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新たな未来を求めて  作者: イーヴァルディ
第二章 学園都市
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第百九十九話 白銀乱舞

対艦剣がリーゼツヴァイの対艦剣とぶつかり火花を散らす。すかさず一歩後ろに下がって振り下ろされた対艦剣を避け、リーゼアインを蹴り飛ばす。


僕はモニターに映るリーゼフィアを見ていた。リーゼフィアはリーゼアインやリーゼツヴァイと違い全く動いていない。


さらにはリーゼアインもリーゼツヴァイもリーゼフィアを守るように動いている。だから、戦闘が長期化していてもエクスカリバーに目立った外傷はない、が、僕はチラッとエクスカリバーの状態を見る。


エクスカリバー右足膝関節部分に異常。


その状態を見ながら僕はエクスカリバーを後ろに下がらせた。


リーゼフィアがあるのはちょうどダークエルフを収納している倉庫の近く。近づきたくても強制的に突破出来なければダークエルフまで辿り着けない。


それに、リーゼフィアがあそこにあることを考えると、ダークエルフはもしかしたらリーゼフィアのパイロットに見られているかもしれない。


「八方塞がり、というわけじゃないんだけど」


この日のために作り出したエクスカリバーの装備はある。ただ、限定的かつ換装すれば射撃が出来ない近接戦闘装備。


それを使うべきか使わないべきか。


この場だけはどうするか悩んでしまう。リーゼアインもリーゼツヴァイも積極的に攻撃してこないため、性能の把握は出来ていないが。


「仕方ないか」


僕はエクスカリバーの武装を換装する。持っていた対艦剣は戻して追加装甲をエクスカリバーの全身装着。これにより、エクスカリバーの体は一周りも二周りも大きくなった。


さらに、エクスカリバーの腰には鞘に収まって小さめの対艦刀がある。


主な技の一つとして居合いを取り入れた二撃必殺スタイル。


ダークエルフが使えない時のための装備だ。


腰を落とし、柄を握りしめる。リーゼアインもリーゼツヴァイも身構えた。


フュリアスによる居合いは長さの関係上不可能だ。だからこその特注対艦刀。


僕は小さく息を吸い、そして、前に向かって駆け出した。


エクスカリバーの体が前にいるリーゼアインに迫り、腰にある対艦刀を一閃する。だが、対艦はリーゼアインの対艦剣とぶつかり合い、空高くまで弾き飛ばされた。


その姿を見ながら、僕は出力を最大まで上げる。


脚の追加装甲にあるブースターが火を噴いてエクスカリバーの体が回転した。そして、蹴りがリーゼアインの体をくの字に折り曲げながら吹き飛ばす。


初撃は抜刀で二撃は加速蹴り。僕はこれを抜剣斬りと呼んでいる。脚の追加装甲にある刃が相手の装甲に食い込みながら蹴り飛ばすため普通の威力とは桁が違う威力が出る。


僕は振り返りながらリーゼツヴァイが振り下ろした対艦剣を腕の追加装甲で受け止めた。そして、追加装甲をパージしながら後ろに下がる。


外れた追加装甲はリーゼツヴァイの前を塞ぎ僕はエクスカリバーをさらに後ろに下がらせた。


エネルギーライフルを取り出してリーゼツヴァイに向ける。狙うのはリーゼツヴァイの腕。


だけど、その瞬間に僕は嫌な気配が背中を駆け回るのがわかった。体が勝手にその嫌な気配から逃げるためにエクスカリバーを後ろに下がらせる。それと共にエクスカリバーがいた場所にエネルギー弾が通り過ぎた。


飛んできた方向を見るより早く、リーゼツヴァイがエネルギーライフルに近いものを取り出す。


三連エネルギーライフルだ。引き金一回でエネルギー弾を三発放つものだが、対艦剣でエネルギー弾自体を打ち払える相手や、ギリギリで回避する相手にはかなり有効な武器。


僕は小さく息を吐いてエネルギーシールドを掴む。


「ようやく、リーゼフィアが動き出したね。少し遅くないかな?」


僕は小さく呟きながらも感覚を研ぎ澄ませる。


ダークエルフと違ってエクスカリバーの精神感応は集中しないと上手く作用しない。もちろん、操作によって十分にカバーは可能だけど、相手が強い場合は精神感応を最大限まで使用した方がいい。


本当なら、無意識でも精神感応を発動できて魔術による付与効果も可能なダークエルフが一番、相手のエースとの戦いに有効ではあるが。


それにしても、あのタイミングでリーゼフィアが動き出すなんて。


『これがあいつを殺した力か』


その言葉に精神感応が完全に途切れる。その瞬間にリーゼツヴァイが三連エネルギーライフルの引き金を引き、三連発のエネルギー弾が飛んできていた。


とっさにエネルギーシールドでエネルギー弾を受け止める。


『憎いな。本当に憎いな。その力、世界最高峰の機体、その強さは本当に憎い』


「真柴隼人」


『父親を呼び捨てか?』


「子供を捨てた父親になんて呼び捨て以外には何もないよ」


その声は懐かしく、聞きたくない声の一つ。


あの日、真柴、結城家との戦いで倒した相手の片割れで僕の父親。そして、世界で一番殺したい相手。


『口だけは達者になったか。昔は弱かったのに』


「僕を昔と一緒にしないで。今の僕は昔とは違う。何が正しくて何が正しくないも自分で決められる」


『人殺しの子供。殺しをしすぎて感覚が麻痺をしたか? 『GF』こそが世界を滅ぼす毒だ』


その言葉に僕は集中する。再度精神感応を強化してエクスカリバーの体を把握する。


やっぱり、膝関節に無理が来ているみたいだ。エクスカリバーは空中を得意とする分、地上や市街地での戦いはそれほど強くない。


『世界は破壊すれば破壊するほど滅びから遠ざかる。それが世界の心理だ』


「破壊をすれば何も残らない。それはただ単に自分達の手で世界を破壊しているだけだ!」


『本当の意味での滅びを知らないからの言葉だな』


その言葉はまるで僕を嘲笑うかのような声音。


『世界の滅びは人類、いや、生物の消滅だ。そのようなことが許されていいのか? いや、許されない。だから、滅びを先送りすればいい』


「未来に押し付けて何になる!? そんなことのために世界を壊すのか!?」


『違うな。破壊は抗争を呼び、抗争は戦争となり、戦争は技術力を飛躍的に伸ばす。世界を救うためには技術力が必要なのだ。海道周が持つ技術力ではない』


「どういうこと?」


僕は純粋に尋ねていた。


それは、驚異的な開発力を持つ周さんが考えたのではなく、元から持っているかのような言葉。だから、僕は尋ねていた。


『エクスカリバーは本来、来年に開発された機体だった』


「えっ?」


『海道周の持つ開発力は未来の技術を完全に呼び出す力。世界はそれによって飛躍的に滅びが近づいた。この意味がわかるな?』


つまり、周さんがいたことによって世界は滅びに近づいているということ。周さんが持つ、未来の技術によって。


『『赤のクリスマス』は文明を破壊するために行ったこと。だが、海道周は技術を提供し、『赤のクリスマス』の意味を無意味とした。だから、破壊しなければならない。世界を救うために』


「滅びの原因が僕達にあるの?」


『そうだ』


その言葉に僕は考える。今まで見ていた周さんの活躍を。


誰も犠牲にしないために戦った魔界の貴族派及び狭間の鬼との戦い。


アル・アジフさんを救うために、僕の過去を断ち切るために、鈴を助けるために戦った真柴と結城両家との戦い。


他にも、第76移動隊としてたくさんの戦いを見ていた。そのどれもが周さんは必死に戦っていた。誰も犠牲にしないように。


例え、無関係な人が無くなっても自分のせいにし、自分が傷ついても守ることを優先する。そんな周さんを僕は見ていた。


世界について悩み、考え、自分なりの答えを出す。それは僕には到底真似出来ないこと。


例え、未来の技術を知っていても、中学生になった周さんは必死に未来について考えていた。そんな姿を僕は見ていた。だから、きっぱり答えてやる。


「違う」


しっかりとした口調で、ちゃんとした言葉で。


その言葉と共に僕はエクスカリバーを一気に加速させた。


リーゼツヴァイが三連エネルギーライフルの引き金を引いた瞬間、エクスカリバーを変形させてエネルギー弾を回避する。すかさず加速してリーゼツヴァイに近づく。


ここからはタイミングと動き方。上手く動いてリーゼフィアの位置を動かす。


エクスカリバーを再度変形させる。戦闘機から人型へ。膝への負担の高さは無視して僕は対艦剣を取り出した。


リーゼツヴァイも対艦剣を取り出して打ち合わせる。


地面を踏みしめる。失敗すれば負けるだろう。


足のスラスターを展開する。精神感応による全操作。


体を回転する。リーゼフィアが放ったエネルギー弾を回避しながら。


そのまま全力の蹴りをリーゼツヴァイの体に叩き込んだ。だけど、リーゼツヴァイはギリギリで蹴りを腕で受け止めている。


「ぶっ飛べ!」


出力を最大限にまでしてメインブースターに点火。加速したエクスカリバーの体はそのままリーゼツヴァイを近くの建物に叩きつけた。


建物のシャッターがひしゃげ、そこから漆黒の鎧を身にまとうフュリアスの姿があった。


リーゼツヴァイをそのまま背負い投げ、リーゼフィアに飛ばす。すかさず僕はエクスカリバーを変形させてエクスカリバーのコクピットから漆黒のフュリアスであるダークエルフに向かってパワードスーツのアシストを受けつつ駆ける。


ダークエルフは完全な精神感応式。コクピットに収納されながら僕はダークエルフを起動させた。


ダークエルフ外部にあるカメラの一つが相手の姿を捉える。


「周さんはそんなんじゃない。だから、僕は、戦う。周さんの道を共に歩むために!」


出力を上げてエクスカリバーとは全く違う操作のダークエルフで地面を駆ける。狙いはリーゼフィアただ一機。


「全てに、過去の全てに決着をつける!」


そして、僕は対艦剣を取り出した。


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