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魔王 ホリー・アイネス

でっかい猫を家に連れて帰った。すると使用人たちはとてもびっくりしていた。使用人たちが言うには、このでっかい猫は”二尾猫大神”というらしく何かの才を持った人にしか懐かない猫らしく、この世界では神の使いといわれている。この二尾猫大神を飼っていいかと父に聞いてみると、周りに言いふらさない条件付きで許可された。そして、母は傷だらけの自分の手当てをしながら、なんの才を持っているのかとずっと考えていた。姉は珍しく気を遣ってくれるようになった。




しばらくして、




「ステ。あなたには勉学の才があると思うの。今まではほどほどにやっていたけど、これからは力を入れてみましょう!!」




「え。」




 母はそういうと、自分の手と足、そして口を縄で使用人に縛らせて馬車に乗せた。




「ん゛ん゛ん゛ん゛!!」




 必死に馬車の中で暴れるが使用人たちに抑えられる。


(あらかじめ連れてくように準備してやがったな...)そう思い、暴れるのを諦めた。


 


 馬車で揺られること二十分。着いたのはアルセーグルという街で、この地域ではかなり大きい町である。


王都にも近く商人がたくさんやってくる。




「ほら、ステ。今日からあなたが勉強を教えてもらう塾よ」




 見てみると、看板に魔法学校学科試験合格や宮廷職員試験突破などと書いてあり、一目見ただけでもとてもイカれている塾と分かる。




 「お待ちしておりました。イプスン・ステリオ様。こちらへどうぞ。」




 そう塾の職員らしき人が言うと、奥のVIP室みたいなところに案内された。........縄で縛られたままで。


椅子に縛られたまま置かれていると、母親は別室に呼ばれて自分一人になってしまった。


 (なんで縛られたまま放置されなきゃならないんだよ)




 しばらくすると、部屋のノックが3回なると金髪の女が入ってきた


(金髪.....なんか見たことのある顔だな.............っ!!あの魔法使いだ!!)


その女はこの前に攻撃してきた金髪の女だった




 「やあ、イプスン・ステリオくん」




 逃げようにも縄で縛られて逃げられない




「まあ、逃げようとするな。危害を加えたりしないよ」




 そう言い、自分を縛っていた縄を解いた。自分はすぐに杖を取り出し、攻撃魔法で目眩しをしながら逃げようとしたが、撃てない。やはり撃てない。




「君は撃てないよ。一回落ち着いて話そう」




 女はそう言うと両手を上げた。




「ほら、後ろの二尾猫大神だって落ち着いているだろう」




「お前いつの間に!」




自分を襲ったものを目の前にしてこんなにも落ち着いていた。




「わかった」




 そう言うと杖をしまい、椅子に座る。




「いやぁ、久しいな。あの件以来だ...君がこんなにも強かったとはな」




「なぜ、あのとき自分を攻撃してきた。」




「魔王連合から処分命令が出てたのさ。魔王連合は実力主義だ。弱い者は、たとえ友だろうと容赦なく殺す。アルシヌはいつも使えん奴を魔王連合の助っ人などとほざいて、何回も送ってきた。今回も同類なのだろうと、早々に処分したかったんだろうな」




「魔王連合ってなんだよ。お前は魔王なのか?」




「魔王連合は、昔の魔王たちがこの世界の秩序を守るために設立した組織だ。今は八人が所属している。


そのうちの一人がこの私、ホリー・アイネスだ。」




「へぇ。じゃあ、なんでここにいるんだよ。」




「我々魔王は、この世界の各地域ごとに散らばって魔王だとバレないように働いたりし、一般市民として活動している。私はこのアルセーグル周辺が管轄だ。この町はいいな。とても賑やかで、高台に位置している。下の町が一目瞭然だ。.........さて、前置きはここまでだ。本題に入ろう。私は君に魔法教育をするために来た。この前、私と君が戦ったとき、君は圧倒的な力で私を撃退した。しかし、普段は君は基礎的な魔法しか撃てない。なぜ、いつも強力な魔法を使えないのか?それは、君が魔法の本質を理解していないからだ。あのとき強力な魔法が使えたのは君自身が持っている防衛本能が働いて反射的に行ったものだろう。


これからは、普段から使えるようにしてもらう」




「勉強の方はどうするんだ。母は勉強させるつもりでこの塾に自分を入れたんだぞ。」




「まあ、ぼちぼちやっていくさ。君のお母さんが希望した数学や化学は魔法総合学と似ている。多少抜かしても問題はないだろう」




「わかった。それで、今日から授業を始めるのか?」




「いや、今日じゃない。また来週の同じ日に来てくれ。初回授業はその日だ」




「わかった」




自分はそう言って、部屋を出ようとすると。アイネスに止められた。




「これを、初回授業までにやって来て提出してくれ。」




それは、山ほど積まれた宿題だった。




「え....デキナイ」




「出来ないじゃない、やるんだ」




「........ハイ」




そう言うとアイネスは笑顔で見送ってくれた。













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