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待夢花風世涙
止まらずに滲む景色の隣
擦り切れるレコード
針は飛び掠れた声の
心の海に波が押し寄せ
時間に逆らって泳ぐ
何時も僕は
君の渇れた庭に
花を一輪咲かせたいのに
青い空も土の色も
霞んで見えない
昨日に戻り遡れなくて…
もがき苦しんで
種も見つけられず
何時しか水も無くなって
気付いた時には
飛ばされていた
根も葉も無い
陽のあたらない世界
忘れずに昨日の君を想い出し
溜息混じりにつけたノート
白い頁に書き綴る
珈琲の香りと
窓から覗く白昼夢の朝靄
残酷に流れる雲
愛と言う言葉の意味
疑わずいたのに
空の色も海の色も
意味なんて無かった
あの時、手を繋いでいれば…
言葉以上にも
指先以下にも
どんな事よりも細やかでも
二人の温もりで
花は咲いていた
暖かな陽射しで
包まれた此の世界




