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新たな未来を求めて  作者: イーヴァルディ
第三章 悠遠の翼
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第二百九十一話 古代竜の祝福

久しぶりに投稿します。


この話自体は8月の時点で完成していましたが後の話が難航に難航を重ねて遅れにおくれました。

閃光の稲妻がフィールドを駆け抜ける。


ハイロスによって放たれたミスティックゲイザーをそのまま返したリリィ。だが、返したというにはあまりにも違う。まるで、吸収してから放ったかのように。


フィールドを駆け抜けるミスティックゲイザーに真っ先に動いたのはリリーナだった。迫り来るミスティックゲイザーにアークベルラを叩きつけた瞬間ミスティックゲイザーが消え去る。


「アークベルラ・プライ!」


そのままリリーナはその手にアークベルラを作り出してリリィに向かって放っていた。


本来なら消されたことでリリィの動きは止まっているだろう。だが、リリィは止まっていなかった。むしろ、体を捻るように動かして作り出されたアークベルラ・プライを回避しつつリリーナとの距離を詰める。


「アサルト」


「アークベルラ・カース!」


リリィがアークレイリアを振り抜くより早くリリーナがバックステップをしながらアークベルラをフィールドに突き刺していた。


リリィはそのまま前に踏み込みアークベルラに向かってアークレイリアの光刃アクセルエッジを振り抜こうとした瞬間、アクセルエッジが受け止められた。


地面から生えたアークベルラの刃によって。


「っつ!」


すかさずリリィが後ろに下がる。だが、それを逃すほどリリーナは甘くない。


「逃がさないよ!」


勢い良くアークベルラをリリィに向かって投擲する。アークベルラは回転しながらリリィに迫り、リリィはとっさにアクセルエッジで弾いたはずだった。


「きゃっ」


だが、弾かれたのリリィの方。何とか翼を使って姿勢を戻すがその視界の隅に純白の鎧が映った。


「隙だらけだ!」


「ワールドエンド!!」


飛び上がりながら斬りかかってきたハイロスに対し拒絶の力で弾き返すリリィ。だが、それは致命的な隙を晒していた。


「アークベルラ・キラー!」


一直線に駆け抜けてきたリリーナがアークベルラを振り抜く。リリィはアークベルラをアクセルエッジで受け止め、そして、アクセルエッジが砕け散った。


「なっ」


リリーナはそれを見ながら振り抜いた勢いのまま回転する。そして、再度リリィにアークベルラを叩きつけた。リリィはそれをアークレイリアで受け止めるのではなく、踏み込んで腕でアークベルラの柄を受け止める。


背後に拒絶の力であるワールドエンドを展開したままで。


「今のを受け止められるとはね」


「簡単に勝てると思わないことね、リリーナ」


二人が同時に矛を収めて後ろに下がる。それと同時にハイロスが二人がいた場所を斬り裂いていた。


両者の間に位置するハイロス。リリィもリリーナもハイロスを挟んで睨み合っている。


「余裕だな、二人共」


「そうでもないよ。リリィもハイロスもお互いに気を抜けばやられる攻撃ばかりだからね」


「そうそう。だから、本気で行くわよ」


そう言いながらリリィは手のひらを地面に叩きつけた。


「天界には天界の戦い方ってものがあるのよ!」






激しくぶつかり合う三人の様子を見る観客はそのほとんどが開いた口が閉まっていなかった。


フュリアス同士の模擬戦を見ていない音界の人はいない。だが、今のように生身で戦い合う姿を見た人はまずいないだろう。


リリィもリリーナもハイロスも技術は未熟ではあるが誰もが本気で見たことの少ない人達はただ圧倒されるだけ。


これ以上の光景を見たことのあるメリルはまだ冷静だった。だが、それ以上に解説にいるメリル以外はかなり辛口だった。


「踏み込みが甘いな」


「あれじゃ瞬殺ッスね」


「魔術も悪くはないが、三下クラスだな」


「あのさ、気持ちはわかるけどもうちょっと解説して欲しいんだけどな」


七葉が呆れながらに言う。


メリルはそんな声を聞きながらハラハラしつつ見守っていた。


リリィが魔術を展開した瞬間、フィールド内にいくつものリリィの幻影が登場したのだ。まるで、分身したかのように。


「仕方ない。エルシュ・ドグマだな」


七葉の呆れた声に孝治が言葉を返す。


「これは分身魔術ですか?」


「あー、そっか。メリルは世界の特性を知って無かったんだった。えっとね、音界以外に人界、魔界、天界があるよね?」


「はい。天界の皆さんも観戦しているはずですが」


「イメージとしては、魔界は数。天界は技。人界は力ってのが正しいかな」


「実際は人界の方が一級クラスの数は多いッスけどね」


「技も人界の方が上手だ。孝治とかはな」


「つまり、魔界と天界は俺達の人界の劣化世界ということだ」


「違うから、話が変わってるから、そうじゃないから! 傾向とかはご時世でかなり変わるんだけどね。天界は技、絡め手に長けてるんだよ。っと、実況しないと『ルーリィエ選手、広域魔術を展開しました! この魔術、エルシュ・ドグマは幻惑魔術です。空間内で光を反射させ、あたかもそこにいるかのように認識させる魔術です。光を反射させてるので場所によって位置が変わるのも特徴ですね』」


七葉の言葉に観客がおおっと驚きの声を上げる。


魔術が使えるものがほとんどいない音界では魔術の存在は眉唾ものだ。人界で言うなら技術すごいで終わらせられることがある。


だが、今見ている幻惑魔術は否が応でも信じざるをえない光景だった。


『この幻惑魔術の中、二人はどう戦うのでしょうかね? 解説の皆さん』


「運命でぶった斬ればいい」


「雷属性具現化魔術ッスね」


「幻惑魔術ごときなど効きはせん」


「頑張れ」


『この人達を選んだのは誰だよ!』






襲いかかる光剣に対してアークフレイを振りながらハイロスは周囲を見渡しながらゆっくりと下がる。


ハイロスは幻惑魔術など知らない。だが、本能が知っていた。


『光の反射か』


『いくつものポイントで光を反射させているのかな?』


頭の中で二人は会話をしながら周囲を警戒する。


ハイロスの視界に映るリリィの数は約30。もちろん、本物は一体だけだ。だからこそ、ハイロスは全周を警戒しなければならない。


『厄介だな』


『厄介だけど、リリィらしいかな』


『どんな手を使ってでもか?』


『攻撃が優しい』


『なるほど』


リリィの加速をもってすればこちらがやられるのは時間の問題だったはずだ。だが、未だにハイロスは余裕がある。


だからこそハイロスは本気を出す。


「ルーリィエ・レフェナンス」


ハイロスがアークフレイを握り締める。そして、一気に振り下ろした瞬間、地面が爆砕した。


「甘いぞ!」


「っつ!」


破片がすり抜ける中、破片を受け止めた一体に対してハイロスは駆け抜けた。リリィはとっさにアークレイリアの力で後ろに下がろうとする。だが、それを阻むようにリリィの背後にいくつものアークベルラが突き刺さった。


それに背中が当たり動きを止めるリリィ。ハイロスはそれを好機とばかりにアークフレイを振り抜きながら駆け抜けた。


『これは、決まったかー!?』


ハイロスの耳にようやく外野の声が聞こえてくる。だが、ハイロスは素早く振り返りながら後ろに下がった。


アークフレイは確かに砕いた。アークレイリアの光の刃を。だが、アークフレイを傷つけてはいない。


『手応えはあったが』


『上手くガードされだね』


ハイロスはゆっくりと頷く。リリィは小さく息を吐いてアークレイリアを構えた。


「そっか。私はまだ、あなたを理解しきれていなかったんだ」


リリィがアークレイリアを構えれば。たったそれだけの動作。たったそれだけの動作なのにハイロスは一歩後ろに下がっていた。


ハイロスには、いや、観客席にいる誰もがわかっていた。あの瞬間、リリィの気配が増したことに。まるで、抑えられてた力が解放されるかのように。


「その力は一体」


「私もちょっと困惑してる。だから、アークレイリアの本気を使うよ。セーフティ解除」


そして、リリィは告げる。アークレイリアの最大の力を。


「リミットブレイク」


アークレイリアに纏う光の刃。だが、今までより薄く、そして、今までより繊細な形。だが、それは神々しく輝いていた。


「レイリアソード。アークレイリアの力の具現化した姿」


「アークレイリアは力の方向を自由に出来るだけじゃないのか?」


「ハイロスはウォーターカッターって知ってる?」


答えたのはリリーナだ。その額に汗を流しながらレイリアソードを見ている。


「水を高水圧によって鉄すら切り裂くもの。同じ原理だよ。アークレイリアから薄い光の刃を周囲に放射してるだけ。それだけなのに、切れ味は今までとは違うよ」


「リリーナはもしかして賢いのか?」


「失礼な。もしかしなくても頭は悪いよ」


「それはいいのか?」


そう言いながらもハイロスは警戒しながらアークフレイを構える。リリーナの話が本当ならレイリアソードの切れ味は極めて高くなっている。まともな打ち合いは出来ない。


「ふぅ、じゃ、こっちも奥の手といかないとね」


そう言いながらリリーナはアークベルラを構えた。


「ドライブ、セット」


その言葉と共にリリィが動いた。加速しながらリリーナに向かってアークレイリアを振り抜く。だが、アークレイリアは地面から唐突に現れたアークベルラの刃によって受け止められた。


「なっ」


「驚くよね。でも、そういうものなんだよ」


第76移動隊に身を置いていたリリーナにとってレイリアソード程度対処できないほどではない。


いくら相手が高圧の魔力を噴き出していてもそれを散らすような魔力を纏えばいい。レイリアソードの根源は魔力だからこそそれに対応するには魔力を使えばいいだけの話ということだ。


「だからね、ここで終わらせる」


リリィの体をリリーナは大きく弾き飛ばした。そして、アークベルラを振りかぶり一歩踏み込む。狙うのはアークレイリア。


体勢を崩したリリィはとっさに後ろに下がろうとする。だが、後ろにはアークフレイを構えこちらに走り込んでくるハイロスの姿。だから、リリィは前に出た。


「終わらない」


そういいながらリリィはアークベルラの刃を左手で掴んだ。そして、右手でアークレイリアを握り締める。


「ありえない」


リリーナの口から出たのは驚愕。アークベルラの刃を受け止められることは予想できた。だが、素手は予想だにしていない。そもそも、リリーナはアークレイリアを破壊するために振り抜いたのだ。その威力を受けた左手は最悪両断されていただろう。だが、別の意味で最悪の光景がリリーナの前に浮かんでいた。


「終わらせない。まだ、終われない」


リリーナはアークベルラを引こうとする。だが、リリィがアークベルラを掴んでいるからか引くことが出来ない。


「アサルトエッジ!」


そして、加速したアークレイリアがアークベルラの刃を砕いた。そのままリリィは振り返ろうとしてリリーナが振り抜くアークベルラの姿を視界の隅に捉え横に転がりアークベルラを回避する。


「あーあ。もう砕かれちゃったか」


そういいながらリリーナがさらにアークベルラを取り出す。


「そんな、手応えはあったのに」


「摩訶不思議だな」


二人の驚きにリリーナがクスッと笑う。


「じゃあ、再開といこうか。今まではリリィの力に翻弄されていたけど、今からは私の時間。呪いの時間だよ」


その瞬間、フィールドの空気が変わった。まるで、今まで発動を封じていたかのような気配が膨れ上がる。


「さあ、始めよう。アークベルラが語る終焉の物語を」

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