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新たな未来を求めて  作者: イーヴァルディ
第三章 悠遠の翼
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幕間 推測

二話前と三話前では日にちが変わっています。わかりにくいと思うので一応。

炎獄の御槍にレヴァンティンを合わせて簡単に受け流す。そのまま一歩を踏み出しながらレヴァンティンをメグに向かって突くが、メグは一瞬で高密度の炎を作り上げてレヴァンティンの刃先を受け止めていた。


すかさず後ろに下がりながらレヴァンティンを鞘に収めて腰を落とす。


「高密度の炎による防御か。また一段と強くなったな」


「お兄ちゃんが強くしてくれた」


「さいですか。まあ、北村信吾が音界にいたことには驚くけど、お前の強くなるレベルにはさらに驚くな」


というか、物理攻撃を受け止める炎って不可能に近いものだぞ。一応、不可能じゃないけど炎という熱量を空間に留めて固定化させる。密度的には本来の125倍ほどの炎が必要だ。


まあ、そんな量を集めようとしたら魔力が枯渇するけど。


「努力の天才だと思ってたら、ただの潜在型の天才だったか」


「うわっ、私の評価が落とされている気がする。これでもかなり訓練したんだから。大体、音界に行ってもマンガはないしゲームもないしテレビもないし訓練しかすることなかったし」


「お前は何のために音界に行ったんだ?」


こいつにとって任務は旅行か?


オレは一歩踏み出しながらレヴァンティンを鞘から抜き放つ。その軌道に合わせてメグが炎獄の御槍を構え、レヴァンティンを受け流した。


すかさずレヴァンティンを翻して炎獄の御槍に叩きつける。


「紫電一閃を見切れるようになったのか?」


「予測していたら対処はしやすいから。でも、反撃出来なかった」


「白百合流は連撃の剣技だからな。無理もないっと」


オレはさらに一歩を踏み出しながら炎獄の御槍を蹴り上げた。メグの腕が不自然に跳ね上がりちょうどメグの目の前までレヴァンティンが移動する。


メグは腕を上げた姿勢のまま何回も瞬きをしていた。何をされたのかわからないのだろう。


「八陣八叉流『浮雲』。まあ、メグが音界に行ってわかったことがあるからなお良かったけど」


「わかったこと? 何かあったっけ?」


「お前の兄、北村信吾とお前が会ったことだよ。おかげで推測がしやすくなった。もう一回手合わせするか?」


「お願い」


オレとメグが同時に距離を取る。そして、レヴァンティンを鞘に収めて柄を握り締めた。


メグも両手で炎獄の御槍を握り、穂先を下に向ける。


「ねえ、周。推測ってどういうこと?」


「まあ、こうだったならいいな、という状況だな」


レヴァンティンを握り締め、一歩を踏み出す。メグはすかさず炎獄の御槍を突いてくるが半身となって避ける。


そのまま振り回しが来るな。


そう感じたオレは後ろに下がった。ちょうど前を炎獄の御槍の穂先が通り過ぎる。メグはそのまま勢いを利用して炎獄の御槍を背後に突き刺さって棒高跳びの応用で高く宙返りを行った。


槍が振り回しをした場合、振り回しを行った後に大きな隙が出来る。本当ならあそこで距離を詰めるべきだけどそうしたならあの蹴りが顎を捉えて一撃で昏倒。


まあ、簡単に出来ることじゃないけど。


「本当に強くなったな」


「ありがとう。この子がいたらどんなことでも出来ると思うから。周が考える状況って?」


「敵味方が明確に区別出来る状況。若干強引な推測だけど、あまり間違ってはいないはずだ」


「それまたすごい状況ね。でも、もしそんな状況だとしたなら私達が動いた方が早くない?」


「早いことには早いな。だけど、音界のことは音界が決める。それが一番だ。孝治や音姉達にも要請があるまで動くなと言っているし」


もし、ここでオレ達、ひいては『GF』や『ES』が介入したなら音界の状況は一変するだろう。だけど、それではダメだ。


そうなれば音界が『GF』と『ES』に対する依存率が高くなってしまう。少し強引な手段だとしても、今回のことは音界が解決する方がいい。


まあ、孝治達に動くなと言っているわけじゃないけど。


「ふーん。難しいんだ」


メグが一歩踏み出してくる。すかさず一歩を踏み出しながらレヴァンティンを鞘から抜き放った。


レヴァンティンと炎獄の御槍がぶつかり合い、お互いに弾かれる。オレはその場で踏ん張りながらレヴァンティンをすぐさま戻した。だが、メグは後ろに下がっている。


炎獄の御槍が弾かれた際に一緒に後ろに下がったのだろう。まあ、悪くはない判断だ。


「ああ、難しい。特にその辺が難しい。下手に動けば国際問題だし、動かなければこちらの動きが問題視される。まあ、どうしようもないけどな」


「あはは。そうだね」


こういう時は世渡りの上手い奴がいればいいんだけど、いい意味でも悪い意味でもそういう奴が少ないのが第76移動隊なんだよな。


オレなんて想定外の事態になれば完全に混乱するし。


「でも、音界をどうにかしたいとは思うよ。私だって少しはあそこにいたけど、みんないい人だし魔術でお金が稼げるし」


「自分の魔術を見せ物にするなよ。レヴァンティン」


一歩踏み出しながらレヴァンティンを振り抜く。それと同時に光の槍がメグに向かって放たれた。メグはすかさず横に跳んでレヴァンティンを回避する。オレは横に跳んだメグに向かってさらに一歩を踏み出した。


振り上げたレヴァンティンに紫電を纏わせて振り下ろす。紫電の一撃は一瞬で空間を駆け抜け炎獄の御槍を激しく打った。


そんな中でもメグは必死に堪えて炎獄の御槍を落とさないように受け止めた。


メグの動きが完全に止まった瞬間、オレは体を沈み込ませながらメグに向かってさらに一歩踏み出していた。


放った肘がメグの顎寸前で止まる。メグは炎獄の御槍を両手で握り締めたまま完全に動きを止めている。


「まあ、悪くはなかった。メグにしてはかなり保ったほうじゃないか?」


「なんかむかつく。というか、途中で破魔雷閃を組み込まないでよ」


「悪い悪い。白百合流の剣技をベースとしているからどうしても破魔雷閃くらいしか使えないんだよな。他のオリジナル剣技は繋ぐ目的じゃなくて決める目的で使用するし」


「他の奴も反則に近いくらい強いから」


オレは苦笑しながらレヴァンティンを鞘に収める。対するメグも苦笑しながら炎獄の御槍に聖骸布アストラルを巻きつけた。


「ともかく、ありがとう。戦い方を少しはわかった気がする」


「そりゃどうも。まあ、メグがどこまで強くなるかはオレでも推測出来ないけどな」


「そうなの?」


「お前な。お前が第76移動隊に入ってからどれだけ強くなったと思う? 学園都市のランキングから言ったらごぼう抜きだぞ」


今のメグは下手すればSランク相当の実力があってもおかしくはない強さになっている。


戦場ではバランス型なのだが強力な魔術と多彩な槍捌き。この二つは同年代では一線級と言ってもいい。そもそも、メグの本気は模擬戦では出せないことを考えてもSランク相当と言われてもおかしくはない。


本気を出したらオレでも危ないかもしれないからな。


「ねえ、周。どうなっているのかな?」


「何がだ?」


「世界のこと。人界も音界も魔界も天界も全てひっくるめての話。最近、戦いが酷くなっていると思うから」


滅びが近づいているからみんな強行手段に出ている。と言うのは簡単だ。だが、それは質問の回答にはなっていないだろう。


世界がどうなっているかなんてオレだってよくわかっていない。だけど、人界の動きはもしかしたらであるが推測は出来る。


「音界と比べたらかなりマシだ。あそこはレジスタンスに天界やセコッティみたいな様々な勢力がいる。さらにはファントムみたいな得体のしれない勢力が。ただ、戦いを終わらす方法は簡単に推測出来るけどな」


「どういうこと?」


メグが不思議そうに首を傾げる。オレはそれに笑みを浮かべた。


「精霊召喚符を裏でバラまいている存在。それが全ての大元だ」

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