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新たな未来を求めて  作者: イーヴァルディ
第三章 悠遠の翼
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幕間 創世計画

実は幕間の方がかなり本筋の内容だったりもします。

小さくため息をつきながら立体ディスプレイに流れる文字列を見て行く。


かれこれこういう作業を5時間ほど続けていた。天井のネットワークを無断で経由しながら。


『いやはや、まさか、マスターがここまでやるとは』


レヴァンティンが頭の中で語りかけてくる。こういう時に精神感応は楽だからな。幾らこういうことに慣れていない奴らが相手だとしても、話さないに越したことはない。


それに、今回ばかりは適任はオレくらいだ。


『まあ、確かに面白いデータは山ほど見つかりますね。さすがは首相官邸。機密情報が満載です』


まあ、その大半はダミーだけどな。


文字列を見ながらオレはレヴァンティンに言葉を返す。


こういうタイプのデータは解読は極めて容易い。そして、変更も容易い。管理する者も盗み見る者にも、そのどちらにも優しいタイプだ。ただし、全体的に見れば難易度は極めて高いデータだったりする。


それこそ、迂闊に手を出せば数分で警察が飛んでくるレベルの難易度だ。


とは言っても、レヴァンティンが大量に抜け道をあらかじめ作っているため一回や二回では見つかることは少ない。


『それにしても、マスターがあの人の言葉を鵜呑みにするなんて』


鵜呑みにするわけじゃない。


オレは立体ディスプレイにあった文字列データを抽出する。巧妙には隠しているがこれが本物だ。


前々から違和感があったんだ。それを考えても、あいつが言った言葉を信じていた方が見つけやすい。


『『GF』と国連は繋がっており、明確な未来へのビジョンが存在する、ですか? しかも、滅びの後のビジョンが』


ああ。第76移動隊自体が滅びに対するために集められた部隊だ。だったら、それの大きなものがあってもおかしくはない。


もしかしたら、『GF』自体がそうかもしれない。


『それまた壮大なビジョンですよね。主導者はやはり』


慧海や時雨達としか考えられないな。無限の寿命を持つからこそ、指導者として主導していける。


『『GF』と国連の不和はそれが理由だと?』


そもそも、『GF』がどこから補助金を得ているかお前ならわかっているだろ?


『民間人及び企業と護衛相手、及び国と国連』


『GF』の資金源の八割は前者だし、案外自腹というのは多い。特に第76移動隊の場合は基本的に自腹だったりする。その分、年収は平均を遥かに上回っているが。


『GF』のお金はどこから来ているか。それは寄付だ。学生『GF』隊員で年収170万ほど、普通の『GF』隊員なら年収800万はあるためお金の遣り繰りはかなり大変ではある。寄付だけで賄えない。


『GF』が崩壊すれば国も危なくなるためある程度、二割ほどは国や国連が出している。この時点である矛盾が浮かび上がる。


『GF』と国連とは仲が悪い、という話だ。それなのにお金を出しているのは絶大な軍事力か裏取引があるか。


もし、国連が世界の滅びに対して『GF』と共闘しているなら少々困った事態になるかもしれない。


『考え過ぎ、と言いたいところですが誰も語れないところでしたし』


これで上手く見つければいいんだけどな。レヴァンティン、証拠隠滅は終わったか?


『終わりましたよ。脱出しましょう』


周囲、というより首相官邸全体を気にしながらゆっくりと飛翔する。


魔力を放出する属性翼なら見つかる可能性はあるけど、魔力を吸収するこの翼なら見つかる可能性は無い。そう考えるとなかなかに便利なんだよな。


ダクトを伝わって首相官邸から外に出る。そして、小さく息を吐いた。


「さてと、これから解析だな」


『そうですね。重要なワードが見つかれ』


レヴァンティンからの言葉が止まる。オレは周囲を把握するがオレ達を見つけた気配はない。


「どうした?」


『マスター、あなたはとんでもないものを引き当てましたね』


レヴァンティンの声が震えているような気がする。一体、何があったんだ?


『滅びの対抗策どころか、このデータは滅びの後まで描かれた未来像です』


「なっ」


いきなり大物を引き当てるなんて。


『その名前は、『創世計画』、です』

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