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新たな未来を求めて  作者: イーヴァルディ
第三章 悠遠の翼
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第百七十八話 悠遠の真価

この話で戦闘は一段落です。

エネルギーライフルの引き金を引く。それと同時に宙に作り出してエネルギーソードを一斉に放っていた。


アレキサンダーとストライクバーストは迫り来るエネルギーソードを回避するように動くが回避に専念しているため攻撃出来る隙はない。その間にもエネルギーライフルの銃口を純白のフュリアスに向けて引き、エネルギー弾によって撃墜する。


アレキサンダーがどんなエネルギー源を使用しているかはわからないけどエネルギーソードの直撃を受けて無傷なわけがないし、ストライクバーストも回避しなければ衝撃がすごいことになるから攻撃よりも回避になっている。


僕は左右にアレキサンダーとストライクバーストの位置を見ながらエネルギーソードを操作しつつ周囲のフュリアスに向かってエネルギーライフルの引き金を引く。


さすがにこれは辛いかな。


「悠人。無茶はしないでくださいね」


「大丈夫だよ。これくらいならまだ」


『悠人は無茶を無茶ってわかってないんだよ』


エネルギーシールドを展開するアージュをエネルギーシールドごとグラビティカノンダブルバレットで吹き飛ばしながらリリーナが呆れたように言う。そう言われるのはかなり心外だ。


でも、フュリアスに乗れば不可能は無いと思っているからあながち間違いじゃないかも。


『だが、アレキサンダーとストライクバーストを押し込んでいるのか。このままだとこちらがやりやすくていいが』


『左右の二機を平然と押さえ込んでいるのが意味不明なんだが』


『ガルムス。諦めろ。これが真柴悠人だ』


どうしてエースって戦闘中に会話する余裕があるんだろうね。アレキサンダーとストライクバーストの挙動を見て動きを推測してエネルギーソードを放っていたらそんな余裕がないのに。


僕は小さく息を吐きながらその場で宙返りしつつエネルギー弾を撒き散らす。エネルギー弾はこちらにエネルギーライフルを向けていたアージュとオルフェウス、そして、天界のフュリアスを貫いていた。


「マクシミリアン! これ以上の戦いは無意味だ! 今すぐ音界から撤退しろ!」


『無意味? 無意味じゃないな。今回の作戦の目的は歌姫を攫うことじゃないからな』


まるで笑みを浮かべたような声に困惑していると嫌な予感が頭上から降り注いだ。それから逃げるようにあらゆる行動を中止して前に加速する。


『この瞬間を待っていたのだ!』


ストライクバーストがこちらに砲を向けていた。アレキサンダーも背中の砲を肩にマウントしてこちらに向けている。


避けられないわけじゃない。だけど、


「くっ」


とっさにペダルを操作してエネルギーシールドを作りつつその場で急制動をかける。それと同時にストライクバーストの砲から光が放たれた。


ストライクバーストが放ったエネルギー弾は悠遠が通る予定だった空間を切り裂いて通り過ぎる。だが、アレキサンダーはこちらに砲を向けている。


「間に合え!」


とっさに宙返りを行いながらバレルロールをしつつ横に移動する。


アレキサンダーの肩からエネルギー弾が放たれ悠遠の装甲を微かに薙いで虚空へと消え去っていった。


今の、回避出来なかったら確実にやられていた。


ストライクバーストとアレキサンダーの二機に襲われた状態でまともに戦えるわけがない。だけど、ストライクバーストとまともに戦えるのは僕だけだし、アレキサンダーは未知数。どうすれば。


そう言えば、上空の嫌な予感は何だったのだろうか。


僕は空を向いた。そこにはこちらにエネルギーライフルを向けるクロノスの姿があった。


囲まれている。狙いは悠遠。


『真柴悠人。本当に残念だ。天神マクシミリアンの名において、貴様を消し去ってやろう』


ベイオウルフやアストラルルーラは他のフュリアスと戦っている。援護に来ることは出来なさそうだ。でも、ちょうどいい。


僕はグラビティカノンダブルバレットを作り出し構えた。


「マクシミリアン。一つだけ良いことを教えてあげる」


僕は笑みを浮かべながらキーボードを叩いた。すぐさま悠遠の中のとあるプログラムを起動する。


悠遠だからこそ出来る最大駆動。


「今から本気を出すよ」


「悠人。FBDシステム起動します」


「行くよ、メリル!」


その瞬間、周囲に光が舞った。いや、悠遠の背中にある七つの板が開閉し、そこから莫大な光が迸っている。


本来なら悠遠の翼がついた三枚しかこれほどの翼は出ないのだが、たった三つでも全部の悠遠の翼を限界まで駆動させたならこうなる。


光の粒子を撒き散らしながらも周囲の魔力をかき集めている。


限界駆動制限は大体10分間。十分だ。


『これが悠遠。くっくっくっ、我がアレキサンダーと』


「遅いよ!」


加速する。いや、加速という表現が生ぬるいくらいの速度で僕はアレキサンダーに向かって飛翔していた。アレキサンダーはとっさにエネルギーソードを引き抜こうとするがそれより早くすれ違い様に右腕を切り落とす。振り返りながら背中の砲を破壊して再度すれ違う時に左腕を切り落とした。


ダークエルフのFBDシステムを真似たものだけど、機動性がダークエルフより遥かに高いし、悠遠のFBDモードは空中戦に特化した形。あの時よりも遥かに動くことが出来る。


この時になってようやくストライクバーストが動き出した。腰の砲からエネルギーソードを作り出し斬りかかってくる。だが、それを軽々と避けるとそのまま背中を蹴りつけた。そして、両手に持つグラビティカノンダブルバレットを向け、オーバーロードした一撃を叩き込む。


「次は」


すかさず上空を見ながらグラビティカノンダブルバレットの引き金を引いた。クロノス達はとっさに反応出来ずに薙ぎ払ったエネルギー弾によって半数が呑み込まれる。


そのまま高く飛び上がって残ったクロノスに向かってグラビティカノンダブルバレットの先を向けた。だが、その先は下から駆け上がってきたエネルギー弾によって破壊される。


すかさずグラビティカノンダブルバレットをエネルギーに戻して後ろに下がると、クロノスとの間を塞ぐようにストライクバーストが上昇してきた。


『これ以上、大切な仲間を傷つけさせることは許さない』


「なら、引いて。今の悠遠の状態じゃこの数は意味をなさない。僕だって、人殺しがしたいわけじゃないんだ」


『だが、この場でお前を落とさなければ』


『それはさせません!』


その言葉と共にストライクバーストの腕にアンカーがまとわりついついた。ストライクバーストが反応するより早くアストラルソティスの蹴りがストライクバーストを蹴り飛ばす。


そのまま腕に持つエネルギーライフルの引き金を引いてクロノスに向かってエネルギー弾を放った。だが、距離を取られているからかクロノスはエネルギー弾を回避する。


『その声、リマか』


『ルーイが不甲斐ない戦いをしていると聞いて助けに来ました。まさか、レジスタンス内で裏切りがあったなんて』


リマのアストラルソティスが悠遠と背中合わせになるようにエネルギーライフルを構える。ベイオウルフもアストラルルーラも周囲の掃討が終わってこっちに向かってきている。


「マクシミリアン、どうする? このまま、戦う?」


『連絡が受けてからここに来るまでが早すぎる。何故』


『説明してあげようか?』


その言葉と共に目の前にイグジストアストラルが舞い降りた。だが、その背中から見える姿が少し違う。


イグジストアストラルの背中には背中の砲が背中にバックパックにくっつけられていた。そして、その先端にはアレキサンダーのような長い砲がある。ただし、こちらは上を向いている。


『聖砲ラグランジェだと。何故、それがそこに』


『私はこれを撃ちたくない。でも、引かないならこれをあなたに向けて撃つ。回避できるとは思わないでね』


「鈴、それは」


『仕方ない。全機、手を出すな。イグジストアストラルに警戒しつつ味方の救助にあたれ。あいつらは絶対に追撃するな。消し去られたくないなら』


ストライクバーストが背中を向ける。それに僕は安堵しながら鈴とのモニターを繋げた。


「鈴。その背中のものは」


『本当なら使いたくなかったけど、悠人が危ないから思わず使っちゃった。悠人。このまま撤退しよ』


「そうですね。戦闘行為は終わっています。これ以上の戦闘は無意味ですし」


「わかった。ただ、白騎士を回収しないといけないから鈴にお願いできる? 後部座席は空いているよね」


『うん。行ってくる』


すると、イグジストアストラルが前のめりになった。いや、頭を前に向けて僕が知る速度よりも遥かに早い速度で飛翔する。おそらく、背中のバックパック、聖砲ラグランジェのブースターによる加速だろう。


マクシミリアンが警戒する装備。それをどうして鈴が使えているのか疑問だけど、今は撤退しないと。


「みんな、撤退するよ。このままレジスタンスの基地まで帰還する」

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