幕間 別部屋にて
予測されていたのは気づいていたからです。
悠聖達が緊急会議とその後の準備に出ている最中、孝治達は別室で呑気にくつろいでいた。
どれくらい呑気かと言うと孝治が持っていたおつまみセットをこれでもかと取り出して広げて音界のお酒を飲んでくつろいでいる。
ちなみに、音界では16歳以上ならお酒を飲むため別に悪いことをしているわけではない。
人界ならダメだが。
「しかし、驚いたよ。まさか、僕の考えを読まれているとはね」
その中でもかなり上機嫌なのは正だ。すでに正の周囲には瓶の山が出来上がっていた。
より上機嫌な孝治もいるが。
「ふっ、考えが甘いというのだ。後ろに回り込むことくらいわかっていた。だからこその三人体制だ」
正はお酒をグラスでちびちび飲んでいるが、孝治はコップではあるがほとんど一気に飲んでいる。
すでに酒はかなり飲んでいるはずだが、孝治の顔に変化はない。
「なるほどね。でも、僕の速度を捉えていたわけじゃないだろ?」
その言葉に孝治は笑みを浮かべた。
「速度ではないだろ」
そんな二人の様子を見つめるように離れた席でリリーナと鈴の二人が呆れたようにその様子を見ていた。
エクスカリバーの簡単な調整なら終わって今は悠人が乗り込んで本格的な調整に入っている。
エクスカリバーもダークエルフも悠人がここに来た時点で学園都市争乱で小破したエスペランサと共に運び込まれている。だから、問題はない。
「出撃するのが私達だからって呑気な」
リリーナが呆れたように二人に向かって言う。それに向かい側の席にいる光や楓が苦笑していた。
この席の四人はお酒を飲んでいない。そもそも、微細な操作を要求されるフュリアスの操縦前にお酒は御法度だし、そもそも鈴はお酒を飲めない。
光や楓も飲めるが、二人があの調子では飲むわけにはいかないし、二人が酔ったまま戦闘したなら大惨事になるだろう。
「仕方ないよ。あの人、雰囲気だけでわかるけどただの人じゃないし」
「そもそも、人じゃないと思うけど。孝治の動体視力ははっきり言って異常な位置にあるよ。動く物体を正確に射抜ける能力があるし」
「浩平さんや夢さん、茜ちゃんみたいに?」
「茜は完全に力任せの範囲射撃じゃん。あれは人間通り越しているから。孝治の動体視力で捉えられないなんてはっきり言って異常だよ。つか、無理。刹那でも撃ち落とされたことがあるし」
刹那は世界的に見ても五指に入る速度を持つ。それすら撃ち落とされる力がある孝治すら捉えられない速度。
それを可能とするなら人を通り越した何か。
「リリーナは気づけたんだ」
少し驚いたように楓が言う。すると、隣にいた光は軽く肩をすくめた。
「そりゃそうやろ。リリーナは勘がいいから。それに、リリーナなら何となくだけど正体は気づいているんやろ?」
「何となくだけどね」
リリーナは正を見る。そして、小さく息を吐いた。
「海道正、なんて名前はさすがにわかりやすいよ。それに、あの戦い方は似ているからね」
「そうやな」
光はどこか複雑そうな顔で正を見ている。そして、小さく溜め息をついた。
そして、コップを掴み、中身である水を口に含んだ瞬間、その中身を吹き出した。。
「これ、日本酒やん!」
「水ならこっちだよ」
そう言いながら正はちびちびと飲んでいたコップを軽く上げた。光は怒ったように立ち上がる。ちなみに、孝治の顔は真っ青になっている。
「何してくれるんかな? 海道?」
「あれ?」
正の顔が真っ青に染まる。そして、孝治の顔を見て自らも顔を真っ青にした。
ちなみに、この場所を止められる装備している白騎士は部屋の隅っこでリマと何やら会話をしたままである。
「覚悟は出来てるんやろうな?」
レーヴァテインがその手に現れる。孝治はおつまみセットを回収して楓は机を光から離していた。
「全力全開や」
その日、首都の白の一角で巨大な爆発が起きた。