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竜とつづら  作者: 夢見卵
第一章
1/5

プロローグ

初めまして、夢見卵と申します。

私の処女作となるファンタジーものです。実は書籍化目指してます。夢見てますねぇ……。


現状私生活がなかなかに忙しいので、更新速度は遅めになってしまうと思われます。

勝手がわからぬ故読みにくい箇所も多分にあると思いますが、暖かい目で見守っていただけると幸いです。冷たい目で見られるのもそれはそれで嬉しいです。


あわよくばですが、評価や誤字脱字並びにおかしな表現の指摘を含めた感想・応援を送ってくださると喜びます。孵化します。

いっぱいちょうだい♡



では、どうぞ。

 ——昔々から王国に伝わる、古い時代のお伽話(とぎばなし)


 かつて世界には、人類のほかに竜が存在していた。

 灼熱の炎を吐き、おおきな翼を羽ばたかせ空を飛ぶ、強大で凶悪な恐怖と暴力の象徴たる竜。


 そんな竜達の持つ絶大な力に恐れを抱きながら、かつての人々は支配される生活を送っていた。


 なれど、いくら人間が臆病だとて、抑圧による支配がいつまでも続くことはない。

 人々は虐げられる日々に次第に不満を募らせていき、ついには反旗を翻す。

 その手に武器を取り、束になって竜に戦いを挑んだのだ。力の差を量で埋め、足りない分は意地と絆で賄って。


 しかし、矮小な存在がどれだけ徒党を組んだとしても、巨大な竜からすればそれは目障りな虫けら以外の何物でもない。

 ちっぽけな人間が歯向かうことに腹を立てた竜の王は、純粋な破壊の力で人々の暮らしを尽く崩壊させた。


 地を割り、森を焼き払い、通ったその後には草木の一本すら残らない。彼は数多の土地を不毛に変えてしまった。悪虐を尽くし怒りの咆哮を轟かせ、竜の王は三日三晩暴れ続けたと言われている。


 暴走し人々を脅かすその邪悪な竜の前に、ある一人の男が立ちはだかった。

 竜の王と対峙したその男は、竜と人間の、生物としての絶対的な差をまるでものともせずに戦いを進めたという。

 彼は一本の剣と体術で竜の王を圧倒し、最後には見事悪しき竜の王を討ち取った。

 そうして人々を救った男は、やがて王となり『レキュム王国』を作り上げた。

 後に、彼は『建国の英雄』と謳われるようになる。


 竜との戦いに勝利し、自由を勝ち取った人類。大戦で疲弊しきった彼らにも、束の間の安寧が訪れる。

 しかし、人類に降りかかる災難は、これで終わりではなかった。

 ある日突然、レキュム王国に、人と竜の特徴を併せ持った存在——竜人(りゅうじん)が現れたのだ。

 彼ら竜人は、竜の恐ろしさを知る者からすればまさしく忌避と恐怖の対象そのもの。人々から不吉の象徴と囃され、蔑まれた。


 その上、人の形をした黒い怪物まで同時に出現し、王国を襲い始める。残虐で冷酷な、悪魔のような性格と魔法のような力を持つことから、人々は恐れを込めて彼らを『魔族(まぞく)』と呼んだ。

 ようやく手に入れた自由を手放すまいと応戦する人類だったが、およそ人型の生物とは思えない力を持つ魔族に追い詰められ、瞬く間に王国は亡国の危機に陥った。


 あわや陥落となったところで、再度かの『建国の英雄』が立ち上がる。彼はこれまで人々から蔑まれていた竜人と協力し、王国を魔族から守り抜くことに成功した。

 そして英雄は王国と竜人の共生を宣言し、人と竜人は手を取り合って日々を歩んでいく平和な道を選んだ。


 ——これが、レキュム王国の始まりと言われるお話と、『建国の英雄』伝説。


 親から子へ、子から孫へ。そうして後世へと語り継がれ紡がれてきたこの物語は、いつしか王国の誰しもが知るお伽話へとその姿を変えていった。



 人と竜人がともに暮らす国——レキュム王国では、今日も誰かがこのお伽話を、風に乗せて物語る。

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