魔王の旅の支度
連続投稿です
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「お姉ちゃん!ベッドとてもふかふかだよ!」
「おお!ほんとだ!体が沈むねー」
一通り騒いで少し疲れたから休んでいると夜深が唐突に
「ねぇ、お姉ちゃん」
「ん?なーに?」
「お姉ちゃんは明日旅に出るんだよね?」
ということをうつむきながら聞いてきた。
「・・・うん」
「その旅に私も付いて行っちゃだめ?」
夜深はあたしのことが心配なのだろう。その感情が夜深が発した言葉の端々に乗せられていた。
「ほんとはあたしも夜深と一緒がいいんだけどあたしは魔王で夜深は勇者だからそれぞれのするべきことがあるからそれはできないんだよね。それにあたしの旅は元の世界に帰ることにも関係してくるかもしれないしね。だからそれまで待っていてほしい」
「・・・お姉ちゃん。うん、分かった。お姉ちゃんがそう言うなら私待ってる。お姉ちゃんはいつも私が困ってるとき助けてくれたもんね!」
「あたしは必ず元の世界に帰る手段を探す。それがたとえあたしや夜深、もしくはあたしたちの大切な人を犠牲にしてでも帰れることだったとしても」
あたしは決意した。人を傷つけても元の世界に帰ることを。たとえ、世界中の人から蔑まれようとも夜深を元の世界に帰してあげることを。そして、あたしか夜深、どちらかしか帰れなかった場合、恨まれても夜深を帰し、あたしはこの世界に残ることを。
あたしの言葉に満足したらしい夜深はウトウトと目をこすった。
「眠いの?」
「うん、ちょっと色々あって疲れちゃった」
それは無理もないなと、あたしは思った。
普通に暮らしていただけなのに異世界に召喚され、わけのわからない状況の中、勇者になってくれませんか?と言われたのだ。
「じゃあ、寝よっか」
「うん」
あたしたちはベッドに入り込み、すぐに眠りについた。
◆◇◆◇
夜が明けて理夜は旅の支度をしていた。
支度といっても昨日、陛下から貰った2振りの剣を両腰に付けるだけなのだが。
準備が出来たところでふと先ほど窓際に近寄ったときに聞こえた【血塗られた禁書庫】と呼ばれる書庫があることを思い出した。
「陛下に聞いたらそこに入れるかな?」
呟きながら部屋を後にした。
近くにいたメイドさんに陛下の居場所を聞き陛下のところへ行った。
陛下のいる部屋に着き扉をノックするとさほど間をおかずして返事があった。
「入れ」
「失礼しまーす」
部屋に入るとそこには夜深もいた。
「あれ、お姉ちゃんどうしたの?」
「リヨ殿か。どうしたのじゃ?」
二人とも同じ反応・・・。なんか夜深は陛下に馴染んでるし・・・なんか複雑な気分。いや、そうじゃなくて、
「えーと、この城には【血塗られた禁書庫】ってとこあるんでしょ?」
「ああ、あるにはあるが・・・そこに眠る魔道書は過去に習得しようとした魔術師が失敗して死んだと噂があるぞ?」
「・・・お姉ちゃん?そんな危険なとこ行くつもりなの?」
さすがはあたしの妹だね!あたしの言わんとしてることにもう気付いたよ
「うん。行きたいなーって思ったから陛下のところに許可をもらいに来たんだよ」
「本当は駄目なんじゃが昨日のリヨ殿の言葉を信用して特別に入ることを許可しよう」
「ほんと!ありがとうございます!」
あたしは陛下に対して昨日皇子が陛下にしたような礼をした。
ふぅ~。連続投稿は少し疲れるw
次回投稿予定日は5月12日です