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新たな未来を求めて  作者: イーヴァルディ
第三章 悠遠の翼
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第百八十八話 推測

「さてと」


休憩室にある自販機(音界では配給機というらしい。まあ、タダだけど)からコーヒーを取り出す。ミルクコーヒーだけどリリィにはちょうどいいはずだ。


オレは休憩室のベンチに座るリリィにミルクコーヒーが入った紙コップを渡した。


「ありがとう」


「どういたしまして。それで、考えは纏まったか?」


ミルクコーヒーに口をつけるリリィは小さく首を横に振った。


「纏まるわけないじゃない。アストラル機装は話すべき内容じゃないのは理解しているけど、レジスタンスの信用を得るには話さないといけないし」


「リリィも気づいていたか」


オレはそう言いながらミルクコーヒーを口に含む。


この味、名前はミルクコーヒーだけどコーヒー風味のミルクに変えた方がいいんじゃないか?


「険悪な空気になってる。もちろん、イグジストアストラルの聖砲ラグランジェだけじゃなくて、敵側だったセリーナやゲッペルがこちら側について麒麟工房からの新型機を渡されたことも関係していると思う」


「政府がクーデターによって打倒され、新たな政府が立ったという話すらあるからな。政府側だったオレ達はさらに厄介事を持ち込む存在のように見られているし」


「うん。レジスタンスにとって今の状況は最悪だから。もしかしたら、私達が悪者になっている可能性だってある」


「ゲイルがメリルを騙して引き留めているってか? まあ、よくある手段だな」


実際のことは話さない。だけど、こちらが有利になるような情報を流して民衆を味方につける。真実を知っている人は監禁し、都合よく動いてくれる人達だけを扱う。


第四次世界大戦におけるヨーロッパ連合の情報操作でも同じようなことがあった。


ヨーロッパ連合自身が黒幕なのにヨーロッパ連合内では中東連合が悪いように情報操作がされていた。だから、同じことが起きてもおかしくはない。


「そうなったら私達は世界の敵としてクロラッハレジスタンス以外にも政府と戦わないといけないのかな?」


「まあ、今の政府にまともな戦力はないからな。そこが安心出来るところだけど。でも、このレジスタンス内での不和はどうにかしないとな」


「うん。仲間内の不和は戦闘中に大きな亀裂になる可能性だってある。それは最悪致命的な亀裂」


「こちらが防衛戦という利点があっても難しいことになるからな。第76移動隊が全員いればな」


第76移動隊だけでクロラッハ側の勢力を完全に壊滅させることすら可能なのに。


「まあ、問題はそれだけじゃないけどな。リリィは相手についてどう思ってる?」


「相手? クロラッハ達ってこと?」


「そう」


オレの言葉にリリィが考え込む。


「異質、かな」


「やっぱりか」


「悠聖も?」


オレは頷きを返しながらもリリィの言葉を待つ。一見後出しのように見えるけど、大局を見ているならその異質さは簡単にわかる。


周の話によるとオレは指揮官としての才能があるらしいし。


「あ、うん。とりあえず、クロラッハレジスタンスがマクシミリアン様と同盟というより協定を結んでいるのは確か。そのクロラッハレジスタンスと現政府も繋がっているのは確か。あまりに流れがよすぎるから」


「そう仕組まれた可能性は?」


「仕組まれ可能性にしては明らかに淀みなく行ってる。もちろん、作戦は失敗しているけどタイミング的に未来を見ていなければわからないくらいのタイミングでやってきたことすらあった」


天界の勢力はまさにそれだろう。オレ達が反撃する可能性があったとしても、未だに警戒していたオレ達を襲うのは時期尚早。それに、メリルの歌姫としての力を考えてもあの状況で動くのは愚策。


だけど、ピンポイントというべきタイミングでマクシミリアン達はやってきた。あのタイミングじゃなければオレ達は簡単に逃げ出せていたし、それより前のタイミングでは別の作戦を取らざるをえなかった。


「まるで、マクシミリアン様は未来を見ているかのような感覚。でも、違和感があるの」


「違和感?」


「マクシミリアン様がクロラッハ達と協力すること。悠聖は私達の本質を知っているよね?」


「まあな。虫けらやら何やらリリィも言ってたもんな」


「それだけは忘れて」


リリィが顔を真っ赤にして視線を逸らす。最初の頃のリリィはまだオレに懐いてなかったからな。


「リリィが言いたいのはクロラッハ達と手を組むことがありえないってことか?」


「うん。マクシミリアン様は天界の中ではまだ許容する方だけど、手を結ぶのはありえない。もし、クロラッハレジスタンスが天界の勢力の下についているならわからなくもないけど」


「悠人の聞いた話を鑑みても対等な関係だよな」


「私が一番気になったのはそこ。もしかしたら」


「マクシミリアンがクロラッハと手を結ばなければならない事情があるってことか」


確かにリリィの言う通りおかしい。天界を考えればマクシミリアンとクロラッハが手を結ぶのはありえないと断言していい。


そうなると、オレの考えも組み合わせたらヤバいことにならないか?


「悠聖はどうして?」


「気になっているのは悠人達が出会った黒い何か。そして、黒猫や冬華がいたのに黒猫子猫の姿が無かったところ」


「黒い何かについてはわからないし、黒猫子猫がいなかったのただ単に別の任務をしていたからとか?」


「だから、異質なんだ。黒猫の配下は黒猫子猫のみ。今ではセルファーや模写術師コピーライターもいるみたいだけど、戦力の大半は黒猫子猫のはずなんだ。それが一人もいない。あの場にいて黒猫がクロラッハと繋がっている以上、黒猫はオレ達の確保に黒猫子猫を使うべきだった」


クルシスの中にはオレと俊也がいた。オレはディアボルガを、俊也は精霊の大半を失っているとは言えその実力はクルシスの兵を全て倒すのに十分なくらいだった。


まあ、あの黒い何かに関しては無理かもしれないけど、黒猫ならオレ達の危険性、特にオレの危険性について知っているはずだ。


それは必ずクロラッハに伝えるだろう。味方ならば。なのに、黒猫子猫はいなかった。クロラッハ側ではオレ達を封じれる可能性のある黒猫子猫がいないのだ。黒猫はクロラッハ側。だが、あの時の状況から考えても完全に異質だ。


「黒猫はバカじゃない。なのに、黒猫子猫がいなかったということは」


「黒猫は完全にクロラッハの味方じゃない?」


「もしかしたらマクシミリアンとの関係も言えるかもしれない。敵の敵は味方」


「じゃ」


オレは小さく頷く。もし、この考えが正しければ黒猫やマクシミリアンはクロラッハの方が勝つ可能性が高いと踏んだわけじゃなく、ゲイル達のレジスタンスに危険性があると考えたから協力している可能性が出てくる。


だけど、それを口外することは出来ない。何故なら、ここは敵地だから。


「マクシミリアン様がなりふり構わず協力するわけか。悠聖、もしかしたら、アストラル機装の説明をしないと鈴に危険が及ぶ可能性はない?」


「雲行きが変わってきたからな。あんな兵器は使おうとするのが普通だし。アストラル機装についてオレ達が語ろう。一部は改変して」


「うん。で、武装はどうする?」


「防護服を着てれば大丈夫だろ。リリィはアークレイリアをわかるように差して」


「完全武装だね。うん、大丈夫」


すぐさまオレ達は紫色の防護服を着た。防護服と言っても第76移動隊の防護服じゃない。第76移動隊の防護服は近接での攻撃や魔術に強いように作られているが、この防護服は対エネルギー弾用素材を使用している。


色はともかく性能は確かだ。


「悠聖。アストラル機装はイグジストアストラル専用装備でいいよね?」


「そうだな。基本の語りはリリィに任せるから」


「任せて。さてと」


リリィが立ち上がる。オレも立ち上がった。


「アル・アジフとの約束は破るけど、大切な友達を守るために行こう、悠聖」

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