仲間との邂逅
お久しぶりです!
最近なかなかネタが思い浮かばず更新出来ませんでしたw
それではどうぞ!
夜深が居る城を出発してから3日、あたしは魔王を信仰する国、ジャミル帝国への道を旅していた。
城に居たころに皇子や陛下から道中、魔物に気をつけてなと言われて警戒していたが気配すら感じないので順調に進んでいた。
『リヨ、そろそろ休憩しませんか?』
この子はシャルルといって城の【血塗られた禁書庫】に安置されていた魔道書に宿る精霊で、背丈は約10cmで銀色の綺麗な髪をしていて瞳も銀色の見目麗しい精霊だ。
シャルルの言葉に微笑みながら返事を返す。
「そうだねー。あたしの肩に乗ってるシャルルはともかく、あたしはかれこれ4時間は歩きっぱなしだもんねー、とっても疲れたよー」
ちょっと嫌味っぽく言うとシャルルは、「あうあう」と言いながら目の前を右へふらふら~左へふらふら~とせわしなく行き来し始めた。・・・どんなけ罪悪感感じてたの?シャルさん・・・
「冗談だよー、シャルルをちょっと試しただけだよー」
あたしはくすくすと笑いながらシャルルをからかった。
『じょ、冗談だったんですか?!・・・リヨはひどいです』
シャルルはあたしの頭の上までふらふらと行くと頭の上で体育座りであたしの頭に”の”を書き始めた。
(?!・・・やばい、シャルルかわいすぎる・・・!)
しゃるるが立ち直るまであたしは自分の理性を落ち着けるので精一杯だった。
「ふぅ〜、流石に疲れたねー」
『お疲れ様です~』
近場のオアシスに立ち寄り、休憩しながらシャルルとの雑談に花を咲かせていた。
「むぅ~、どうしてだろ?」
『リヨ?どうしたんです?』
シャルルはかわいらしくこてんと小首を傾げながら問いかけてきた。
「ん~、皇子や陛下から道中魔物に気を付けるように言われてたんだけどここまで一切魔物と出会ってないよね?」
「そういえばそうですね。・・・なにか不気味です。気を抜かないように慎重に行きましょう」
そうしてあたしたちは休憩を終えて再び歩き出した。
◆◆◆◆◆
現在大勢の賊っぽい人たちに囲まれ中
「・・・どうしてこうなったんだろうね?」
『私に聞かれてもわからないですよ』
ということで回想~
☆★
あたしたちはあれから大分歩いてやっとジャミル帝国の一端が見えるくらいのところまできた。
「・・・まだこんなに歩かないとダメかー」
『しっかりしてください!見えてるんです!あと一頑張りです!』
シャルはあたしを応援してくれている。
その様子は幼い子供が物事に一生懸命になっている様子でとてもかわいい。
・・・シャルル見てたら元気わいてきた!
「よし!頑張ろー!」
『おー!です!』
シャルはかわいらしく右手を上へ掲げて励ましてくれる。
・・・やばっ、鼻血が出そうなほどかわいい・・・!
っと、そこであたしはシャルの本性を思い出した。
「そういえばシャルルって魔道書に宿る精霊だよね?」
『はい、そうですが・・・』
「魔道書に空飛ぶ魔術ってないの?」
『・・・あります』
シャルルは苦笑いを浮かべながら返答した。
「・・・あるんなら言ってよ」
あたしは少々肩を落としながらシャルルをジト目で見つめる。
『そ、そういう目で見ないでぇ~』
するとシャルルはわたわたと手で顔を隠そうとしている。
「ふふっ、冗談だよー、そんなことより空飛ぶ魔術教えてー」
シャルルは待ってました!と言わんばかりに小さなダイヤモンドのようにつぶらな瞳をキラキラさせてどんっと胸を張って「わかりました!」と答えてくれた。
『今から言うことは他の魔術にも言えることですがどの魔術もイメージするだけで使えますがほとんどの人は詠唱なしではイメージしずらいので詠唱して魔術を使います。話がずれましたが飛行魔術を使うには”空を飛んでる自分”をイメージすれば飛ぶことが出来ます。発動時に術名を発声するとスムーズに術を展開できます』
へー、ただイメージするだけでいいのかー
あたしはふむふむと相槌を打ちながら頭に叩きこむ。
「わかったよー、ありがとねー」
やり方が分かれば早速使うしかないじゃないの!
そしてあたしは光の翼を背中にはやして空を飛ぶ自分をイメージした。
「≪光の翼≫」
術を唱えると背中から光の翼が生えてきた。
・・・翅はあたしの飛びたいっていうイメージと連動して動くみたいだねー
「よし!じゃあこっから飛んで行こうかー」
『分かりました!』
空を飛んでいると馬車が賊とおもしき人たちに襲われていた。
・・・助けに行こうかー
「シャルル、少し寄り道するよー」
と、シャルルに言うとシャルルは分かっていたかのように首肯した。
そしてあたしは馬車と賊の間に降り立った。
☆★
「危ないですよ?!私の事は放っておいていいので逃げて下さい!」
あたしが降り立ってすぐ馬車の中に居たあたしと同じくらいの年齢の美少女があたしに忠告してきた。
・・・他人を思いやれるのはいいことだけどこんな状況で自分より他人を思いやるのはダメだなー
「あたしは大丈夫だと思ったからあなたを助けに来たんだけど?」
あたしはあえて冷たく言う。
「で、でも!もう、これ以上・・私の為に・・人が傷つくのは、見たく、ないんです・・」
少女は俯き悲しそうに顔を歪めながらぽつりぽつりとこぼした。
「それはそれだけ貴方はいろんな人から親しまれてるから貴方を守るために傷つき、死んでいったんじゃない。だったらその人たちの想いを無駄にしちゃダメだとは思わないの?」
あたしがそういうと少女は俯いていた顔をあげ、あたしと目を合わした。
「・・・そう、ですね。あなたの言うとおりです。」
その言葉を聞き、あたしはにっこりと笑みを浮かべた。
「よろしい。じゃあこいつらをちゃちゃっと片付けるよー」
くるりと賊の方へ振り返るとぎゃあぎゃあと喚いていた。
「ん?なんて言ってるの?」
問いかけてから遮音の魔術を使っていたんだったと思いだした。
「そう言えば遮音の魔術と結界を張ってたんだっけー、じゃあこのままでいいやー」
そしてあたしはイメージする。
蒼き空から降り注ぐ雷の雨を。何人たりともよけることの許されない雷を。
「≪焼却万来≫」
あたしが術を唱えると空からいくつもの雷が降り注ぎ、視界が光で埋め尽くされる。
光がやむと辺り一面が焼け野原となっていた。
「・・・やりすぎちゃったかなー」
あたしは内心で反省する。
ため息ついてから少女へと向き直る。
「もう大丈夫・・・どうしたのー?」
少女は目をこれでもかと言うほど見開き、可憐な顔は驚愕で彩られている。
「殺した、のですか?」
少女は口元を手で覆い隠してあたしに問い掛けてくる。
・・・この子は優しいのか、ただのバカなのか、どっちなんだろね~
「いんや?見かけはすごいけどあの人たちはただ気絶してるだけだよー」
あたしがそういうと少女は心から安堵したように座り込んだ。
「大丈夫?怪我はない?」
あたしが少女の瞳を覗き込みながら聞くと少女は頷きながら答えた。
「はい、ありがとうございました・・・」
よくよく少女を見てみるとなかなかに可愛いね~
透き通るようなアクアブルーの髪にキラキラ輝いて見えるコバルトブルーの瞳、顔つきもしっかりまとまっていて小さく体つきもまだ幼さを残してはいるが絹のようなすべすべの肌をしている。
「はぅ?!\\\」
少女はあたしの顔を見た瞬間、顔をゆでダコのように真っ赤にしてまた俯いてしまった。
「どうしたの?」
「いいいいえ!にゃんでもないでふ!」
「・・・何があったのか分からないけど落ち着いて喋ろうね?」
「ひゃい!」
・・・あたしって、怖いの?