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新たな未来を求めて  作者: イーヴァルディ
第二章 学園都市
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第百四十四話 全力全開

「っ!!」


都と繋いでいたはずのラインが強制的に切断されたのを感じてオレは思わず都がいた方角を振り向いていた。


あの日、都とつながったあの日、オレは無意識の内に都との絆とも言うべき魔力による生命探知であるラインを結んでいた。もちろん、それは深く愛し合っていてこその力だが、ラインを繋いだ相手が死ぬか、結界に取り込まれない限り切断されることはない。


後者であって欲しいが。


「兄さん?」


隣にいた由姫が心配そうに見つめてくる。オレは小さく首を横に振った。


「何でもない」


「何でもないわけありませんよね。急にそんなことをするということは何か予想外のことが起きたという認識でいいですか?」


「まあ、そうだな。予想外というかなんというか。ともかく、今は試合に集中しよう」


試合はまだ始まっていない。向かいにいるのは総合付属高校。最初の球を取り合うのはクラス一の身長を持つバスケ部の人と、相手は風祭時音。


オレは息を吸い込んだ。この試合を抜けだすのは簡単だ。でも、異変があるとは気づかれたくない。それに、都達は音姉と一緒だ。並みの相手じゃ勝負にならないし、勝負になったとしても都がやられるわけがない。


あの神剣、断章は都の心だから、断章が砕けない限り都は死なないし、断章が砕けても、都が死ぬまで大丈夫という少しチート武器。とは言っても、都自体はそこまで単身で強いわけじゃないから恐怖感はある。


「無事でいてくれ」


オレのとの呟きと共にホイッスルの音が鳴り響いた。続いてボールが高く上げられる。そのボールに対してクラスメートは飛び上がり、風祭時音は後ろに下がる。


嫌な予感が背中を襲う。


ジャンプで勝ち目はないのは周知のとおりだ。だけど、風祭時音の位置は相手コートの真ん中よりも前。比較的こちらだ。こんな距離だと反応出来ることが難しい。


バスケ部のクラスメートがボールを弾き、野球部のメンバーがそれを掴んで一番近くにいる風祭時音を狙う。


「残念」


風祭時音は前に出た。向かってくるボールに対して前に出て、手に取ると同時にサイドスローで投げつけてきた。その速度は高速。


前にいたバスケ部と野球部のメンバーが吹き飛ばされる。


「はっ?」


オレは思わず声を上げていた。ボールの勢いに負けた二人の体は大きく吹き飛ばされて後方にある相手の外野にまで到達している。直撃したボールは風祭時音の手の中だ。


「ありゃ? 力半分くらいで放ったんだけどな。まあ、いいか。痛い思いをしたくないならさっさとサレンダーした方がいいよ」


「それってある意味死亡フラグだよな」


「わかって、るね!」


次に放たれた球は神速。オレの目ですら確認できてからの反応が間に合わない。でも、オレは投げる前から体が動いている。迫りくる危機に対して反応する体は神速で迫るボールを避けて、後方にいたチームメイトに直撃した。


地面をボールが転がる。


「避けたらだんだん犠牲者が増えるよ」


「そうですか」


ガシッとボールを掴む音が聞こえる。いや、そんな音は出ていない。でも、ボールを掴んだ由姫からはまるでその音を出したかのような威圧感があった。


由姫はにっこり笑ったまま言う。


「なら、当てればいいんですね」


そして、振りかぶられた腕は、ありえない速度でオレの顔面に直撃した。


「ぐほっ」


「兄さん!?」


「周君!?」


「ほえっ?」


由姫、夢、風祭時音の声が聞こえる。オレは倒れそうになりそうな体を必死でこらえて起き上がった。


「何でオレを狙う!?」


「ちゃんと狙いましたって!」


65°くらい角度は違っていたけどな。


オレの顔面を直撃したボールは夢がしっかり掴んでいる。まさか、敵に向かって放ったボールが味方を直撃する事態になるなんて思わないから審判もホイッスルを鳴らさない。一応、内野の味方同士のパスは厳禁だ。


夢はそのままボールを投擲する。上手く狙われたボールは相手の型に直撃して地面に落ちた。


「気を取り直していくぞ」


「そうだね」


とりあえず、由姫が放つボールには気をつけないとな・


「仲良く会話しているところ悪いけど、真っ先に狙わせてもらうから!」


風祭時音はそのまま俺に向かってボールを放って来る。オレはそれを上半身を逸らすだけで回避して、後ろにいた由姫がそのボールを受け止めた。


「もう一度行きます!」


由姫が振るかぶると同時にオレはしゃがみ込んだ。これで、当たりはしない!


そして、脳天に凄まじい衝撃がやってきた。


「っっっっっっっ!!」


声にならない悲鳴。思わず当たった脳天の押さえてしまう。


「兄さん!? 大丈夫ですか!?」


「お前はオレになんか恨みでもあるのか!?」


普通はオレに当たらないよな。しかも、由姫のバカ力だから当たった時のダメージも半端なく高いし。


「えっと、お取り込み中のところごめんだけど」


背中を襲う悪寒。オレはそれに対して真正面から受けて立った。放たれるボールと一直線になる。そして、神速で向かってくるボールに対し、後ろに跳びながらボールを受け止め。


ボスンと大きな衝撃。だけど、オレの手の中にはしっかりとボールが握られていた。


「うらっ!」


すかさず駆けだしてボールを放つ。狙うのは風祭時音以外。


「なっ」


「えっ」


「あっ」


ボールは上手いこと生徒間を跳ね、三人を一気に当てる。近くにいた相手チームの男子生徒がボールを放つが、そんな球、風祭時音のものと比べたら天と地ほどの差がある。


「反撃、開始」


その球を夢が掴みすぐさま投げ返す。だが、それは前に出た風祭時音によって受け止められた。


「ごめんね」


その言葉と共に放たれる神速の球。だけど、それは由姫が軽々と受け止めていた。その距離は大体3m。よく受け止められるなという距離だ。


由姫はすかさずボールを掴み、オレは後ろに下がる。そして、


ひょろ。


山なりの緩いボールが風祭時音の腕の中におさまった。世界が何とも言えないような空気に陥る。


「由姫、球技は苦手なんだな」


「私も今初めて知りましたからね!!」


投げ返されるボールを受け止めてすぐに投げ返すが今度はさらにゆっくりとした山なりのボールが風祭時音の頭上を飛び越えていた。


オレは笑いをこらえるので精一杯だ。


「兄さん? 何か言いたいことがありましたら言ってくださいね」


「な、何もないぞ」


「来る」


夢の言葉にオレは相手のコートを見る。一人が倒れ、地面に転がったボールを相手チームの女子が手に取ったところだった。そして、放たれる球。


「海道や白百合だけにいい姿させられるかよ!」


そのボールを跳び出してきたクラスメートが掴んだ。そして、そのままボールを放つ。しかし、風祭時音がいとも簡単にそのボールを受け止める。


「残念」


投げ返されるボールはクラスメートを守るように飛び出した由姫を手に収まった。


「きりがないな」


相手のエースを崩すのは本当に難しい。このままだと完全にじり貧だ。どうにかしないと。


「周君、私に、ボールを」


「夢?」


山なりのボールが相手陣地に吸い込まれる。


「必ず、討つから」


「なるほどね。狙撃、頼めるか?」


「任せて」


それを狙うには風祭時音を前におびき寄せないとだめだろう。だから、オレは、


「由姫、後ろで外野からの味方を守れ! オレが前に出る!」


「兄さん? うん、わかった!」


ボールを受け止め投げ返しながら由姫は後ろに下がる。さて、ここからはオレの本領発揮だ。


オレはすかさず前に出た。向かってくるボールを簡単に受け止めて風祭時音に投げ返す。


「作戦は決まったのかな?」


「ああ。決まったさ!」


投げ返されるボールを受け止めてすかさず投げ返す。腕がかなり痛い。このままじゃすぐにやられる。


「エースを倒す。その選択は間違っていないけど、私を甘く見ているんじゃないかな!?」


ボールを受け止め、投げ返しながら後ろに下がった瞬間、風祭時音が前に出た。そして、ボールを受け止めてオレに向かって放つ。


「今だ!」


それの言葉と共に夢が後ろから走りだした。風祭時音はすでにボールをオレに向かって放っている。オレはボールに対して後ろに跳びながら、前に軽く弾いた。ちょうどそこに夢の姿が入る。


「嘘!?」


風祭時音はすかさず後ろに下がろうとする。だけど、それより早く夢がボールを掴み、風祭時音に向かって放っていた。


だが、速いと言ってもそこまでの速度じゃない。風祭時音はそれを受け止めようとして手を伸ばし、ボールが落下した。


「っ」


風祭時音の足にボールが当たり地面を転がる。


「オレ達の味方を過小評価した。それがお前の敗因だ」


次の話は結構重要な話が多くなる予定です。

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