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新たな未来を求めて  作者: イーヴァルディ
第三章 悠遠の翼
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第百七十六話 アレキサンダー

上から下に振り下ろされたエネルギーの本流はそこにいたフュリアス全てを呑み込み一斉に破壊した。


グラビティカノンタブルバレットを振り下ろしたベイオウルフはエネルギーシールドを展開したままグラビティカノンダブルバレットのカートリッジを交換する。


「高い火力に高い防御力って反則だよね」


そのままグラビティカノンダブルバレットを構えて引き金を引く。回避出来なかった数機のアージュやオルフェウス、第四世代型フュリアスのマチアスがエネルギーに呑み込まれて消え去る。


ベイオウルフを囲んでいたフュリアスはすでにその数の半分を失っていた。対するベイオウルフはグラビティカノンダブルバレットのカートリッジを三つ失っただけである。


ただ、ベイオウルフならカートリッジが無くてもベイオウルフ自身のエネルギーで賄えるため実質ベイオウルフ自身は無傷と言えるだろう。


「ルーイ。外の敵の半数を倒したお願い」


『わかった。悠遠を出撃させる』


リリーナはすかさずベイオウルフを前に出した。そして、グラビティカノンダブルバレットとベイオウルフとのパスを繋ぎベイオウルフからグラビティカノンダブルバレットへのエネルギー供給をオンにする。


「吹き飛べ!」


そのまま袈裟斬りするかのようにグラビティカノンダブルバレットを振り抜いた。射線上にいたフュリアスが爆散し、残るフュリアスも一斉に退避する。


「逃がさないよ!」


すかさず退避したフュリアスに向かってグラビティカノンダブルバレットの引き金を引く。


距離を取られた分倒す数は少なくなっているが確実に敵の数は減らせている。


『悠遠が出るぞ!』


ルーイの言葉と共にベイオウルフが破壊したハッチから悠遠が飛び出した。誰かが操縦しているんじゃない。悠人が送った自立行動プログラムによってそういう風にプログラミングされているのだ。


続きざまにアストラルルーラが悠遠に向けてエネルギーライフルを向けたアージュに向かってアンカーを放ちながらハッチから出てくる。


アンカーは的確にアージュのコクピットを貫いて沈黙させた。


「アストラルルーラは室内の方が強いよね。もっと室内にいてたらどうかな?」


笑みを浮かべながらリリーナはグラビティカノンダブルバレットの引き金を引く。対するアストラルルーラもグラビティカノンダブルバレットを取り出して周囲のフュリアスに向かって放っていく。


『悪いが、この翼は飾りじゃないんでね。例えリリーナが一人で活躍したいと思ってもそうはさせないよ』


「私一人活躍したいわけじゃないけどねっと」


『距離3800。狙われている』


「私も確認した」


リリーナはすかさずエネルギーシールドの強度を上げながらグラビティカノンダブルバレットの引き金を引いた。


ルーイが言った距離から放たれた超高速のエネルギー弾はグラビティカノンダブルバレットのエネルギー弾が放たれるより早くエネルギーシールドに直撃して散る。グラビティカノンダブルバレットから放たれた高速のエネルギー弾は目標を確実に撃ち貫いていた。


『さすが大出力のグラビティカノンダブルバレットだ』


「そうだね。じゃ、悠人達のところに向かおうか」


『そうだな。この勢力は何となく予想はつくがこのままではメリル達が危ないからな。悠人がいるから大丈夫だが』


「でも、心配だからね」


二機はすかさず進路を変更する。すでに大半のフュリアスを破壊されていた周囲のフュリアスは負傷した味方を助けるように動いているため追いかける機体はない。


二機は先を行く悠遠を追いかけるように加速した。






「アークレイリア! 拒絶して!」


破壊の花弁デスペルタル』によって群青色のフュリアスの攻撃を受け止めていたオレの腕の中でリリィがアークレイリアを群青色のフュリアスに向けて叫んでいた。


すると、エネルギー弾がまるで自分から逃げるように軌道を変えて散っていく。もちろん、散った先にあるのはクルシスだ。


「このままじゃクルシスが落ちるな」


「みんな逃げてるかな」


「何人かは飛べるから大丈夫だろ。一応、悠人も飛べるみたいだし」


そうオレ達は呑気に会話をしているけど全くそういう状況じゃない。すでにクルシスはかなり高度を下げている。対するオレ達は高度を下げていない。このままだと背後のクルシスが無くなった瞬間、もうすぐだが、今まで使って来なかった大出力のエネルギー弾を放ってくる可能性もある。


破壊の花弁デスペルタル』とアークレイリアなら全部防げるが、リリィの体力が無くなるのが先かも知れない。


「せめて、悠人が悠遠に乗って来てくれれば」


「そうだとしても、『破壊の花弁デスペルタル』を弾くあのフュリアスの装甲を破壊出来るか心配なんだけど」


「グラビティカノンダブルバレットがある。あれはそういう装甲に対抗するために作られたからな。まあ、ダークエルフのリアクティブアーマーに対抗するためだけど」


あらゆるエネルギー弾を弾くリアクティブアーマーは恐怖の対象だったに違いない。だから、グラビティカノンダブルバレットが開発された。


「でも、このままじゃマズいかも。拒絶の力。体力の消耗が激しい」


「なれないことをするからだ。『破壊の花弁デスペルタル』で何とか防いでいるから今はゆっくり休んでろ」


「だけど」


「オレ達を信じろ」


その言葉にリリィは頷いた。オレは『破壊の花弁デスペルタル』を最小限に展開しながら周囲を見渡す。


周囲には四肢がもげたフュリアスがゆっくりと下がっている。味方はいないか。と思った瞬間、群青色のフュリアスの後方をゆっくりと悠遠が加速して進んで行った。その光景にオレもリリィも群青色のフュリアスも動きを止めて悠遠を見ている。


「悠聖、あれ」


「あの移動は怖いな。まあ、『破壊の花弁デスペルタル』!」


悠遠に攻撃がいかないようにオレは群青色のフュリアスに向かって『破壊の花弁デスペルタル』を放った。だが、『破壊の花弁デスペルタル』は案の定群青色の装甲によって弾かれる。


だが、いくつかの『破壊の花弁デスペルタル』は装甲に突き刺さっていた。


出来る限り先端を細くした『破壊の花弁デスペルタル』だ。これなら相手にダメージを与えられるらしい。厄介な。


「まあ、後はリリーナ達に任すか」


視界の隅で捉えたベイオウルフの姿にオレは笑みを浮かべながらゆっくりと後ろに下がる。群青色のフュリアスはベイオウルフを視界に捉え、そちらを振り向いた。


「楔は放ってあるからな」






「群青色のフュリアス。派手だね」


『蒼鉛色のイグジストアストラルと比べたらマシな方だ。青をパーソナルカラーとした隊長機は少なくない』


群青色の巨大なフュリアスを視界にとらえたリリーナは呆れたように声を出している。対するルーイはアンカーを射出してクルシスの外壁に突き刺しそのままクルシスの甲板に着地した。


『援護はする』


「了解。じゃあ、ベイオウルフの火力を見せてあげるよ!」


リリーナはすかさず出力を上げながらグラビティカノンダブルバレットの引き金を引いた。放たれたエネルギーの奔流はちょうど間にいる四肢が破壊されたフュリアスを呑み込み群青色のフュリアスに直撃する。だが、グラビティカノンダブルバレットから放たれたエネルギー弾はその装甲によって弾かれた。


弾かれた際の情報からベイオウルフがぐう群青色のフュリアスの装甲のデータを叩き出す。


「リアクティブアーマー!?」


装甲の名前を見たリリーナは驚き大声を出しながら群青色のフュリアスが向ける砲から避けるように大きく横に飛んだ。ベイオウルフがいた場所をエネルギー弾が通り過ぎる。


「グラビティカノンダブルバレット最大出力。オーバーロード。これなら!」


次々と放たれるエネルギー弾を回避しながらリリーナは群青色のフュリアスに向かって引き金を引いた。放たれるエネルギー弾はまさに暴力そのもの。莫大なエネルギーと共に群青色のフュリアスが放つエネルギー弾を呑み込んでその装甲に直撃した。


だが、エネルギーは散らされる。そもそも、リアクティブアーマーは当たったエネルギーを効率よく減衰させるエネルギーを出すものだ。つまり、魔力兵器では傷つけることは難しい。


『そうか。あれが、アレキサンダーか』


「アレキサンダー?」


隙を探すように群青色のフュリアスの周囲を駆け回るリリーナにルーイはモニターの中で頷いた。


『アレキサンダー。レジスタンスのもう一つの勢力の代表であるクロラッハ専用機。直接戦ったことがないからわからないが、アレキサンダーは最強のフュリアスとして名高い機体だ』

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