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新たな未来を求めて  作者: イーヴァルディ
第三章 悠遠の翼
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第二百六十六話 宇宙

originのネタバレ要素を含みます。

イグジストアストラルのコクピットの中で危機を操作していく。全ての気密を確認しながら推進ロケットとの接続を確認する。


無茶な繋げ方をした推進ロケットは最悪爆発する可能性がある。だから、周囲にはシールドビットを展開したEXウェポン装備のアストラルファーラしかいない。ベイオウルフとマテリアルライザーはすでに空に上がっている。


「鈴、準備はいい?」


「うん。いつでも大丈夫だよ。周囲に敵影は無し。空の様子は青天。穏やかな風が吹いているから飛行条件としては最高だよ」


「わかった。じゃあ、上がろうか」


僕は小さく息を吐いてアストラルファーラに向けて通信を開いた。


「ルーイ、リマ。今から上がるよ」


『わかった。ある程度まで先に上がっておく。悠人、頑張れ』


『必ず帰ってくるように。私はメリルの泣き顔は見たくありませんから』


「うん」


アストラルファーラが上昇する。だんだん上がっていく二機を見ながら僕は操作用レバーを握り締めた。


「鈴、行くよ」


「はい」


僕は推進ロケットを点火した。それと同時に衝撃と共にイグジストアストラルがゆっくりと上昇していく。推進ロケットのエネルギーがかなり削れるけど、このペースなら予定通りの高度まで駆け上がることが出来るだろう。


僕は小さく息を吐いて空を見つめた。僕達が見つける衛星軌道上とアル・アジフさんが言った謎の場所に向かって行くために。






「アル、いや、今はエリシアか。マテリアルライザーはこの高度に耐えられるのかな?」


「問題ありません。マテリアルライザーは魔鉄です。とことん薄くしていますが、物理的な衝撃や耐熱性には問題ありません。それに、摩擦熱で程度でやられるようなやわな機体でもありませんし」


「そうだったね。僕も君も魔力粒子のみの空間で動けるからこの位置にいるけど」


マテリアルライザーがいるのはすでに宇宙と言ってもいいだろう。そこでイグジストアストラルを補助しながら地上から上がってくる敵を素早く見つけるためにここにいる。


それに、イグジストアストラルが目標を見つけるためには一つの問題がある。


「ところで、衛星軌道砲の速度はイグジストアストラルで捕まえられるの?」


「タイミング的に難しいですね。正直、私達でも正確な位置を把握しているわけではありませんから。もし、アメリカがちゃんと継続していたならその位置も把握できていたでしょう」


「そもそも、宇宙には様々な衛星が浮かんでいるからね。その中の一つを見つけようとすれば大変になる」


「それに、悪用されないように防衛機構も働いている可能性もありますからね。衛星軌道砲は特に」


「魔科学時代にコロニーに最大のダメージを与えた衛星軌道上から放つ天の稲妻。あの光景はすさまじかったよ。ハイゼンベルク要塞の半分近くも吹き飛んだし」


「避難していなければ大災害でした。それを悪用されたら今頃音界はボロボロですよ」


「それを操作した悠遠と彼女。それを回収するのが今回の目的だよね」


その言葉にエリシアは頷いた。


「アルは直接会っていませんが私は会ったことがあります。彼女は、優奈は心優しい女の子でした。本当なら思い人と不倫してでも添い遂げて欲しかったのですが」


「不倫はどうかと思うけどね。確か、最後の力を振り絞って、だったっけ?」


「はい。半壊した悠遠で死ぬとわかっていながら優奈は衛星軌道砲を放ちました。今までは回収できる環境がありませんでしたので今、ここで彼女を必ず」


「遠目では見たことあるけどね。英雄の二人の間でにこにこしているような子だったね。だから、彼女を供養しよう」


マテリアルライザーがライルダムとレイルダムを引き抜いた。そして、二人の視線の先にあるのは高速で地球の周囲を回る一つの衛星。その周囲にいる自動制御の機体が三機。こちらにエネルギーライフルを向けている。


「魔科学の兵器とはすごいものだね。未だに宇宙でも動いている」


「魔科学後期の技術はすごいからの。さて」


正が笑みを浮かべて宇宙服を脱ぐ。そして、その背中に光の翼を顕現させる。


「行こうか。無人で行動する機体に僕達が負けるわけがないからね」






断続的な振動が僕達を襲う。それに歯を食いしばりながら耐えて真っすぐ空を見つめる。体にかかる負担は大きいけれどこのまま空に上がっていけば目的地につけるだろう。


すでにルーイとリマは置いて行っている。二人の役割は低空、高さ的には全く低くはないけれど、そこでの戦闘だ。もしもの時は麒麟工房も守れるような位置にいる。


それを考えているとアラーとがなった。推進ロケットのエネルギーが無くなったのだ。僕はすかさず推進ロケットを外してペダルを踏み込む。それと同時に加速がゆっくりと収まっていく。


「何とか、ここまで来たね」


「鈴、大丈夫だった? 断続的に振動していたし」


「あれくらい大丈夫だよ。イグジストアストラルっていくらでも攻撃を受けられるからかみんな狙ってくるんだよね。訓練でも。だから、ちょっとした衝撃には耐性があるよ」


そうだった。確かにイグジストアストラルは模擬戦でひたすらに狙われる。回避せずに攻撃するからだけど、攻撃を当てた時に模擬戦の順位を決めるポイントをもらえるからポイント狙いでみんな攻撃するのだ。全てを回避する僕とは違ってこういう耐性はついているのだろう。


あんまり胸を張って言うような耐性じゃないかもしれないけれど。


「このまま上がるだけ。何事も無ければいいけど」


「そうだよね。大丈夫だよ。何事もなく上がれるって」


「そうだといいけどね。いや、そうであってほしいけどね」


『なんか、二人共辛気臭い。今から空に上がるんだからもっと笑っていようよ』


突如として会話に割り込むリリーナ。どうやら、ベイオウルフに追いついたらしい。よく見ると普通にベイオウルフがいるし。


「リリーナ、行ってきます」


ぐんぐんと追いついて行くベイオウルフの姿を見ながら僕はリリーナに向かって言う。


「私も、行ってきます」


『行ってらっしゃい。一足先にマテリアルライザーが上がっているから宇宙で合流してね』


「あれ? アル・アジフさん達はここで待っているんじゃなかったの?」


『露払いするって。なんのことかわからないけれど』


露払いとはなんのことだろうか。予定ならここで二人も見送ってくれるはずだったんだけどな。でも、大丈夫か。


いつの間にかベイオウルフは僕達の横まで着ていて、そして、追い抜かす。


『行ってらっしゃい!』


その言葉に僕達は二人揃って声を出した。


「「行ってきます!」」






衛星軌道砲の周囲にいるグレーのフュリアスが信じられないような速度で飛翔しながらマテリアルライザーに向かってエネルギーライフルの引き金を引く。だが、放たれたエネルギー弾は同じように信じられない速度で光の翼を使って飛翔するマテリアルライザーによって払われた。そのまま駆け抜けざまに胴体部分を切り裂く。だが、そのフュリアスは振り返りながらも引き金を引いてくる。


「胴体を切ってもダメなのか」


「斬るなら動力部分をお願いします。最悪、Exアストラルは自爆するので」


「了解」


すかさずマテリアルライザーはライルダムをグレー0のフュリアス、Exアストラルに向かって投げるつけた。動力部分をライルダムが貫きEXアストラルを沈黙させる。


「さて」


振り返りながらエネルギーソードを受け止めてExアストラルの胸に腕を伸ばした。そして、手のひらを押し付けた瞬間、光の槍がExアストラルを貫いた。


残るExアストラルは一機だけ。距離を取りながらこちらに向かってエネルギーライフルの引き金を引いている。


マテリアルライザーはライルダムが突き刺さったEXアストラルまで近づきライルダムを引き抜いた。そして残るExアストラルに向かって駆け抜ける。


Exアストラルはエネルギーソードを引き抜いてマテリアルライザーを交錯した。


マテリアルライザーが止まり、ライルダムとレイルダムを鞘に収めると同時にEXアストラルが機能を止める。


「Exアストラルを量産出来たらいいのに」


『Exアストラルは宇宙空間で進化を発揮するように設計しておる。地上で作っても無駄じゃ。それに、ルーイやリマなら一対一でも勝てるじゃろう』


「そうですね。Exアストラルは攻撃パターンが一定ですからね。さて、衛星軌道砲を止めましょう」


その言葉と同時にマテリアルライザーが衛星軌道砲に近づいた瞬間、衛星軌道砲で何かが動いた。その姿を見た瞬間、マテリアルライザーは右に大きく動いていた。マテリアルライザーがいた場所をエネルギー弾が斬り裂く。


「そんな。Exアストラルは三機だけのはずじゃ」


「Exアストラルじゃないよ」


ライルダムとレイルダムを構えながら正は汗を垂らした。何故なら衛星軌道砲から出てきたのは一機の機体。それは悠遠(エターナル)と酷似していた。いや、違う。悠遠(エターナル)が酷似しているのだ。


「なんで」


『最悪の可能性じゃな』


「笑えないよ。だからさ」


正が怒りを顔に出して構える。


「ちょっとばかし乱暴に行くよ!」

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