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新たな未来を求めて  作者: イーヴァルディ
第二章 学園都市
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第九十七話 再会

日常三十話なんて到底不可能な目標でしたね。

狭間市。


集約型都市の実験モデルとしての第三号であり、学園都市によく似たものがある。


問題を挙げるとするなら駅から都市まで遠いというところか。まあ、狭間市中心部と見つかった狭間研究所は駅を挟んで正反対の位置にあるのですぐさまそちらに向かうが。


「にしても、全く変わってないな」


駅から降り立ったオレは周囲を見渡しながら言った。


駅の周囲には本当に田舎だ。市街は普通に都会と言ってもいいような施設がたくさんあるのだが、駅周辺にあるのはバス停とか畑とか。


「ふわっ、ここは変わらないと思います」


眠たそうに欠伸をした由姫が一言。それには大いに賛成だ。


集約型都市の最大の裏の理由は畑などの農作地を確保をするためでもある。実際、日本は食糧自給率が60%台だからな。


ちなみに、このことを知ったのはつい最近でもある。今までは集約型都市は守るための意味合いが強かったと思っていた。


極稀に出るはぐれ魔物や集団の犯罪者をどうにかするためだ。それは表の理由だったけど。


「この狭間の土地は愛着の強い方々が多いですから。多分、お金を積まれても手放さない人は必ずいますよ」


「そうね。私も狭間市は好きよ。学園都市も悪くはないけど狭間市は特に」


「この土地はこのままが一番いいさ。下手にいじって封印が解けたら最悪だからな」


「そんなことがあるんですか?」


尋ねてきた由姫に対してオレは小さく溜め息をついた。ちなみに、みんなは驚いたように由姫を見ている。


代表してオレが口を開いた。


「由姫は座学をちゃんとやっていたか?」


「えっ? め、メグさんは」


「封印魔術って拘束系魔術と似通った部分があるからそれで大体は。封印魔術の方が拘束系魔術よりも土地との関係が強いから下手に土地を弄ると魔術が暴走したり消滅したりする。じゃなかった?」


メグがオレを見ながら確認を取ってくる。それに対してオレは頷いて答えた。


「90点。抜けていたポイントは土地改造により、時には封印魔術が強化されるということ。よく覚えていたよな」


「『GF』関連のことなら覚えるのは得意だから」


「授業は?」


目を細めて尋ねるとメグは全力で目を逸らしていた。


第76移動隊っとどうしてここまで成績の差が激しいのだろうか。上の上と下の下の差だからな。


真ん中の成績はまずいない。普通は上か下か。


「ったく、『GF』だけじゃなく普通に勉強も出来るようになれって、まあ、オレ達みたいになれとは言わないけどさ」


「そう、学業は大事だ。日本でトップになれとは言わない。しかし、自分自身で考えられる力を身につけるべきだ」


その声にオレは振り返った。懐かしい久しぶりに聞く声。オレはその声の主に向かって歩いて行った。


「久しぶりだな、俊輔」


「変わりないようで安心だ、周」


狭間市で出来た友達の一人。一番仲のよかったグループの友達。


オレは俊輔と拳をぶつけ合った。


「立派な白衣着てんじゃねえか」


「当り前だ。貴様こそ、立派なスーツを着て」


「制服だ」


オレ達の間に沈黙が下りる。


まあ、この制服自体見た目はほとんどスーツだ。実際に、この制服の一部を変更して就職活動に使用したと言われているくらいだから仕方ない。


「ふ、ふむ、し、新顔もいるみたいだな」


俊輔は顔を若干引きつりながらもオレ達の面々を見て行ってくる。


「ああ。北村恵。今年に入隊した新人だ。メグ、こいつは佐々木俊輔。和樹や委員長、由姫とも友達だな」


「つまり、周と同い年。北村恵です。今回は第76移動隊の初任務として同行させてもらっています」


「俊輔様と呼ぶがいい」


相変わらずだな。


俊輔が身につけているのは白衣だ。ただ。ただの白衣じゃない。衝撃を緩和する特殊な魔力素材を利用したオーダーメイドで、戦闘服よりも遥かに防御力は高い。


その理由としては俊輔の才能と今の地位があるんだけどな。


「で、その白衣の気心地はどうだ?」


「悪くはない。この天才たるオレにぴったしのものだ」


そう言いながら笑みを浮かべる俊輔。


俊輔は狭間市の神童と呼ばれている。まあ、その片鱗はオレ達がいた時から見せてはいたけど、そおれを出したのはオレらが中学三年生の時、簡単に考古学について説明を請われて話してみたらのめり込み、質の間にか世界有数の考古学者となっていた。


その理由としては狭間市には過去から存在する施設、例えば、イグジストアストラルの保管場所の様な施設が多く、研究者がたくさんいるからだ。だから、俊輔はその知識を生かして研究者を意見を交換し合い、いつの間にか狭間市の研究者のトップの位置にいる。


誰が聞いても眉唾ものだが、一回、考古学についての講義を受けてみたらわかりやすい解説と深い造詣でオレは言葉を失ったことがある。


「今回は俺が案内することになっている」


「新たに見つかった施設には入ったのか?」


「いや、慧海さんが止めているからまだ入ってはいない。入口付近だけでもきな臭い雰囲気がぷんぷんしているからな。正直に言うなら、非戦闘員の俺は入らない方がいい」


その考えは確かだ。実際にトラップが仕掛けられていて中に入った研究者が死ぬことは珍しくない。だから、『GF』かつ研究者という人は多い。


今回はオレやアルがいるから並大抵のことがあってもどうにかできるだろうけど。


「その点ではお前らは大丈夫だろうな。本当は俺も参加したいが」


「危険だ」


「言うと思った。何があってもいいように通信の中継点は用意した。サポートは任せろ」


「頼りにしているぜ」


俊輔は十分に頼りになる。ほら吹きというわけではなく、よく準備をしたり、自信がある時に行動するからだ。それに関しては昔から信頼している。


まあ、間違った知識から暴走する時も多いけど。


「周、ちょっと待って。それって、かなり危険ってこと?」


メグが顔をひきつらせながら尋ねてくる。ちなみに、他の面々は寝起きの体をほぐしていたり、デバイスの調整をしていたり、魔術を準備していたりもする。


『今さらだよね。第76移動隊の任務で安全なものがあるならこんな戦闘メンバーで来ないし』


「そうじゃな。じゃが、戦闘が無いにこしたことはない。一応の用意じゃ。何があるかわからない以上、最悪の想定でいかなければならぬ」


「危機感が無いのが私だけというのはよくわかりました。周、私って大丈夫よね?」


「まあ、戦う機会は無いだろうな。オレやアルがいる以上、どうにか出来る」


どうにも出来ない事態にならないことを祈っているが。


「まあ、そういうなら頑張るけど、魔力負荷は継続させたままで」


「ちょっと待て。メグ、まさか魔力負荷をずっとかけているのか?」


「うん。周に教えてもらったレベル1だけだけど。ちゃんと日常生活中の24時間寝る時もずっとかけているけど」


その言葉にオレは完全に言葉を失った。


確かに、魔力負荷は日常生活中にかけるものだ。レベル1は一番軽いものだから、オレみたいな最大のレベル5まで耐えられるようなら一日中、寝る時も、ずっと魔力負荷をかけていられる。


だけど、メグはまだレベル1しかしていない。


「ふむ、魔術の継続性はかなり高いみたいじゃな」


「アル、冷静に分析するな。もしかして、さっき空気椅子している最中も?」


「えっ? 私って空気椅子をしていたの?」


こっちは完全に無意識か。それなら怒るにも怒れない。


オレは小さく溜め息をついてメグの額を小突いた。


「これから寝る時は魔力負荷を切れ。体を休めるタイミングを作らないといつか潰れるからな」


「はーい」


メグはしぶしぶ頷いてくれる。それを見たオレは頷いて俊輔を見た。


「じゃ、案内を頼むな」

学園都市に俊輔を出さなかったのはこういう理由です。

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