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新たな未来を求めて  作者: イーヴァルディ
第二章 学園都市
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第百四十七話 別行動 チームD

「それにしても、体育館本番期間中にしか僕達が活躍出来ないなんて本当に驚きだね。リコもそう思わないか?」


「あたしからすればアルトの行動に一番驚いているけど」


エスペランサの看板の上には上半身裸のアルトとリコの姿があった。アルトはただ単にひたすら筋トレしているだけでリコはエスペランサ周囲で模擬戦を繰り広げているフュリアスを見つめていた。


アストラルブレイズとアストラルソティスの二機だ。軽く手合わせのようなものをしている。


「そうかい? 暇な時は訓練。今週は筋力強化週間だからね、魔力負荷を最大まで展開して頑張っているよ」


「はぁ。別にいいけど」


リコは腰に身につけた鞘から剣を抜き放つ。リコの装備は一本ロングソードと二本のショートソード。ただ、形状は若干違うため名称は正しくない。だが、間違っているわけではない。


どれもデバイスが柄に埋め込まれている。


「最新型のデバイス武器が私達に支給されるなんてね」


「それほどまでにエクシダ・フバル氏の護衛を最優先にしたいのだろうね。大丈夫。僕の『鋼鉄騎士マテリアルナイト』や『鋼鉄処女アブソリュート』に『狂乱騎士バーサーカー』がある限り護りきる自信はあるよ」


「相手が周ちゃんやギルバート副隊長みたいだったらどうするんだか。でも、昔と比べたらデバイスもかなり変わってきたわね」


昔の武器と言えばデバイスの虚空と呼ばれる空間に収納するタイプだ。レヴァンティンのようなものを除けば基本的にそういうものである。


だが、今ではレヴァンティンと同じタイプ、呼び出すことでその武器が具現化するものだ。デバイス内蔵のため魔術の威力もかなり上がっている。


最大の弱点は、武器の数だけデバイスが必要なため装飾品が増えて大変なことになるくらいか。


「今の方がありがたいけどね」


「私はむしろ迷惑。両腕にブレスレットとネックレスってどこのセレブって感じだし。周ちゃんの作るデバイスが欲しい」


「確かにあれは特別だからね。許容量を増やしながらも処理能力を格段に上げたオーダーメイド。第76移動隊は全員、周が作ったデバイスじゃないかな?」


「市販のデバイスより性能はいいし、旧世代デバイスでも今の市販のデバイスに近い性能だし。早く最新モデルは出ないかな」


そう言いながらロングソードを軽々と片手で振り回すリコ。体の大きさに対して剣に振られているという感じはまったくしない。見た目ではレヴァンティンより重そうなのに。


軽々と剣を踏みながらステップをする。由姫とルーチェ・ディエバイドの優勝を争った時とは違い、軽快勝つかつ高速のステップ。どこか白百合流や八陣八叉に通じるものはあるが。


「周ちゃん印のデバイスは世界最高峰だから」


「今のデバイスも悪くはないと思うけど。僕からしてみれば、魔術が強化される分使いやすいし」


「アルトはそうだと思うけど、あたしは使いにくいの。新しいデバイスは国が威信を賭けて作り上げた、いわゆる『世界最高峰のデバイス』と言っているけど、周ちゃんが世界に出した当時NGDと呼ばれた現在主流のデバイスは旧世代のデバイスよりも価格が抑えられていたもので、今の最新デバイスは周流のデバイスの約10倍。企業もなかなか手が出ないんじゃないかな?」


「配備が進んでいるのは軍と聞いているけど」


「だろうね。アメリカは未だに世界に強力な影響を与える二強の一つ。プライドがあるけどあたしには少し理解できないかな。いくら軍備を増強したところで、『GF』と対抗できる戦力にはならない。過去に世界を救った英雄が今なお生きている『GF』に勝てるのは身内くらいじゃないかな?」


「同感だね。本当ならドイツの技術力こそ世界一だと言うのに」


「いつの話?」


リコがため息をつきながら剣を振る。そして、剣を天高く投げ捨てるとそのまま日本のショートソードを抜いて連続で踏み出しながらショートソードを振りまくる。その剣劇の嵐はまるで亜紗のものを見ているかのようだった。


リコがショートソードを鞘に収め、落ちてきたロングソードを掴み取る。


「技術力なら世界一はあっちじゃない?」


そう言いながら指さすのはアストラルブレイズとアストラルソティスだ。どちらも、今の人界の量産型フュリアスを越える戦闘能力を持っている。個人機も含めたならそうとは言い切れないが。


確かに、技術力の高さで見るなら音界に勝つことは難しい。


「それにしても、音界の兵力が第76移動隊に来るとは想像だにしていなかったな。僕からしてみれば、音界は未だに火種がくすぶっていると言うのに」


「ロシアで起きたヴァルフォミア港襲撃事件だよね。あれは音界の政府及び歌姫が公式に関与を否定しているけど、歌姫自身がヴァルフォミア港にあったパーツは音界の旧量産機であるギガッシュのものだと回答しているから」


「そう。本音を言うなら狂気の沙汰じゃない。アメリカなら息好んで戦争を仕掛けようとするだろうね」


「『ES』と『GF』、特に、世界最強のパイロットの悠人ちゃんを敵に回すから動けないだけじゃないかな?」


悠人のフュリアスとしての実力はアメリカ大統領がワンマンアーミーと名付けたほどの戦闘能力だ。実際に、悠人一人で壊滅させられたフュリアスを持つ武装集団は数知れない。もちろん、大小含めずに。


なら、生身の人間が戦えばいい話だが、『ES』には世界最強にして最狂の天才アリエル・ロワソがいるし、『GF』には指揮官としては様々な書籍や新聞で世界最高と言われている周や世界最強の魔術師アル・アジフだっている。二つを敵に回せば指揮官及び戦力という点で越えないといけない。


しかも、『GF』には切り札とも言うべき二人の英雄が残っている。この時点で国連くらいしか相手にならない。


「その火種も、音界では詳しく調べているって聞くけどね」


「表向きはだろうね。僕は音界が行ったと信じているし、音界政府の発表は信じない。あそこはある意味一党独裁だ。まるで、昔の中国のように」


「今でもかなり独裁の様な気もするけどね」


「僕は政府は信じないと言った。音界の歌姫は信じるに値する人物だと思っている。だから、音界の歌姫は関わっていない」


「人界でも人気高いもんね。隣にはイケメンの護衛。しかも、まだ20にもなっていないのに音界NO.2の実力を持つパイロット。音姫の性格もお淑やかで優しく、笑顔が可愛い。ファンクラブが出来て当然じゃないかな?」


そう言いながらアルトはポケットから何かのカードを取り出す。そこに書かれていたのは、


『音界歌姫メリルファンクラブNO.00000001 アルト・シュヴッサー』


と書いてあった。


リコは自作自演だと口になりそうになるが、そのファンクラブは今では数百万人規模にまで膨れ上がっているので何とも言えない。もしろ、ファンクラブを作り上げたのがまさかのアルトだったなんて。


『そこ、どうしてメリルの話をしているの?』


二人がその声に振り返ると、ちょうどアストラルブレイズがこちらを向いたところだった。アストラルブレイズはそのまま飛び上がり甲板に着地するとコクピットからパイロット用の小型パワードスーツを着込んだルナが下りてくる。


「全く、メリルは忙しいんだから、人界の変な祭りには参加させないでよ」


「ですが、武道館ライブはメリルがしたいと言い出しましたよ」


「うっ」


後ろに着地したアストラルソティスのコクピットが開き、そっこから顔をのぞかせたリマが声を上げる。そして、そのままコクピットから飛び降りて甲板に着地した。


「リマもルナも休憩?」


「フュリアスの操作は思っている以上に体力を使うの。でも、休憩と行ったら休憩かな。後は、変なものを見たから」


「変なもの?」


リコが不思議そうに首をかしげる。それにリマは頷いた。


「学園都市内に怪しい集団がいました。一応、その報告を兼ねて」


「怪しい集団? そっか、そろそろ時間か」


リコは時計を見ながら呟いた。それに二人が不思議そうに首をかしげる。


「アル・アジフさんがいないことにいつから気づいていた?」


その言葉と共に、学園都市の一角で爆発が起きた。


次は戦闘を入れます。というか、戦闘を入れないと自分の書くスピードが絶対鈍るので。

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