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弥生ともう一つの世界  作者: Runa
序話
3/51

もう一つの歴史、誕生の歴史

この物語はフィクションです。ご了承ください。

 夢石ゆめいし

 人魚から生み出された、魔力を持つ宝玉のこと。夢石は一匹の生きた人魚を生贄にして生み出される。


 太陽に照らさなくても燦然さんぜんと輝く人魚のうろこ。


 不老不死になれるという伝説がある人魚の涙。


 真珠の輝きのように美しく、尾ひれまで長く伸びた人魚の髪。


 全ての生き物達を魅了するほどの影響力を持つ人魚の歌声。


 死ぬ時にしか出てこない、魔力を秘めたる人魚の泡。


 夢石はのちに“海の世界”の宝になり、白の人魚族と黒の人魚族という二つの部族がこの宝玉が原因で奪い争っていく。


 これはまだ、夢石が生まれたばかりの時代に起こった一つの物語。




 太古の大昔。夢石が誕生したばかりの頃。

 名前のない海の世界でまだ敵対視してなかった二つの部族は平行線を保っていた。その頃は夢石に魔力が宿っているとは思っていなかった白の人魚族とは違い、すでに魔法を身につけた黒の人魚族は夢石の力に目をつけていた。表向きはあくまでも夢石には興味がないふりをして、本心は悪巧みを企む部族だった。そのため夢石は、泡になった人魚姫の子孫で純粋な心を持つ、白の人魚族の手に渡り、厳重に守られていた。


 ところが、事態は一変する。


 ある日のこと。今日は一大イベントのような出来事がある訳でもない普通の日。時刻は夜。

「うおおおぉぉぉっーーーー!」

 雄叫びと共にやってきた黒の人魚族が侵入攻撃を仕掛けてきたのだ。人数は千人を超える。

 目的は当然、夢石である。

「黒の人魚族だ!」

「なぜ、ここにいる!?」

 というのも黒の人魚族はあらかじめ別の仲間グループが一番白の人魚族が住む一帯に攻撃を仕掛け、大半をそちらに向かせて時間稼ぎをしていたのだ。そのため、人数は手薄となり攻めやすくなったという黒の人魚族の作戦勝ち。

 しかし、人数が少なくとも少ない人数で黒の人魚族に抵抗。夢石を守り抜こうと奮闘する。


 けれども。


「馬鹿め、我々には秘密兵器がある。既に勝ったのも同然」

「ああ、あの魔術を使おう」

彼奴等あいつら、慌てふためくぞ」

 黒の人魚族達はここで空間をねじ曲げる魔術を発動させた。当然、白の人魚族達は当時、魔術は一切使えず見たこともなかった。

「な、なんだ!?」

「奴ら……何か仕掛けてくるぞ!」

「慌てるな! 奴らの思うツボだ!」

 当然、周りの白の人魚族達は慌てふためいた。リーダーの声が届かないほどに。

 白の人魚族達が大混乱していると、空間に異変が起き始めた。黒の人魚族達の魔術が力を発揮し、空間が一部切り離され始めたという。


 しばらくの間、空間から空間へと移動し続けた。

 だが空間移動も終止符を打たれる出来事が起こったという。


「宝玉が、宝玉が」

 宝玉の姿が変わり始めたらしいのだ。

 宝玉はみるみる内に鏡へと変化を遂げた。その鏡は後にもう一つの世界の秘宝につながっていく。

 宝玉が鏡に変化したと同時に空間移動が停止し、空間に安定感が生まれた。


 ここにもう一つの世界が誕生した瞬間である。


 その後、もう一つの世界は文明が開いていき、閉鎖された空間のためか独自の文化が生まれたという。

 しかし、閉鎖された空間の情報が世に出回ることはなかった。



 ーー海堂図書館所蔵「もう一つの世界の歴史書」よりーー



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