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新たな未来を求めて  作者: イーヴァルディ
第三章 悠遠の翼
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第六十二話 マテリアルライザーVSダークエルフ

思っていた以上にすごい戦いになりませんでした。マテリアルライザーは相変わらずですが。

体を反らす、だけじゃ回避出来ないからそのままブリッジの姿勢で対艦剣を回避しながら足を跳ね上げた。だけど、その足は回避される。すかさず倒立姿勢から腕だけで飛び上がって空中で体を捻らせながらライルダムで向かってきたエネルギー弾を打ち払った。


これが本気の悠人、というより暴走した悠人というわけね。


「こっちの攻撃全回避とかありえねー」


「私からすればフュリアスで三回転捻りの方がありえねーですけどね」


エリシアがセンサーを操作しながら返してくる。つまりは六回転半捻りをしろということだろうか。


なかなかに難易度を上げてくる。


「どちらにしても、悠人を助けるにはダークエルフのリアクティブアーマーを破壊することが前提です」


「リアクティブアーマー自体がファンタズマゴリアの理論を科学で証明したものだろ。高密度の刃が継ぎ目を弾くか。ともかく、マテリアルライザーじゃ不利だな」


「それでも、悠人を助けるためには」


「誰が無理だって言った!」


オレがすかさずレイルダムを突き出した。不動の体勢からの神速の突きかつ悠人に反応させない攻撃。


ダークエルフはマテリアルライザーと違って一撃では落ちない。だから、軽い攻撃には勘は動かない。だから、オレはレイルダムを右肩のリアクティブアーマーの継ぎ目に当てていた。そして、リアクティブアーマーを弾く。


空に舞うリアクティブアーマーを飛び上がり弾きながら振り抜かれた対艦剣の上に飛び乗り弾いたリアクティブアーマーに近いリアクティブアーマーをもぎ取った。


ここまで数秒。反応速度的にはギリギリ。すかさず側転しながら距離を取る。悠人は対艦剣を握り締め踏み出そうとするがオレ達に向かってエネルギー弾が降り注ぐ。


「ちっ! 悠人を止めるには空にフュリアスを倒さないといけないのかよ! ちょっとくらい待ってくれてもいいだろ!」


「漁夫の利を獲る方が明らかに有利ですけどね」


「だろうな。まあ、今攻撃するなら悠人が、くっ」


こちらに踏み出してくるダークエルフにオレは大きく後ろに下がった。


マテリアルライザーのフレームは地上戦において最大限までの駆動を可能としているから着地した瞬間横に転がる。


本来なら膝を壊しかねないから速度を落とすがそこは魔鉄の存在が解決してくれる。だから、オレは降り注いでくるエネルギー弾をライルダムで打ち払った。


ダークエルフはこちらに向かってくる。みんなが戦っている位置を確認してどう戦うかを一瞬で導き出す。それを精神感応の応用でエリシアに流す。エリシアはすかさず答えを返してきた。


「大丈夫です」


「大丈夫なのか?」


「私はあなたを信じています。空は私とアル・アジフに任せてください」


「そうだな。なら、任せたぜ!」


ダークエルフがペネトレートを放ってくる。それを簡単に回避してオレは前に踏み出した。


これを間違ったらオレも死ぬしおそらくエリシアも死ぬ可能性が高い。だけど、二人はオレを信じてくれている。だから、オレは前に踏み出すだけ。


感覚を研ぎ澄まされる。マテリアルライザーは一撃でもかするだけで終わりだ。だから、オレの感覚は予測をし続ける。そのデータがオレの精神感応を通じてマテリアルライザーにデータが送られる。マテリアルライザーが持つシステムがそれを処理する。


最大限まで処理したマテリアルライザーが可能なことが一つだけある。これは学園都市に戻ってから気づいたことだ。


オレの勘を未来予知の一つとして処理することでマテリアルライザーのみが可能な先読みを可能とした。


ダークエルフが右の対艦剣を振り抜く。そして、振り抜きながら回転しながら逆の手にある対艦剣を振ってくる。だから、レイルダムで受け止めながら棒高跳びのように飛んでライルダムで回転しながら振られた対艦剣に向かって叩きつけてさらに飛び上がった。


ダークエルフはすかさず対艦剣からエネルギーライフルに代えるが空中ですかさず振り抜いたレイルダムが銃身の半分から断ち切っている。着地した瞬間にはすぐに後ろに下がってダークエルフから距離を取る。


今のは危なかった。というか、普通なら殺されてる。


「ミスったな」


オレの呟きにエリシアは答えない。答えられないわけじゃない。答えないのだ。


悠人は確殺の攻撃をするような戦い方じゃなかった。ただ音界に送って療養させるためじゃダメだったんだ。


「悠人。お前はオレが、オレ達が救う! お前みたいな奴は、戦わない方がいいんだ」


『僕が救うんだ』


返ってくるのは悠人の虚ろな声。


『僕がみんなを救うんだ! だから、死ね! 殺す。殺して、敵を殺してみんなを、みんなを救うんだ!』


オレは拳を握り締めた。そして、前に出る。向かってくるダークエルフの対艦剣を受け止める。今の悠人の動きは効率的に敵を破壊する動き。ならば、そこを対処すればいい。


「殺してどうにかなる、なんて言える立場じゃないからな。だけど、一つだけ言わせてもらうぜ!」


対艦剣を弾き、後ろに下がる。


準備は整った。だからこそ、悠人には言わないといけない。


「これ以上、人殺しはしなくていいんだ!」


『違う!! 僕は人殺しなんかじゃない!!』


ダークエルフの動きが鈍る。その瞬間に空のフュリアスは一斉にオレ達に狙いを定めていた。それにオレは笑みを浮かべる。


「光輝く事象を纏いて全てを弾く光と為せ!」


マテリアルライザーを中心に巨大な魔術陣が形成される。そして、その魔術陣に大量の光弾が装填された。アル・アジフが持つ最大級の魔術。


マテリアルライザーだからこそ可能な広域かつフュリアスに対して最大の効果が発揮できるやり方。


「光が世界を覆い尽くし、その身を穿つ法則を作り出せ。そして、この身に集え。白の一人一軍(ラグナロク・ワンマンアーミー)!!」


理論上ではほぼ不可能な位置に存在している魔術をオレはアル・アジフの力を通じて展開する。魔術陣に装填された光弾は全てマテリアルライザーの体に纏わりついた。


目の前に表示される時間は35秒。マテリアルライザーの体が原型を保っていられる時間。つまり、その間に空の敵と地上の敵を全て倒さないといけない。


だから、オレは飛び上がった。光を纏い、光の属性翼である光の翼を強制的に作り出して飛翔する。


向かってくるエネルギー弾は高密度となった魔力が全て弾く。だかrあ、敵の攻撃を関係なくオレはレイルダムとライルダムを振り抜きながら翔け抜けた。


「必要撃破空中戦力の3%を確認。六時の方向に密集しています!」


「助かる」


纏った光を剣に乗せて放つ。それは途中で爆砕して周囲に光の槍を飛び散らせていた。次々と戦闘不能になるフュリアスをしり目に向かってくるフュリアスを戦闘不能に陥れてくる。


だけど、まだまだだ。制限時間はあと25秒。


「29%!」


「そこだ!」


光を剣に乗せて放つ。このまま制限時間内に悠人を無効化する場合は15秒は欲しい。だから、5秒だ。


5秒で何が出来る。今の攻撃でだいたい40%くらい。だから、5秒で何が出来る? マテリアルライザーによって導き出される結果じゃない。自分の能力を最大限にして使うんだ。


「集え!!」


イメージは大きな翼。大きな翼を形成できるくらいの魔力を全てライルダムとレイルダムに集める。そして、振り回し、振り切るだけ。


「叩き斬れ!」


巨大な光の刃が周囲を一掃するのを確認しながらオレはダークエルフに向かって翔け下りた。今の技の反動かはわからないがマテリアルライザーの右腕がボロボロになっている。15秒、持ってくれ。


その瞬間、オレの背筋を何かが貫いた。ダークエルフの攻撃じゃない。もしかして、


「エリシア! 強制終了!」


「えっ? はい!」


オレの叫びにエリシアが答えた瞬間、オレはエリシアに向かって手を伸ばしていた。エリシアが同じようにオレに向かって手を伸ばす。そして、マテリアルライザーの姿が消え去った瞬間、オレ達の手が合わさり、オレ達は光の中に呑みこまれていた。

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