだった。


だが、日本側も限界だった。


こうして、

明治三十八年、日本とロシアの代表の間で「日露講和条約(ポーツマス条約)」が締結された。


条約の内容は、ロシアは日本に対して一切の賠償金を支払わず、領土については、日本軍が占領していたサハリン島のうち南半分を日本の領土とし、ロシアが有していた中国東北部の権益は日本に譲渡される、というものだった。


一応日本に利益はあり、

日本は韓国の保護権、遼東半島南部の租借権、

南満州鉄道の経営権、南樺太の割譲などを獲得し、大陸進出を果たした。


だが、賠償金のない勝利に、

日本国民は不満を感じていたのだった…


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


五月四日

生き残って分かった事がある。

この地獄を、俺以外も味わっているということに。


昨日、俺は命令された通り、

鐘がなった後、銃口を自分に向けて、

引き金を引いた。


“カチッ“と音がして、

自分が生き残ったのに安堵した瞬間だった。


別の監房から“バンッ”と、

銃声がした。


それも一つじゃない、

そのすぐ後にも音がした。


俺の想像が正しければ、

二人、同胞が死んだ。


これは遊びなんかじゃない…

ただの処刑だ。


俺達が死ぬのを楽しんでやがる…


そんなに俺達が憎いか!

そっちから責めてきた癖に!


俺達が何をした!

国は違えど、同じ血の通った人間なんだぞ!


どうしてこんな酷いことができるんだ…


奴ら人間じゃない!

日本人は人間なんかじゃない!


悪魔だ!

ただ人を殺すことに快感を覚える変態だ!


俺だってな、何人もお前らの仲間を殺した。

だからって、こんな事される筋合いはない!


もう既に俺の足を吹っ飛ばして、

普通の生活を出来なくしてるんだ…


殺すなら、もっと普通に殺してくれよ、

戦場で殺してくれよ!


俺を兵士として殺してくれ!

俺達は玩具でもネズミでもない、

人間だ!


……こんな所に書いても無駄か…


そういえば奴ら、変なこと言ってたな…

確か「なんで金が来ないんだ」とかなんとか…


もしかして、

兵士にやる金すらなくなったのか日本は、

やっぱりロシアが負けたなんてデタラメだったんだ。


こんな小さな島国に負けるはずがないからな!

ロシア万歳!


……こう考えると、やっぱり死にたくないな。

国が帰りを待っててくれてる。


絶対に生き延びてやる。


この弾を詰めれば、半分。

六分の三…二分の一…


一応弾は、まばらに詰めた。

これで確実に二分の一だ。


それじゃあ、

生きてたら続きを書くよ…


ニコロベス・ニコライ・チャフネスキー















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