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新たな未来を求めて  作者: イーヴァルディ
第三章 悠遠の翼
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第百三十七話 リバースゼロ・フルアクセス・レーヴァンテイン

火力のインフレが起きちゃいます。

「ふん!」


マクシミリアンの拳が大地を穿つ。だが、今回は孝治と正の二人を殴りつけてからだった。


リバースゼロとファンタズマゴリアによってお互いにダメージを無くした二人が大きく後ろに下がる。


「孝治。今の」


「ああ。一瞬だが動きが止められた。あれがクロノストリガーか」


「一つの能力としてはいまいちだけどね。あそこまで身体能力の高い相手に使われたら普通は必滅の攻撃になるよ」


「俺達で良かったというべきか」


リバースゼロも正が使うファンタズマゴリアもどちらも防御用のものでありリバースゼロもファンタズマゴリアはすぐさま発動出来るため例え時が止められても反応さえ出来ればダメージを無くすことが出来る。


「問題は、アークが全て六つあるってことだね」


「ああ。アークフレイが身体強化だと過程したなら後四つ」


「防御系が一つある可能性があるね。又は回復系か」


「運命は確かに貫いた」


「だったら、回復系だね」


「何をごちゃごちゃ言っている。来ないのか?」


マクシミリアンは能力を予測していた二人に向かって声をかける。対する二人は身構えるだけだ。


あまりに未知数な能力に二人は動けない。これが今のアークと同じならば二人は戦いを挑んでいただろう。


「ならば、こちらから行くぞ」


「本当なら来て欲しくはないけどね!」


「そうか。ならば、アサルトブリッツ」


マクシミリアンが加速した。正解にはありえない速度での加速。孝治や正はとっさに反応しようとするがマクシミリアンの速度からは明らかに遅い。


マクシミリアンは二人を回り込むように動き、そして、地面を蹴る。


「クロノストリガー」


それにようやく追いついた二人が武器を構えようとした瞬間、二人の時が止まった。そこに飛びかかるマクシミリアン。


狙いは正。孝治と違いファンタズマゴリアは完全じゃない。


「まずは一人」


動き出した時に目を見開く正に向かってマクシミリアンは拳を叩きつけた。だが、ただの拳じゃない。


魔力を纏った面への攻撃を行う拳。ファンタズマゴリアが最も弱い攻撃を放ったマクシミリアンは笑みを浮かべ、そして、固まった。


何故なら、対する正も笑みを浮かべているから。


「ファンタズマゴリア」


正が作り出したファンタズマゴリアとマクシミリアンの拳がぶつかり合う。


果たして、勝ったのは正だった。マクシミリアンの拳は大きく弾かれ正はそこに抜き放ったレヴァンティンレプリカを叩きつけた。


「破魔雷閃!」


閃光の斬撃はマクシミリアンを大きく切り裂きマクシミリアンを後ろに下がらせる。


「バカな。ファンタズマゴリアは面に対する攻撃は受けきれないのではなかったのか!?」


ファンタズマゴリアは点又は線への攻撃に対して全てを受け流す技。だから、マクシミリアンは迷うことなく拳を打ち込んだのだ。


結果はむしろ跳ね返された。そう、跳ね返された。


「そうだね。周のファンタズマゴリアは面への攻撃が有効的だ。だけど、僕のファンタズマゴリアは面は得意分野さ。周のファンタズマゴリアは受け流し専門。僕のファンタズマゴリアは反射専門。デメリットとして乱反射を起こすから近くにいる味方も巻き込むけどね」


そう言いながら笑みを浮かべる正に対してマクシミリアンは完全にキレていた。


孝治のリバースゼロも正のファンタズマゴリアも力のあるマクシミリアンにとって相性は最悪だ。特にリバースゼロは一撃で運命の能力を無条件で発動させられる。対する正に攻撃しても反射されて終わり。


「この、地上にいる虫けらの分際で!!」


「ようやく本性が現れたみたいだね」


「やはり、天界至上主義か。だが、それならば倒すには十分な理由だ」


「だけど、クロノストリガーにアサルトブリッツ。どちらも一筋縄ではいかないよ」


「問題ない」


孝治が運命を握り締めてマクシミリアンに向かって地面を蹴る。そのまま素早くエネルギーバッテリーを運命につけて斬りかかった。


だが、孝治の時が一瞬だけ止まり、マクシミリアンが大きく後ろに下がる。クロノストリガーによって動きを止められた孝治は動き出した時の中さらに踏み出そうとして、


「グラビトンプレス」


地面に叩きつけられた。正確には上から押さえつけられた。


クロノストリガー、アサルトブリッツに続くマクシミリアンが持つ新たな能力によって孝治は行動不能になる。


「虫けらごときが神に仇なすからだ。さあ、後は貴様だけだ」


「グラビトンプレス。重力系のものか。全く、そんな奥の手があるなんてね」


「冷静でいいのか? 次はお前だ。リバースゼロでグラビトンプレスは耐えられてもファンタズマゴリアでは耐えられまい」


「確かにファンタズマゴリアじゃ耐えられないけど、そんなにペラペラ話していいのかな? それは負けフラグだよ」


「神にそのようなものは存在しない。ならば、我は絶対だからだ。この絶対の力で貴様を滅ぼそう。天界、いや、世界にとってそれがいい」


マクシミリアンが狂ったような笑みを浮かべたままゆっくりと正に近づく。対する正は笑みを浮かべたままレヴァンティンレプリカを構えた。


まるで、何かを信じているかのような目にマクシミリアンの眉が微かに細まる。だが、グラビトンプレスの能力を知るマクシミリアンははったりだと感じて前に踏み出した瞬間、


ゆらっと背後で巨大な気配が膨れ上がった。


マクシミリアンがゆっくり振り返る。そこにはグラビトンプレスの中、四肢に力を入れて立ち上がる孝治の姿があった。


「バカな。グラビトンプレスの中、リバースゼロでも動けるはずがない!」


「普通なら動けないだろうな。だが、天王マクシミリアン。戦いに絶対はない」


そして、孝治が天を指差した。思わず見上げた先にあるのは雲。太陽を覆い隠さんとばかりに分厚くなった雲の姿だった。


「孝治。準備はいいよね」


見事なウインクをした正に孝治もウインクを返し運命を構える。


「ここからが俺のターンだ」


「くっ、グラビトンプレス!」


マクシミリアンがグラビトンプレスを発動する。普通なら完全に動けなくなる攻撃。だが、そこに孝治の姿は無かった。


すでに雲はここら一帯の光を遮っている。


「遅い!」


孝治の声はマクシミリアンの背後から聞こえてきた。それと同時にマクシミリアンの体を運命が斬り裂く。


とっさに振り返りながらマクシミリアンが拳を振るうがそこに孝治の姿は無く、拳はただ大地を砕くだけだった。


「ここだ!」


マクシミリアンの背中に魔力の矢が突き刺さる。痛烈な痛みを感じて振り返った先に孝治はいない。変わりに、孝治はマクシミリアンの背後で運命を振りかぶっている。


「アサルトブリッツ!」


マクシミリアンが加速して孝治の攻撃範囲から離れる。これなら大丈夫だとマクシミリアンが感じた瞬間、背後からの運命の一閃がマクシミリアンの背中を斬り裂いていた。


「クロノストリガー! グラビトンプレス!」


後方にいる孝治に向かってクロノストリガーとグラビトンプレスをかける。だが、そこに孝治の姿は無く二つの技は完全に不発に終わった。


孝治のレアスキルである『影渡り』。影から影へ移動する能力だが、それは太陽の光又は太陽に近い光によって出来た影が二重以上に交差している点へ移動も出来る。


だからこそ、ヒットアンドアウェイによる高速連続攻撃戦法によって孝治は夜というフィールドでは世界最強の名を持っている。それは天王であるマクシミリアンですら圧倒する能力。


「この、虫けらが!!」


速度という次元を超えた攻撃に対してマクシミリアンが取るべき行動は一つだけ。


運命の刃がマクシミリアンの体を削った瞬間、マクシミリアンは全方位に向かって衝撃波を放っていた。魔力任せの衝撃波だが、速度という次元を超えた相手に対してはそれだけでも脅威となる。


だが、孝治が超越しているのは速度ではなく空間。そんなものは簡単に回避することが出来る。


「本当に、以心伝心って便利だね!」


正のその言葉に振り向いたマクシミリアンを待っていたのは真理の追求レヴァンティンの魔術陣を展開している正の姿だった。その隣には孝治がいる。


つまり、真理の追求レヴァンティンによるアクセスで真理の一撃レーヴァンテインを放つことが出来る。


「マクシミリアン。これで終わりだよ! 真理の追求レヴァンティンフルアクセス!!」


「穿て。真理の一撃レーヴァンテイン!!」


真理の追求レヴァンティンによって高められていた魔力を孝治が指向性を持たせ二人で放つ。


前と違うのは今回の真理の一撃レーヴァンテインは先程よりもはるかに威力が高いという点だ。限界ギリギリまでアクセスした真理の一撃レーヴァンテインは防御すら出来ない凶悪な一撃となる。


だが、放たれた真理の一撃レーヴァンテインを見てマクシミリアンが笑みを浮かべたのを孝治は捉えていた。だから、


「リバースゼロ!」


叫ぶ。最悪の可能性を考慮して。


真理の一撃レーヴァンテインがマクシミリアンを直撃する。真理の一撃レーヴァンテイン自体の照射時間は大体3秒ほど。だから、すぐに撃ち終わるため撃ち終わった正はその場に座り込んだ。


あれだけ膨大な魔力を操り破壊の塊を放ったのだ。疲労具合は孝治と比べ物にならないだろう。


「これで、さすがの天王も倒れたよね」


直撃した際に起きた爆発による土煙を見ながら正は孝治に問いかけた。だが、孝治は険しい顔で前を見ている。


真理の追求レヴァンティンのフルアクセスにおける真理の一撃レーヴァンテインの威力はまさに世界を滅ぼすことすら考えられる威力だった。普通に考えれば防御したとしても簡単に塵となる。


だが、正の表情は固まった。何故なら、そこには淡い光の盾を構えたマクシミリアンの姿があったからだ。


「ありえない。フルアクセス・真理の一撃レーヴァンテインを受け止められるものなんてこの世に存在しない! 絶対に存在しないはずなのに!?」


「小さいな。だから、予測出来ないのだ。スターミラージュ。八時間に一度だけ攻撃を受け止め、攻撃を三倍にして返す特殊な反射能力。どんな力でも吸収して反射可能だ」


「じゃあ、フルアクセス・真理の一撃レーヴァンテインは」


「吸収させてもらった。さあ、貴様らが放った一撃。受け止めきれるかな?」


マクシミリアンがスターミラージュを正に向ける。


マクシミリアンが言う事が本当ならフルアクセス・真理の一撃レーヴァンテインは三倍の威力となって正に襲いかかるだろう。それは完全な死を意味する。


人は理解を超えたものと出会った時、動くことが遅れる。このままでは死ぬという警鐘が頭の中に鳴り響いているのに正の体は上手く動いていない。


ありえないから。ありえないから今の現状を正は理解出来ていないでいた。


「さあ、塵も残さず消え去るがいい!」


マクシミリアンの前で魔力が収束を開始する。その量は桁違いを通り越したまさに神の領域。神以外が到達出来ない領域だった。


「虫けらが神に抗うからだ!」


「ならば、お前は神ではない」


そんな二人の間を弓を構えた孝治が立っていた。矢の代わりに運命が当てられている。


「真の神はオレ達を見守るだけの存在だ。手出しはしないし平等に接する。人界天界魔界音界関係なくな」


「それは虫けらの発想だ。神は選ぶ。選ばれし者達を。そして、貴様らはここで塵となるのだ」


「ならばこう言わせてもらおう。慢心がすぎるぞ天王マクシミリアン!!」


「孝治!?」


力の暴力の前にいるのにあまりに余裕な孝治に正が語りかける。すると、浮遊するリバースゼロがどこからともなく現れ孝治のそばで止まった。


その時になって正はようやく思い出す。あの時、フルアクセス・真理の一撃レーヴァンテインを放った際に孝治がリバースゼロを使っていたことを。


「お前の慢心はこの手で砕く」


「出来るものならやってみるがいい! 不可能なものは不可能なのだ!!」


「ならば、不可能という運命を俺は切り裂いて見せる。リバースゼロ・フルアクセス・レーヴァンテイン!!」


リバースゼロに貯められたエネルギーが全て運命へと蓄積する。そのエネルギーは桁違いであり、まるで、真理の一撃レーヴァンテインのエネルギーをそのまま移したかのように。


「まさか」


マクシミリアンの顔色が変わった。それに孝治は笑みを返す。


「フルアクセス・真理の一撃レーヴァンテインが当たる直前、お前に対してリバースゼロを展開させてもらった。一秒と少しは受け止められたが、残りは全て吸収させてもらった!」


「だ、だが、スターミラージュは三倍返し。たった二秒弱しか吸収していないリバースゼロでは」


「ならば試せばいい」


絶対の自信と共に孝治は言い放つ。


孝治は信じているのだ。己の神剣と己の相棒を。


「運命は自ら掴む。お前が死の運命を放つならば、その運命を俺達は切り裂くまでのこと」


「くっ、ならば、死ね!!」


マクシミリアンがスターミラージュによってフルアクセス・真理の一撃レーヴァンテインを放った。対する孝治は笑みを浮かべたまま運命を放つ。


漆黒が光の中を駆け抜けた瞬間、マクシミリアンが放ったフルアクセス・真理の一撃レーヴァンテインはいとも簡単に蹴散らされていた。そして、リバースゼロ・フルアクセス・レーヴァンテインによって膨大な魔力を纏った運命がマクシミリアンの体を斬り裂く。


「マクシミリアン様!」


片膝をついたマクシミリアンにアーク・レーベが近づいた。周囲で見守っていた兵士達もマクシミリアンを守るように展開する。


「アーク・レーベ。邪魔を、するな!」


「聞けません。全員、マクシミリアンを連れて退却だ。私が殿軍を務める」


アーク・レーベの言葉と共にマクシミリアンが兵士に連れられて下がっていく。だが、アーク・レーベだけは孝治を睨みつけていた。


「これ以上戦うなら、全身全霊で相手になろう」


だが、その言葉に孝治は答えない。不安になった正が孝治に近づくとそのまま孝治は後ろに倒れてきた。慌てて正が孝治を抱き留める。


さすがに好機と見たのか兵士の何人かが動こうとしたがそれより早く紫電が駆け抜けてアーク・レーベの前に刹那が現れていた。


「それ以上くるなら相手になるッスよ」


「刹那、お前か」


「天界の現実を見に来たッス。百聞は一見にしかずッスね」


「分が悪いか。今回は見逃してもらおう」


「こっちは戦うつもりはないッスよ」


アーク・レーベが笑みを浮かべて背中を向ける。それを見た刹那は構えをといた。


「ともかく、これからが大変ッスね」


その言葉は何に対して言ったのか、それは刹那にすらわからなかった。

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