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新たな未来を求めて  作者: イーヴァルディ
第二章 学園都市
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第二百十五話 空の民

第一章第百四十話で出した、悠人がみんなに見せた姿。それは光の翼です。

「悠人!!」


鈴が叫びを上げる。だが、その叫びはむなしく対艦剣がイグジストアストラルの体を吹き飛ばした。


イグジストアストラルが地面に打ち付けられ、コクピットに乗っている二人の息が一瞬だけ止まる。だが、その間にも悠人は止まっていない。そのまま対艦剣を振り上げて斬りかかってくる。


鈴はとっさに全てのブースターを展開してその場から飛び退いた。


『逃がさない』


唐突に聞こえる悠人の声。その瞬間、ダークエルフの左の甲からワイヤーが放たれた。ワイヤーはイグジストアストラルの足に巻きつく。


鈴はとっさに出力を全かにしてそのワイヤーを振り切ろうとした。だが、引っ張られる。そして、叩きつけられた。


「っつ、悠人」


すかさず機体を起こすが、目の前に迫っていた対艦剣がイグジストアストラルを直撃し、その場に倒す。すると、ダークエルフはイグジストアストラルの上に馬乗りになってスラッシュナイフを取り出し、振り下ろす。


イグジストアストラルの装甲は壊れないが、衝撃を緩和することしかできない。イグジストアストラルのコクピットを断続的に衝撃が襲う。


「悠人」


「鈴、周囲のモニターを、自由に使って、いいですか?」


「大丈夫、だと思うけど、使い方は、わかる?」


「はい」


衝撃で言葉を途切れ途切れにしながらも二人は言葉を交わす。


後部座席に座るメリルは小さく息を吐いて周囲の装置を起動させていく。


イグジストアストラルは複座式であり、前部座席がイグジストアストラルの操作全般、後部座席がイグジストアストラルの各種センサー及び、後部カメラを見ることが出来る。


メリルは嫌な予感と共に全てのモニターを開いて周囲の様子を見る。


ルナの機体、アストラルブレイズの姿が見当たらないのだ。先にここに向かったはずであり、ルナの実戦における操作技術はかなり高い。だから、負けることはないとメリルは思っている。なのに、その姿がなかった。


見かける様子は、リーゼアインとリーゼツヴァイのコクピットがリースによって開かれ、中にいたパイロット二人に光の剣を突きつけている様子。四肢をもがれたリーゼフィア。そして、コクピットに当たる部分がちょうどない二つに分かれたアストラルブレイズ。


それを見た瞬間、メリルは息をするのを忘れていた。あのアストラルブレイズはどう見てもルナの機体。その機体がコクピット部分を吹き飛ばされている。


つまり、ルナは戦死した。


メリルの瞳から涙が流れる。止めようとしてもどんどん流れて行く。止めることが出来ない。何故なら、それは幼馴染の、親友の死だから。


「メリル? メリル!?」


異変に気付いた鈴が通信を切りながらメリルに向かって大きな声を出す。その時になってメリルはようやく息をすることが出来た。


酸素を要求する肺に大きく息を吸って吐くことで供給しながらメリルは落ちつこうと必死に堪える。だけど、堪えることが出来ない。涙が、流れる。


「今は戦場だから! 落ちついて!」


「でも」


「でもじゃない! 落ちつかないと、次に死ぬのはメリルなんだから」


「どうして」


鈴にはまだこのことは言っていないはずだった。だが、それでも鈴はわかっていた。ルナが死んだということを。


「ただの理由で悠人が暴れるわけがない。それは私達が特に知っていることでしょ? それに、先に向かったはずのルナの姿がないということは」


メリルは俯いた。今まで実戦に出たことがないからこそ、死、とういものを見た瞬間にパニックになってしまったのだ。対する鈴はフュリアスとの戦いでは人を殺すことがある。悠人みたいに四肢を破壊して戦闘不能にできる技術は鈴にはないからだ。だから、ある意味鈴は感覚が麻痺していると言ってもいい。


「それよりも、今は悠人を救わないと。このままだと、魔力が集中しすぎて爆発する」


『そのことについてだが、一つだけ案がある』


通信を切っているはずの通信機から浩平の声が流れる。その時になってようやく二人は今まで断続的に襲いかかっていた衝撃がないことに気づいていた。すぐに鈴は通信を開き、周を見渡す。


そこには、対艦剣をぶつけ合うソードウルフの姿があった。


『悠人! 目を覚ましてよ!』


リリーナの悲痛な声が響く。少し離れた場所ではアストラルルーラとアストラルソティスの二機が分かれたアストラルブレイズの傍で立っていた。


『ダークエルフのエネルギー機関。そこに直接、弾を叩き込む。そして、機能停止にする。今はそれしかない』


「でも、どうやって機能停止に? リアクティブアーマーがある以上、ダークエルフには」


『だから、そのリアクティブアーマーを破壊する作業をお前らにやってほしいんだ』


「問題は、リアクティブアーマー以外のもう一つあります」


鈴の背後から聞こえる冷静になったメリルの声。メリルは一度深呼吸をして小さく頷いた。


「それは、悠人が空の民だということです」


「空の民? それって、何?」


『確か、大昔に世界を支配していたとされる存在だな。空の民=神という解釈が一番正しいように思えた奇術だったと思う』


「よく知っていますね」


メリルの声は驚きを含んでいた。


『竜言語の本に書いてあった』


地味にバカにされているとは気づかずに浩平が誇らしげに返す。それにメリルは少しだけ苦笑して口を開いた。


「空の民というのは解釈はそれで正しいと思います。ですが、空の民には第六の感覚があります」


「それって、第六感のこと? 勘とかそんな感じの」


聴覚、嗅覚、味覚、視覚、触覚以外にあるとされるもう一つの感覚。それが第六感だ。


その存在は完全には確定されてはいない。だが、勘という部分はそこからされているとされ、実在しているかわからないが、その存在は信じられている。


「はい。空の民はそれが第六の感覚となった種族です。特徴は魔力によって形成され、微弱な魔力を吸収する光の翼。もう一つが、危機に瀕した時に起きる予感。その予感の的中率は100%とされ、空の民を殺すには慢心を誘うしかないとも言われています」


『なるほど。確かに悠人の化け物じみた回避能力を考えると的を得ているな』


「おそらく、悠人はあなたの射撃を完全に読むでしょう。ですから、私が合図を送ります。そのタイミングでお願いできますか?」


『任せとけ。俺を何だと思っている』


「変態さんです」


メリルは苦笑しながら答えた。そして、小さく息を吸い込み通信を開く。


「ルーイ、リマ、聞こえますか?」


『メリル』


スピーカーから聞こえてきた声は泣いているルーイの声だった。メリルはその声を聞いて泣きそうになりながらも必死に堪えて唇を動かす。


「今すぐダークエルフのリアクティブアーマーを破壊してください」


『メリル。あなたは悲しくないのですか? ルナが』


「誹謗中傷は後でいくらでも受け付けます。血の通っていない冷血鬼と罵ってくださって結構です。でsが、今は悠人のリアクティブアーマーを破壊してください」


『何故』


ルーイからの戸惑いの声。それにメリルは唇をかみしめて堪える。堪えなければ泣いてしまう。幼馴染でも、そんな姿は見せたくない。何故なら、


メリルは音界の代表だから。


「命令です」


その言葉と共にメリルは通信を切った。


「メリル」


「大丈夫です。罵られる覚悟はできています。いつでも、それこそ、二人が離れて行っても我慢できます。でも、悠人を、大切な人をもう一人失うのは我慢できません。ですから」


「メリル、命令して。今の私はメリルの剣だよ。イグジストアストラルという、アストラルシリーズの最高峰の存在。だから」


「だから、悠人を、救ってください」


その言葉に鈴は頷いた。覚悟を決めた。


今まで、イグジストアストラルは前線に立ったことが少なかった。それは、鈴というパイロットが元々は後部座席に乗ることを想定していたからで、射撃は出来ても近距離での戦闘は全然だったからだ。だから、鈴は覚悟を決めた。


そして、出力を最大にしたまま加速する。


「リリーナ、どいて!!」


その言葉に反応したソードウルフが後ろに飛び退く。だが、ダークエルフは違った。ダークエルフは真正面からイグジストアストラルを受け止める。


「悠人、あの時、あなたが私を救ってくれたように、今度は私達があなたを救う。だから、待っていて!!」

空の民の説明を見て、「あれ? もう一人当てはまるような」と思っていただけましたか? 思っていないと言う方がいたなら、本当にごめんなさい。

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