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新たな未来を求めて  作者: イーヴァルディ
第二章 学園都市
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第百三十五話 密会

『聞きたいことが山ほどあるけど、とりあえず、一つだけ聞いていい?』


家のドアを開けたオレ達を待っていた亜紗はスケッチブックを開けて尋ねてきた。


オレは言われることをすでに予測していたため小さく頷いて返す。


『どうして二人が一緒なの?』


「言いたい気持ちはわかるが落ち着け」


その手にある小刀の綺羅と朱雀を見て顔をひきつらせながらオレは小さく溜め息をついた。


嫉妬に狂った亜紗を止めるのは難しい。何故なら、的確にオレの急所を狙ってくるからだ。気を抜けば確実に死ぬ自信がある。


「そう怒らないように。僕はただ周の家にお呼ばれされただけだよ」


その瞬間、亜紗の気配が膨れ上がった。気持ちはわかる。気持ちはわかるが落ち着いて欲しい。


「何も無かったからな。ただ、正と義母さんと一緒に昼ご飯を食べただけだ」


『それならいい』


お前にとっては何が良くて何が悪いんだ?


『そう言えば、昼から何をするの? 私はただ挨拶回りとしか聞いていないけど』


「まあ、挨拶回りは、間違ってはいないな。これから向かうのは近くにある店だから」


『店?』


スケッチブックを開きながら首を傾げる亜紗。それにオレは頷いた。


「完全防音の密室を作るプライベート空間が売りの店だよ。そこで、今日一番の相手に挨拶する」


「学園自治政府代表楠木大和だね」


「正解」


今日の目的はある意味、楠木大和との会話と言ってもいいだろう。確かに、見回りをすることは大事だが、学園自治政府とはこれから連携を取り合わないといけない。そして、情報は隠せるだけ隠した方がいい。


今回はそれだけ重要だ。


「それに、最近他部隊にやってもらっていたナイトメアについて、情報整理もしたいからな」






「おや、三人ですか」


完全防音の個室に入ったオレ達を出迎えた楠木大和は微かに目を細めていた。最初は二人で来るって言っていたからな。正を不思議に思っているのだろう。


楠木大和以外には浩平の姿しかない。オレは頷いて指をパチンと鳴らした。


指を鳴らすことで魔術陣を解凍する方法だ。魔術陣の発動を氷属性の魔術によって封印することで出来るが、難易度が高く、普通ならしない。だが、今回はどうしてもこれをしなければならない。


常に発動させた状態を維持しているため、解凍する際にストックした魔術と違って妨害を受けにくいという特徴がある。魔術が一番妨害を受けるのは発動寸前でもあるから。


体育祭で使われる術式阻害空間も発動寸前で作用する。


もし、それを結界系で行ったなら阻害されたことに気づかない。万全を期すためにはこの結界発動が一番でもある。


「こいつは海道正。口の堅さならオレが保証する」


「僕の評価が高いのに驚いたよ」


正は本当に驚いていた。そんな風に思われていたなんて心外だ。


「正なら、たくさんの人を犠牲になんてしたくないだろ?」


「そうだね。たくさんの犠牲が出るなら僕自らが剣を抜こう」


「そういうわけだ。信頼出来ないならお願いするが」


「いいでしょう。彼女もこの場にいてくださっても。席についてください」


オレはちょうど楠木大和と正面になるように座った。楠木大和は真剣な表情で頷く。


「今回の件、応じてくださってありがとうございます。学園自治政府代表としてお礼を申し上げます」


「学園都市『GF』代表として義務をしているだけだ。そちらが気にすることは何もないって、堅いのは抜きにして話そうぜ」


「そうですね。一応、形式は必要ですから」


確かに形式は必要だが、ここは完全に非公式の場だよな。


「まずはいくつか質問をさせていただきたい。いや、質問だけで終わるでしょう」


「だろうな。こちらは確認するだけだし。で、最初の質問は?」


「犯行予想日時について。何故、すでに確定しているのか」


来るだろうとは思っていたからすでに解答は用意している。


「オレならそうするからだ。はっきり言って、その日が一番、人の出入りが少ない。少ないということは作戦に支障が出る可能性が少ないからな」


「納得出来るとでも? 体育祭期間中に相手は来ると予想したならもっとはっきりした理由を」


「理由は簡単だ。その日にギルバートさんはいない」


その日だけはギルバートさんはおらず、代わりにエクシダ・フバルが来ることになっている。つまり、それだけで戦力は大きく変わる。


「さっき述べた理由とギルバートさんがいないこと。そして、第76移動隊の大半が一点に集まる競技が存在する」


「つまり、警備が薄くなると? 馬鹿にしないでいただきたい。学園自治政府も『GF』も、そこまで愚かでは」


「並大抵の相手ならな。だけど、今回は相手が完全に悪い。いくら増援が来るとは言っても、学園都市の警備は第76移動隊が大半を握っている」


これは過言でも何でもない。


学園都市はある意味実験都市。『GF』が単体でどこまで警備出来るかを実験するために作られたと言っても、これも過言でもない。


世界で最も勢力範囲の大きな『GF』だからこそ、近年増加する犯罪やはぐれの魔物に対して対抗するために日本政府が『GF』に協力してもらって作り上げた。


「第76移動隊の最大の特徴は個々の機動力。それを封じられた場合、学園都市は下手をすれば落ちる」


相手はそれが出来るかもしれない。最悪な状況に対する最強の手札。それを瞬間で切る準備は整いつつある。だからこそのスケジュールも組んでいる。


「納得しました。第76移動隊が集まるということは」


「学校選抜。これだけは第76移動隊の大半は集まる。学園都市の中央に最も近いスタジアムに」


「タイムスケジュールまで指定したのはこういうことなのですね」


「ああ。狙い目がわかっているなら対策はし易い。だから、狙いはその日のその時間」


どうやら納得してくれたみたいだ。簡単に言うならこの時間以外に相手がアクションを起こすことはないということだ。それだけ『GF』や学園自治政府が他の事に動ける。


「外れた場合は?」


「外れない。これは絶対だ。絶対に言い切ってやる。多少の誤差はあるかもしれないが、その日その時間で行動は起きる。敵にとっての目的は『GF』でも学園自治政府でも学園都市でもお金でも何でもない。狙いは学園都市地下にあるとされる永久機関だ」


「周、そんなものが本当にあると思っているのかよ。お前が『ES』に行っている最中に『GF』と合同でシェルターをあらかた捜索したんだぜ。でも、扉の一つも見つからなかった。シェルターにそんなものはないってことだろ」


確かに、シェルター内はあらかた捜索された。第76移動隊の面々を中心に行ったし、中東から帰ったオレも独自に調査を行った。その結果は何もなし。


ただ、地下に通じるのはシェルターだけじゃない。


「じゃあ、浩平は下水道とか通ったことあるか?」


「誰がそんなところを通るかよ」


「普通はそうだろうな。楠木大和。お前は地下にある今は使用されていない下水道はどれくらいあると思う?」


「想像はつきませんが」


だが、二人はオレの言いたいことはわかったはずだ。


オレが調べた以上、シェルター内にさらに地下に続く道がないなら下水道のどこかにあるのではないかという考えをだした。


ただ、下水道に関しては犯罪に使われる可能性が無きにしも非ずなので下水道を把握している政府は全く教えてくれなかったけど。


「下水道の存在は周知されている。でも、基本的にはただ汚い水やら何やらが流れているってだけだろ。その中に使われていないトンネルがあるとしても、普通は気づかない」


気づくとするなら下水道の位置を全て把握している日本政府だろう。


「ただ、どの下水道や使われていないトンネルがさらに地下層に続いているかは日本政府でもわからないらしい」


「ちょっと待った。周は何でわかるんだ?」


頭を押さえながら浩平が尋ねてくる。オレはレヴァンティンを掲げた。


「こういうことだ」


「なるほど」


理解が早くて助かる。


「敵が狙う場所はおそらくピンポイント。オレ達はそこに遅れて到達する。学園都市内部は守れても学園都市外部や学園都市地下は厳しいところがあるからな」


「そうか。ありがとう。では、次の質問に移りますが、何故、音界の歌姫を呼んだのですか?」


唐突に終わっていますが、次の話はそれに丸々注ぎ込む予定です。二つの世界の二つの歌姫。技術レベルも魔術レベルも異なる二つの歌姫の違いについてです。

音姫の歌姫として発動した能力を見直していただければ、その能力と違う歌姫であるメリルの能力は予想がつくと思います。


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