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新たな未来を求めて  作者: イーヴァルディ
第二章 学園都市
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第四十八話 悲劇

レヴァンティンを握る手が震える。このままじゃ勝ち目はない。エンシェントドラゴンなんて正がいなければ勝てない戦いだ。


「周様。瞬間移動ショートジャンプで逃げましょう。今は戦うべきではありません」


都の言葉も一理ある。実際に、エンシェントドラゴンと相対していたからこその言葉だった。前回よりも人数は少なく、しかも、由姫は未だに戦えない。この状況なら逃げる方がいいけど。


亜紗、矛神は後何回使える?


オレは亜紗に精神感応で尋ねた。すぐさま亜沙が言葉を返してくる。


『二回』


エンシェントドラゴンは四体いる。二回だけじゃ残り一体まで倒しきれないはずだ。


「逃げられるような状況ならな。それに、こいつらはその気になれば学園都市内部で暴れまわることも可能だ。はっきり言うならここで倒しておきたい」


「しかし、戦力差は歴然としておるぞ。我も都の意見に賛成じゃ。すぐさまここを出て第76移動隊全員に緊急招集をかけるべきじゃ」


「いや、違うな」


頭の中で戦略が組み上がる。一番の不確定要素がどうなるかわからないけど、今はこれが一番の戦略だ。

オレがどうにかして一体のエンシェントドラゴンを抑える。かなり危険な賭けだけどな。


「戦うぞ」


「愚かだな。では、幻想種の中にもまれて死ね」


その言葉と共にゲルナズムが動き出す。エンシェントドラゴンはケリアナの花のおかげでブレスは吐けないはずだ。こうんな濃厚な場所で吐けばその時点で死ぬ。


「レヴァンティン、全力を出せ」


『了解です。では、これより』


「見つけた」


その言葉と共に誰かが降ってきた。誰もが動きを止める。そこにいるのは人形のような容姿、金髪の長い髪。そして、一つ上とは思えない身長。


運良く不確定要素が来てくれたらしい。


「あれ? 何でリースがいるんだ?」


不思議そうに首をかしげながら唯一の通路から現れる浩平。それに振り返りながらリースは笑った。


「援軍」


「てか、何これ!? 怪獣大戦争!?」


ふざけたように驚く浩平。この時の浩平は少し狙っている節があるからな。


オレはレヴァンティンを構えながら笑みを浮かべた。


「さて、これでこっちは六人だ」


「違う」


リースが首を横に振る。それと同時にゲルナズムの一体がリースに跳びかかった。だけど、誰かが来る。そんな気配が上空からする。


そいて、誰かが降ってきた。


リースよりも背は小さい。蒼い髪のショートカット。そして、その手には身長ほどもある巨大な蒼い斧。その小さな体から溢れる威圧感は慧海の比じゃない。


「七人」


リースのその言葉と共に少女が動いた。いや、動き終わった。無造作に斧を縦に振って床に叩きつけただけだ。まるで、由姫が上空の扉を砕いたような轟音と土煙が起こり、オレ達は腕で顔を守った。


目を開けたその時、そこにあったのは一直線上に出来あがった巨大なクレパスとクレパス周囲にいるエンシェントドラゴン一体を含む幻想種が姿を消している光景だった。


オレ達は言葉も出ない中少女が振り返る。その眼は蒼く人で無いように思える。


「ちょっと待て。リース、その子もしかして」


浩平はどうやら知っているようでオレが振り返ると思いだそうとして頭を捻っていた。そして、


「エンシェントドラゴンじゃないか?」


その言葉に誰もが絶句する。だって、エンシェントドラゴンは向こうにまだ三体もいるのに。


少女が浩平に向かって笑みを浮かべる。


「あなたの動きは見ている。リースと一緒によく頑張っている。あの時の誓いと同じように」


「やっぱり。契約の儀式のことは夢見心地であまり覚えていないからな。でも、君と会話したのは覚えているぜ。リースの次くらいに可愛かったということも」


「はあ、お前からすれば世の中の女の子は全員リースの次なんだろ?」


「その通りだが何か?」


四人の女の子で悩んでいるオレからすれば羨ましいところだけどな。


「周様、浩平さん、今、戦闘中ですけど」


「忘れてた」


「よくよく考えると」


どうやらいつの間にか浩平のペースにはまっていたらしい。周囲の幻想種は動いていない。いや、怯えている?


「なあ、えっと、名前は?」


「メリル」


「メリルってエンシェントドラゴンなのか?」


「そう」


「角は?」


「三本」


確か、角が三本のエンシェントドラゴンって一番強いんじゃなかったっけ。


「最強の助っ人」


リースが親指を立てる。いや、まあ、確かに最強の助っ人なんだけどさ。


オレは小さくため息をついえメリルより前に出た。


「メリルはオレ達が危なくなるまで由姫を守ってくれ」


「何故?」


「今のオレ達がどうにか対処できなければ、もし、奴らが学園都市を滅ぼそうとして攻めてきてもどうにもならない。だから、今は」


「そうですね。私達の力で」


「この難局を乗り切るのが最善じゃ」


都とアルもオレに賛同してオレの横に並ぶ。相手はゲルナズムが、えーっと、48とエンシェントドラゴンが3。戦えない数じゃない。さすがに四体は辛かったけど。


オレは頭をフル回転させる。この時点で一番いいのは、


「亜紗はエンシェントドラゴンを。都と浩平、リースはゲルナズム。オレとアルでローブ集団をどうにかする。出来るな?」


『了解』


みんなの声が響き渡る。その声を聞いてオレは足を踏み出した。狙うのは『悪夢の正夢(ナイトメア)』の男。『現実回避(エスケープ)』の女は気絶させたし炎使いの男はここじゃ力が使えない。


オレはレヴァンティンを振り切った。だが、レヴァンティンは件によって受け止められる。


「いいのか? 私達の相手をして」


「なら、よそ見をしてもいろよ」


オレの視界の隅ではすでにゲルナズムは10は沈んでいる。ゲルナズムの弱点は腹だが浩平のビリヤードショットとリフレクトショットははっきり言って天敵だ。大量の触手があってもその中の一発でもくぐり抜けた瞬間に魔力の弾丸が腹を直撃して縛春する。特に、リースと二人の場合は竜言語魔法のリンクからか威力が高い。


「くっ、そういうことか」


オレがすぐに吹かなかった理由がこれだ。ゲルナズムの相手ならこの二人と二人を守る都がいればどうにかなる。でも、エンシェントドラゴンはそうはいかない。だから、オレは悩んでいた。


「エンシェントドラゴンも三体だけならどうにかなるんでな!」


視界の隅でエンシェントドラゴンが両断される。矛神の一撃は何でも切断できる。だから、二体までなら確実に倒すことが出来る。


後一体は全員で片付ける。それが、オレの作戦だ。


「くっ、引くぞ!」


『悪夢の正夢(ナイトメア)』の男が後ろに下がる。オレはそれを追いかけようとして追いかけられなかった。オレと『悪夢の正夢(ナイトメア)』の男の間にちょうどエンシェントドラゴンが入ったからだ。オレはすかさず後ろに下がる。


「厄介じゃな」


魔術の準備を整えていたアルがその手にフランベルジュを取り出す。作戦通りにはいかないのが常だけど、今回は少し分が悪い。エンシェントドラゴンにダメージを与えられる武器が少ないからだ。


オレはレヴァンティンを握り締める。


「アル、援護を頼めるか?」


目の前にいるエンシェントドラゴンを睨みつけながらオレはアルに向かって尋ねた。アルはその言葉を鼻で笑う。


「我を誰だと思っておる。そもそも、エンシェントドラゴンを相手に効く魔術を開発していないとい思っておったのか?」


「信頼しているさ」


だから、オレは体中に神経を巡らせた。自分の体を戦闘に最も適当な状態に組み換える。生体兵器というアドバンテージを最大限まで使ってあらゆるところを強化する。力も速度も。


エンシェントドラゴンと戦うために最大限の状態に組み替える。


「行くぞ、レヴァンティン」


『いつでも行けますよ』


エンシェントドラゴンにモードⅣが効くかわからない。でも、今はそれにかけるしかない。


オレは前に踏み出した。エンシェントドラゴンも動く。振るわれる尻尾をギリギリで回避して空中の足場を蹴ってさらに向かう。ゲルナズムがいない分、攻め込みやすい。


いくつもの足場を作り上げそこを跳び乗るようにして駆け抜ける。エンシェントドラゴンがブレスを吐けない以上、怖いものは少ない。


そう思っていた矢先にエンシェントドラゴンの目の前に魔法陣が出来上がっていた。あの形はリースや浩平が使うものに酷似している。


「竜言語魔法か!」


『気を付けてください。雷属性の魔術が来ます!』


レヴァンティンの言葉と共に魔法陣から紫電がほとばしった。オレはすかさずレヴァンティンで紫電を打ち消す。だが、魔力がごっそりもって行かれるのがわかった。


威力がかなり高い。オレは空中に作り出した魔力の足場に着地する。だが、その時にはエンシェントドラゴンの第二波が迫っていた。オレはすかさずレヴァンティンで打ち消す。だが、その効能は足場にも作用し、オレは空中で姿勢を崩した。


マズい。


振られる尻尾。回避する手段は、ない。


「舞え、紫電よ!」


その瞬間、アルの声と共にエンシェントドラゴンの尻尾が弾き飛ばされた。オレの隣にはいつの間にかフランベルジュを構えるアルの姿がある。


「そなた、我を忘れておったの?」


「まさか、近接だとは思わなくてな。悪い」


「いいのじゃ。我だって自分でも驚いておる。じゃが、この技はかなり有効じゃからな」


理由はわからないが正しいのだろう。エンシェントドラゴンの攻撃を弾き飛ばす威力がある。でも、そんな力はアルには無いはずだが。


エンシェントドラゴンは驚くことなくオレ達に向かって氷の槍を放って来る。数はかなりおかしいほど多いが。オレはレヴァンティンを、


「舞え、紫電よ!」


だが、その氷の槍はフランベルジュの一振りで吹き飛ばされていた。原理が全く分からない。


「我が全てを弾き飛ばす。そなたはただ攻撃することだけを考えよ!」


「そうだな。さすがにエンシェントドラゴン二体なら無理だけど、一体なら可能だよな!」


オレ達が同時に宙を駆ける。エンシェントドラゴンは怒り狂った目でオレ達を見ている。


「レヴァンティンモードⅣ」


『アクセルドライブ起動終了。バランサーシステム正常化確認。現世空間に浸食完了。いけます!』


オレはレヴァンティンモードⅣを振り上げた。その刀身に金色の力が纏う。


「金色夜叉!」


最大威力の最大攻撃。そのモードⅣの刀身はエンシェントドラゴンの体に、


突き刺さらなかった。


「なっ」


声が漏れる。その瞬間、エンシェントドラゴンの首が動く。避けられない。避けるような距離じゃない。


「周!」


アルの声。それに対してオレは手を伸ばしていた。そして、叫ぶ。


「マテリアルライザー!」


エンシェントドラゴンの首振りをマテリアルライザーの左の剣であるライルダムで受け止めた。そして、後ろに一歩下がって前に踏み出す。右の剣レイルダムを突き出して。


エンシェントドラゴンの体にレイルダムが突き刺さった。そのまま下に切り裂いてエンシェントドラゴンを半ばから断ち切る。


「まさか、マテリアルライザーがエンシェントドラゴンに有効だとは」


「私も驚きです。この場でこのままは危険なので戻りましょう」


アル、いや、エリシアの声にオレは頷いてマテリアルライザーを解除した。そして、小さく息を吐く。


ゲルナズムの群れは浩平の射撃によって全滅し、残ったエンシェントドラゴンも矛神によって両断されている。


「『悪夢の正夢(ナイトメア)』の男もいないし逃げられたか」


「そうじゃな。今は、なっ」


アルが絶句する。その言葉にオレはアルが向いている方向を向いた。そこには倒したはずの全ての幻想種が一つに集まりだしている。


一体、これはどういうことだ?


そう思っていた瞬間、メリルが前に踏み出していた。巨大な斧を普通に持って距離を亜紗と同速度で詰める。そして、幻想種が集まり核の様なものになったところに斧を叩きつけた。


轟音と共にケリアナの花が空に舞う。それと同時に何か嫌な予感が迫っていた。これは、まさか、


「ファンタズマゴリア!」


そうであってほしくないと祈りながらファンタズマゴリアを展開する。その瞬間、爆炎がファンタズマゴリアを直撃していた。展開している腕に大きな負担がかかる。


このままじゃ、破られる。


「周」


そんなオレにアルは話しかける。そして、オレに向かって魔術書アル・アジフを投げてきた。


エリシアの手にあるのはオレがプレゼントした亜紗と同じスケッチブック。


『ごめんなさい』


その文字と共にファンタズマゴリアが砕け散る。迫る炎に対してエリシアは背を向けた。そして、緑色の光が包み込んだ。


目もくらむような緑色の光。オレは腕で顔を覆いやり過ごす。そして、光が消えたその時、炎は無かった。代わりにあるのは無傷のまま立っているメリルと、体全体が大きく焼けただれたエリシアの姿。


「エリシアーッ!!」


オレの叫びが空間の中にこだました。


次からは後編になるまで戦闘が極端に少なくある予定です。一応、訓練とかで入るかもしれませんが体育祭関連で物語が進んでいく予定です。最初は少し別の話を進めて行きますが。

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