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新たな未来を求めて  作者: イーヴァルディ
第三章 悠遠の翼
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第五話 白騎士の襲撃

今章の鍵とも言えるキャラが白騎士です。フュリアスを一刀両断にできます。

首都にある基地。そこは広大な敷地内にある訓練場も兼ね揃えた場所でもあった。


そんな基地にあるとある格納庫の隣の待合室にルーイとリマの二人がまったりと椅子に座っていた。


二人の視線の先にあるのは巨大なモニター。そこには様々な情報が流れている。


「悠人への襲撃者、どうやらメリルへの襲撃者に置き換わっていたみたいだな」


「悠人さん自体があそこにいることを秘密とされていますから。もし、公表したなら暴徒がなだれ込んできますよ」


「確かにな。僕の時ですら軍法会議が開かれたぐらいだと言うのに」


懐かしそうにルーイは苦笑してマグカップの中にある真っ黒なコーヒー口に含んだ。そして、顔をしかめる。それがおかしいからかリマは口に手を当ててくすくすと笑った。


ルーイは小さくため息をついてコーヒーの中に砂糖とミルクを山ほど入れる。


「その犯人は逃走されたか。基地の奥深くに侵入されながら気づかれずに逃げ出すなんて芸当、誰が出来る?」


「考えられるとしたなら、第76移動隊副隊長花畑浩平でしょうね。模擬訓練中の敵地への侵入は見事でしたし」


「あれは反則だ。何の前動作もなく背後に回り込むなんてありえない。僕のアストラルルーラも簡単にやられたし」


「さすがは人界、というべきでしょうね。あの白騎士と対抗できるとするなら、人界の実力者くらいでしょうし。それに、式典も迫っています。レジスタンスの動きもかなり活発となっていますし」


式典。


それは音界最大の祭りと言ってもいい。この音界にあるたった一つの国が建国された時を祝うもので、大きな軍事パレードだけでなく、歌姫と交流できるようになっている。その際には人界の歌姫も来る予定となっている。


それほどまでに大きいものではあるが、建国された時にはもちろん滅ぼされた国があるわけで、その国の子孫達が未だにレジスタンスとして活動しているところもある。


ただ、基本的には政府レジスタンスであり、政府に対する不安のある人しかいない。


「レジスタンスの動きはベルトランとギムリー将軍が抑えるだろう。僕達はこの首都に待機しておくだけ。将軍からの要請によって動くことが出来るのが僕達歌姫親衛隊だ」


「そうですね。でも、メリルは大丈夫でしょうか」


「かなり参っているみたいだからな。リリーナと鈴の二人がいれば大丈夫だろう。僕達は見守っておく。でも、声をかけるタイミングは欲しいな」


笑みを浮かべるルーイにリマも笑みを浮かべた瞬間、モニターが真っ赤に染まった。


ルーイとリマの二人がすかさずモニターに駆け寄って緊急通信チャンネルを開く。


『首都近郊にいる全ての軍に告げます。首都内部に白騎士の姿を確認しました。白騎士の進行方向は歌姫様の居住区でもあります。全軍、白騎士を止めてください。繰り返します』


「リマ!」


ルーイがヘルメットを掴んで待合室から飛び出した。


通信を聞いた人達が慌てて動きだしてフュリアスに向かっている。ルーイとリマの二人も隣の格納庫に跳び込んだ。


「アストラルルーラ及びアストラルソティスを出す。出撃準備を頼む」


整備しいる人達に声をかけながらルーイは階段を駆け上がり、梯子を上ってコクピットの中に乗り込んだ。すかさずアストラルルーラを起動させる。


メリルの周囲にはリリーナがいる。だから、少しは大丈夫かもしれないけど、少しだけ。そうルーイは思っていた。


「アストラルルーラ。出る!」


そして、ルーイは出力を最大限まで上昇させた。






『首都近郊にいる全ての軍に告げます。首都内部に白騎士の姿を確認しました。白騎士の進行方向は歌姫様の居住区でもあります。全軍、白騎士を止めてください。繰り返します』


「白騎士? なんだそりゃ」


オレは全速力で建物の屋根をかけながら前方にいる黒い影を凝視する。


黒いコートで身を隠しているけど、その背中に見えるのは剣。その柄はどこか白いような気もする。


「直線、捉えた!」


すかさず魔術を放つ。この距離からは気づかれにくい上に速度のあるスラッシュシューター。だが、周ラッシュシューターを放った瞬間、黒い影はこちらに向かって方向転換してきた。


そして、背中から白い剣を引き抜く。


「白騎士、ね。どうせ鎧も白いんだろ! シンクロ!」


すかさずルカとシンクロしてオレは剣を握り締めた。そして、白騎士と剣を合わせる。


後退。


オレは自分の足が起こした現象を信じられなかった。ルカの力を使っているのに後ろに下がったのだ。相手の技量は音界基準で考えるのは間違っているとすべきか。


宙に浮く二本の剣が白騎士を狙う。だが、白騎士はそれを避ける。だけど、剣は確かに白騎士のコートを裂いていた。そこから姿を現したのは全身、頭の上から靴のつま先まで真っ白な鎧に身を包んだ騎士の姿。胸のふくらみが若干ながらあるから女性ということはわかる。


「白騎士とは、言い得て妙だな」


オレは距離を取りながら小さくつぶやく。白騎士も少しだけ後ろに下がって距離を取った。


白騎士の剣技はおそらくルカ並みと考えた方がいいだろう。オレは剣技が下手な方だがそれでも力任せに押しきることは造作もない。


「白騎士、お前の目的はなんだ? 何のためにあの白に向かっている」


白騎士の解答は突撃だった。すかさず白騎士に向かって二本の剣が飛びかかる。だが、それを白騎士は一振りで弾き飛ばしていた。


身をよじり左手から向かってきた剣をまず弾いてそのまま振り抜いて右手から向かってきた剣をさらに弾き落とす。はっきり言うならありえない動き。普通なら身をよじって振り始めた剣で飛来した剣が弾けるわけがない。


だが、オレの見た目は事実。だからこそ、オレは白騎士の懐に飛び込んでいた。白騎士は剣を振ろうとするが遅い。


セイバー・ルカ愛用の剣を鎧に叩きつける。それによって白騎士は大きく後ろに下がった。


叩きつけた瞬間に後ろに下がったのか。おかげでひびすら入れることが出来なかった。


オレは剣を構えながら白騎士を睨みつける。愚直なまで真っすぐ攻めてくる。おそらく、音界ではこういう戦い方が通用するのだろう。でも、人界じゃ無理だ。純粋な剣技では音姫さんが強すぎるし、小手先の技なら周隊長が神がかっている。


あそこで生き残ろうとしたなら冗談抜きで何でもどのタイミングでも対応できるようにしないといけないのだ。おかげで、どんな技が飛んできてもあまり動揺しなくなったけど。


白騎士は剣を音が鳴るまで握り締めた。その瞬間、その白い剣に魔力が収束するのがわかった。


「シンクロ解除。アルネウラ、優月、ダブルシンクロ!」


すかさずルカとのシンクロを解除してアルネウラ、優月の二人とダブルシンクロを行う。それと同時に魔力の収束が終わった。


「純白に染まれ」


女性、いや、女の子の声。それと共に白い光が剣を覆い尽くした。まるで、あの技みたいに。


魔術殺し(マジックキャンセラー)!!」


振り下ろされた剣に対し、オレは魔術殺し(マジックキャンセラー)を発動させた。魔術殺し(マジックキャンセラー)の対象は白い剣が放つ攻撃。範囲は広いように見えるが、対象を大きくすればその分殺せる範囲は大きくなる。消費魔力もおかしいことになるけど。


白い光が消え去り、白騎士が息を呑むのがわかった。オレはすかさず薙刀を握り締めて白騎士との距離を詰めようとする。だが、白騎士は大きく後ろに下がって背中を向けて走り出した。


必殺技を消されたらすかさず逃げるとは選択肢としては適当なものだ。でも、速すぎじゃない?


アルネウラと優月のダブルシンクロは身体能力を極限まで上げるようなものじゃない。だから、音姫さんやギルバートさんのような人智を超えた存在との鬼ごっこでは勝てない。でも、音界の能力から考えて距離が離されているのはおかしい。


オレは小さく舌打ちをする。下手に解除をして相手から同じ必殺技を撃たれたならかなり厄介だ。だから、これを維持したまま追いかけないといけない。


白騎士の前をラフリアが塞ぐ。だが、そのラフリアは白騎士の剣によって一刀両断されていた。


「くそっ。なんなんだよあいつ」


オレは薙刀を握り締め、必死に駆ける。白騎士の背中を追って。

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