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新たな未来を求めて  作者: イーヴァルディ
第二章 学園都市
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第六十三話 覚悟

出す予定が無かったものがー! まあ、今後の展開を考えてみればあり、なのかな?

ずっと考えていた。あの日からずっと。そして、今日、周から夢について尋ねていた。


私は夢から尋ねていた。周と何があったのかを。周に尋ねたら夢に聞くように言われたことを。そして、覚悟を決めたことを。


夢の口から出たのは衝撃の言葉。だけど、私は受け入れた。大切な友達だからでもあるけど、私が信じないといけないと思っていたから。


「はぁ、『GF』、辞めようかな」


あの日からずっと考えていたこと。本物の魔物よりも遥かに強い幻想種と戦ってからずっと考えていた。


魔物と戦うということは覚悟がいること。そして、敵の命を奪うということ。『GF』は魔物とも戦うことを想定しているからその時になって私は戦えるのだろうか。


私の額に手が当てられる。


「熱はないか。頭の病気?」


「いきなり失礼ね」


私は目の前にいるルームシェアをしている時音を見ていた。時音は嬉しそうに笑みを浮かべながら手を放す。


「そんなに褒めなくても」


「失礼という言葉がいつ褒め言葉になったの?」


私は目を細めながら尋ねる。そして、壁に立てかけていた槍に手を伸ばそうとして、止めた。


もう、私はどうすればいいのかわからないから。


「それよそれ。メグはいつも槍を握っていたじゃない。ボールは友達ならぬ槍は友達って感じで」


「そう、だけど」


確かにそうだ。私は毎日槍を持っていた。訓練しなかった日は特に自主練と槍を弄っていた。今では重さがちゃんとわかるし、ほんのちょっと欠けただけでも何がズレたかわかるようになっている。


「『GF』に入って私はリア充ですよって感じだったのに」


「リア充って。私が『GF』に入ったのは憧れていたお兄ちゃんがいたからで、それに、お兄ちゃんを越えたかったから」


「あー、はいはい。メグのブラコンはすごいから。で、何があったの? 返り血だらけの服で帰ってきた日からずっと悩んでいたこと。私には話せない?」


あの日、幻想種の返り血は周によって無色透明にされたはずだった。だけど、周が気絶していたからか帰った瞬間に赤く染まり時音が真っ青になったのを覚えている。


その時は第76移動隊と一緒に任務を行って魔物を倒したということにしていけれど。


「戦うことは怖くない。自分が頑張った結果を出せるし。でも、私には覚悟がないから」


周が戦っている理由を知った。


世界に滅びが近づいている。それは第76移動隊が有名になった狭間戦役の原因ともなった。


世界は滅びに対抗するために動いている。周達第76移動隊も幻想種を動かしていたローブの集団も。


夢が隠している秘密を知った。


“義賊”であることを隠して私達に近づいていた理由はわからないけど、そのことを話した時の夢は泣いていた。隠していたことを謝るために。


だから、私は夢の味方でいることを決めた。


だけど、いや、だからこそ、『GF』側にいる自分が苦しい。世界の滅びを知っているから、今のままが苦しい。


「私は、どうすればいいのかな?」


「はぁ、メグからそんな言葉を聞くことになるとはね。メグは何をしたいの?」


「私? 私は」


何をしたいかわからない。でも、夢の味方でいたいし滅びを知ってしまった以上、どうにかしたいとも思っている。思っているけど私の力じゃどうしようもない。


「覚悟を決めるか決めないかだと思うよ。決めないなら『GF』は止めた方がいい。中途半端なんてメグのためにはよくないから。だけど、メグが本当に覚悟を決めたなら」


時音が押し入れを指差した。


「あれを使うべきだと思う」


「でも!」


時音も知っているはずだ。私と一緒にあの場にいたのだから。あの場で時音が言うあれを使ってお兄ちゃんが魔物相手に戦っていた様子を見ていたから。


だから、知っているはずなのに。あの槍がどれほど強力で凶悪なのかも。


「私はメグの考えを支持する。あの訓練バカのメグが悩むほどのことだから、私はメグの味方でいるよ。メグが選んだ道なら私はその背中を押してあげるから」


「もし、もしもよ。私のやっていることが無駄になるなら」


「ならない。絶対にならない」


時音は断言してくれる。その目に映っているのは信頼。私の事を、力を信頼してくれている。


「メグは絶対に結果を残せる。だって、メグがあんなに頑張っているんだよ。強くなろうともがいたんだよ。その努力を私は知っているから。だから、無駄にはならない」


「時音」


「だから、悔いのないように決めなさい。私は今から走ってくるから、もし、封印を解くならその間に。時間は二時間くらいかな」


時音がそう言いながら腕を伸ばす。時音も私と同じように努力型の人間だ。その努力は桁違いで努力だけで学園都市最強クラスになった人でもある。


ある意味私の憧れで、私の大事な親友の一人。


「じゃ、言ってくるから」


時音が部屋から出て行く。それを見送りながら私は押入に向かっていた。押入を開けた先にあるのは布に巻かれ、札が貼られた長い品。


お兄ちゃんが昔使い、とある事件から使用禁止となり封印された槍だ。お兄ちゃんからもらった形見とも言える。


私はそれを手に取った。


『汝、何故に力を欲するか』


私にしか聞こえない声。この槍を持つといつもそうだ。


『汝、何故に力を欲するか』


理由はわからない。わからないけれど、時音には聞こえないことから考えて私にはその資格があるのかも知れない。


言うなれば神剣。神の身から削り出されたとの噂がある神の武器。この槍がそうなのかもしれない。


私は今までこの槍に触らなかった。怖くて触らなかった。でも、触ってみてわかる。


重い。これが、覚悟に必要な重さ。重さはいつも使う槍と同じはずなのにこの槍はそれ以上に重い。


『汝、何故に力を欲するか』


槍を握り、目を瞑る。


最強の剣士である白百合音姫から言われた真実。夢から聞いた真実。二つの事実が頭の中に渦巻く。


私がしなければいけないことは考えない。しなければいけないじゃない。しようと思うことを考える。


私は、私は、


味方でいたい。


周も夢も大事な親友達の味方でいたい。だから、私は、


『汝、何故に力を欲するか』


「私は、私の大切な友達のために味方でいたい。信じるから。世界を知って、友達を知って、私は、自分の最大限の力を出したいから。あなたの力を貸して欲しい」


『汝、何故に我を求めるか』


質問が返ってくる。私はそれに言葉を返す。


「あなたに力があるから」


『汝、力は全ての手段ではない』


「知っているわよ。でもね、力が無ければ出来ないことなんていくらでもあるのよ。力は手段の一つに過ぎない。でも、守りたい人達を手助けできるなら、私はその手段を取る」


世界の滅びを知ったからの義務じゃない。力になりたいから。滅びに対して頑張っている周達の力になりたいから。


手段は一つじゃないけれど、私はこの方法を使う。


「私は私であることを誇るためにあなたを使う。確かに、私はまだまだ未熟者だし、天才じゃない。だけど、私は」


『世界を救う者が誰も天才というわけじゃない』


その言葉に目を開けた。いつの間にか自宅のマンションではなく真っ白な空間にいる。真っ正面に立つのは一人の青年。


どこはかとなく、周と気配が似ている青年。だけど、容姿は全く違う。


『君はその槍を使う覚悟があるのかな?』


私の手にはいつの間にか布から解かれた槍が握られていた。赤い穂先。炎の装飾が描かれた柄。そして、石突部分にある大きなコア。


これが槍の姿。お兄ちゃんがあの日振るっていた槍。


『大きすぎる力は人を呑みやすい。前所有者もそうだった。その槍を使うことは誰かを傷つけること。それがわかっているのかな?』


前所有者はお兄ちゃんのことだ。お兄ちゃんは力を制御出来ず、私にちょっとした火傷を負わした。もちろん、今では跡が残っていないけど、お兄ちゃんはあれ以来、この槍を封印してもらい使うことを止めた。


「傷つけられる痛みを知っているから私は覚悟がある。使ってみせる。この力を」


『及第点かな。その槍の名前は』


炎獄えんごく御槍みやり。お兄ちゃんから名は授かっている。私は北村恵。お兄ちゃんから預かった炎獄の御槍を扱う人」


『君に幸あれ。その槍が、君の大事な人を傷つけないように』


そんなことは絶対にさせないから。

炎獄の御槍を出したことは後悔はしていない予定です。多分。

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