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新たな未来を求めて  作者: イーヴァルディ
第三章 悠遠の翼
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第十一話 作戦詳細

最近何かと忙しくて更新が滞りがちですが、頑張って更新して行きます。

「これはどういうことですか?」


メリルが笑顔をひきつらせながら正座をしている二人に尋ねる。


一人は光さん。第76移動隊でも殲滅戦において最大の力を発揮出来る純粋な攻撃手。もう一人は海道正さん。僕を殺そうとした犯人だけど、多分、殺すつもりは無かったと思う。


「光さん? 海道正? 説明をお願い出来ますか?」


明らかに怒っている。明らかに怒っていて誰も口出し出来ない。


光さんは少し『GF』の正装の一つである戦闘儀礼服の裾が焼け焦げたくらいだけど、海道正の場合はゴスロリ服が新しく赤くなっている。


多分、着替えたのだろう。


「それは、正がうちにお酒を飲ませたから」


「その程度のことで?」


メリルが本気で怒っている。もう、止められないかな。


「あなたが破壊した城の一部は一体どれだけのお金をかけて修理しなければならないのですかね?」


その言葉に光さんがビクッと反応する。そして、隣にいる海道正を見た。海道正は完全に視線を逸らせている。


メリルは笑みを浮かべたまま振り返る。孝治さんの方に。


「花畑孝治第76移動隊副隊長。修理代は第76移動隊の貸し出し二回分でよろしいでしょうか?」


「ああ」


顔色一つも変えていない孝治が顔色一つも変えずに頷いた。


修理代が一体どれくらいになるのかなんて想像がつかない。


「今回はこれで許しましょう」


その言葉にホッとする二人。それを見たメリルの眼光が鋭くなった。


「ただし、作戦にはお二方を強制参加とさせていただきます」


「作戦?」


孝治さんが声を上げる。緊急会議の内容はまだ誰にも伝えていないからわからないのだろう。


「ええ。ベルトランを破壊した勢力に対して私達は少数精鋭で強襲作戦を繰り広げます」


「つまりは、ここにいるメンバーで強襲するのか? レジニア峡谷に」


「はい。メンバーを少し残すことは考えましたが、不祥事を起こしたメンバーがいることを考えて、歌姫親衛隊からはルーイとリマ。そして、先ほどの権利を使い第76移動隊を傭兵として依頼します」


「なるほど。わかった。ちょうど、部隊の三人がレジニア峡谷に向かっているはずだ。それに合流すればいいだろう」


冬華さんは剣技も見惚れるレベルだし、俊也君は優しい精霊達と一緒に仲良くさせてもらったことがある。委員長さんは確か武者修行だったっけ。


でも、このメンバーだと、


「なあ、メリル。本音を言っていいか?」


悠聖さんが手を上げる。おそらく、思ったことは僕も思ったこと。


「第76移動隊だけで十分じゃないか?」


孝治は第76移動隊で一、二を争う実力者だし、光さんも楓さんもエレノアさんも世界的に有名な砲撃術者。悠聖さんや俊也君にいたっては世界で一、二を争う精霊召喚師。冬華さんも強いし、僕やリリーナ、鈴の三人もフュリアスに乗ればかなり強い。


ある意味戦力過多。エレノアさんは間に合うかわからないけど。


「相手はベルトランを撃墜した集団です。いくら戦力過多でも相手の数がわからないなら戦力過多以上に戦力過多で叩き潰せばいいのです。違いませんか?」


「間違ってはいないが何か間違っているな」


孝治が海道正の顔を見る。海道正は軽く肩をすくめた。


「戦略的には何ら間違ってはいないよ。相手がわからないならこちらは持てる戦力全てを投入する。もちろん、ここには大量の兵力があるはずだ。僕は賛成はする。ただし、レジニア峡谷においてどういう戦術を取るかが問題になるかな?」

海道正の言葉にメリルが首を傾げる。それに海道正は小さく溜め息をついた。


「確かに、戦術は仕方ないか。僕は白川悠聖に現地の戦力を」


「悠人では駄目ですか?」


「無理だね」


海道正が即答で返す。確かに僕では無理かな。


「むしろ、君が指揮をすれば万事が解決するんじゃないかな?」


「私がですか?」


メリルが驚いたように自分を指差す。それに海道正は頷いた。


「そうだね。僕は君が指揮をするべきだと思う。特に、白騎士は君の指揮で無ければ動かないのじゃないかな?」


その言葉に離れた位置にいた白騎士が頷いた。


確かに、白騎士はメリルを崇拝しているし、白騎士の強さは悠聖さんと同レベルだと聞いている。さらには何も効かない強力な鎧であるアークフレイ。


それさえあれば戦略の幅は大きく広がる。


「私ですか? 私は指揮したことがないのであまり上手く出来るとは」


「俺は賛成しよう。下手な戦略なら力で強引にねじ曲げればいい」


「お前は本当にしたことがあるからな。まあ、オレも賛成で。さすがに、ここまで戦力が揃っていたなら負けることはまずないだろ?」


「私も賛成。エレノアさんが間に合えば、どんなフュリアスの軍団にも勝てるような気がする」


孝治さん、悠聖さん、楓さんがすぐさま海道正の提案に賛成する。それを聞きながら僕は頭の中で考える。


この時に僕はどう動いたらいいか。使う機体は限られているから現地まで皆さんを連れて行かないといけない。そうなると、僕がすべき役割は一つしかない。


高速飛行による制空権の確保。エクスカリバーなら出来る。


「うちは反対や。いくらうちらが強いと言っても、メリルは初心者。今回の作戦はさすがにあかんと思う」


「メリルには悪いけど私も。メリルは戦略を意識していないから。ここは大人しく悠聖さんでいいと思うよ」


「僕もだ。メリルはまだ戦術のせの字も習ってはいない。ベルトランがやられた以上、念には念を入れた方がいい」


「そうですね。私もルーイの意見に賛成です。メリルには悪いですが、やはり、今回は他の人に頼まないと」


「一つ疑問があるんだけど」


その中で白騎士が少し焦ったかのように尋ねてくる。


「ベルトランがやられたことをあまり重要視していない奴らがいるけど、正気?」


「えっ? たった80程度で?」


楓さんが驚いて言葉を返す。


確かに、楓さんは狭間戦役でほぼ100に及ぶフュリアスを収束砲一発で撃破したことがあるから間違ってはいないけど、何か間違っているよね?


僕でも80のフュリアスを相手にするなんて嫌なんだから。


「たったって」


「人界に行けば否が応でもそんなレベルの強さを持った生身の人間がいる。私だってそうだし孝治くんや光だってそう。戦場において数は絶対じゃない。戦場において活躍するのは絶対的な強さを持った軍団とそれを指揮する司令官。その二つが揃った時に畏怖される軍団が出来上がる。例えば、人界最強の部隊である第一特務やあらゆる場所に事後承諾で踏み込める第76移動隊とか」


確かに、第一特務は本当に強い人が集まっているし、第一特務から出た人は各部隊でもエースの実力を持っている。


第76移動隊も異色中の異色だ。おそらく、あらゆる部隊の中で最も凄いメンバーが集まったところ。事後承諾で踏み込めると言っても限度はあるけど、国境を越えて強襲出来るのはかなりの強みだったりもする。


「だから、私達は負けるつもりはない。私達の力ならこんな数でも勝つことは」


「そうは言ってられない事態になったとしても?」


その言葉と共に冬華さんがドアを開けて入ってきた。冬華さんの恋人、じゃなかった。思い人である悠聖さんが立ち上がって冬華さんに近づく。


冬華さんは珍しく灰色のセーターのようなものと青色のジーパンを吐いていた。


「どうかしたのか?」


「最悪の事態になったの。手短に話させてもらうわ」


次に冬華さんの口から出た言葉ははっきり言って衝撃的だった。


「フルーベル平原で精霊召喚符を大量に所持した一団が暴れている。一団の名前はセコッティだったわ」


その名前にメリルやルーイ達の顔色が変わる。僕は聞き覚えがないからわからない。


「レジニア峡谷は陽動の可能性があるわ」


そんな言葉を、冬華さんは僕達に叩きつけた。


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