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新たな未来を求めて  作者: イーヴァルディ
第二章 学園都市
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第四十五話 高速機動戦

壁を駆け抜ける。そして、手に持つ七天失星を振り切った。


ゲルナズムの体が地に沈む。そのまま壁を蹴って地面に速度を殺さないように着地しながら滑り込んだ。ゲルナズムの懐に入り込みゲルナズムの腹を切断する。


狭い通路の中、亜紗は上下左右に激しく動きながら前に進んでいた。それを後ろから追いかけるのは浩平。


「亜紗ちゃん! 急ぎすぎだ! ペースを考えろ」


亜紗は振り返りながら浩平に向かって親指を立てる。まるで大丈夫とでも言うかのように。


浩平は小さく舌打ちをしてフレヴァングではなく双拳銃に持ち替えた。亜紗の速度は浩平からすれば全力疾走。そんな状況でフレヴァングなんて使えない。命中出来ない。だから、浩平は双拳銃を握りしめる。


「っく、周の奴。後で絶対特別手当てをもらうからな」


浩平は小さく呟きながら双拳銃の引き金を引いた。






瓦割りのごとくシェルターの防壁を由姫が砕いた瞬間、その場にいる誰もが開いた口を閉じることは出来なかった。


由姫が小さく息を吐く。


「兄さん、大丈夫ですか?」


「それはこっちのセリフだ。お前、腕は?」


「大丈夫です。いや、まあ、本当に成功するとは思いませんでしたけど」


そう言いながら照れている由姫。ただし、周を含めて全員が引いているが。


あまりの頑丈さに誰もが投げ出した場所を事も無げに破壊したのだから。


「アルはこの下に行ったんだな。亜紗、浩平」


周は亜紗に向かって鍵を投げる。亜紗はそれを受け取った。


「来た道にあった扉を開けてそこから下りろ」


「ちょっと待てよ。みんなでいった方が確実だろ?」


「ああ。だけど、普通はここを破れない。だから、二人は通常ルートで下りて欲しい。道は確実に繋がっているから」


その言葉に浩平が小さくため息をついた。


「わかった。後で請求書送りつけるからな。双拳銃はフレヴァングと違って金かかるんだからよ」


「頼む」






浩平が駆ける。駆けながらも双拳銃の引き金を引く手は止めない。


一匹二匹三匹とバーストバレットによってゲルナズムが崩れ落ちていく。だが、道から溢れ出てくるゲルナズムの数は減りはしない。


「バーストバレットは後40か。後はプリズムバレットを使うしかないな」


浩平が小さくごちながらリボルバーの中のバーストバレットを新しいものに変える。そして、リボルバーを元に戻した。


「亜紗ちゃん、高速機動中の援護は後40ほど。無くなったら合図をするから速度を緩めてくれ!」


亜紗はゆっくり頷いて触手をかりくぐりゲルナズムに向かって七天失星を放つ。そのままもう片方の手に握っていた刀を力のゲルナズムに投げつけた。刀はゲルナズムの目に突き刺さり、亜紗は勢いのままさらに突き刺して引き抜く。


それによってゲルナズムは崩れ落ちた。


「うわっ、弾丸じゃそこまで貫通力はないから無理だな」


あくまで外すことを考えていないのが浩平らしい。


浩平は双拳銃を構えて四連続で引き金を引く。それだけで亜紗の前に立ち塞がったゲルナズムが崩れ落ちていく。


高速機動戦闘。


常に走りながら足を止めることなく流れる動作で攻撃をし続ける戦闘形態の中で最も難しいもの。


足を止めれば危険性が増すというのもあるが、動き回ることによってひたすら攻撃出来るというメリットが生まれる。防衛ではなく攻撃を行うなら高速機動戦闘は必須だ。


それを二人は行っている。浩平は全速力で駆けながら、亜紗は上下左右に壁や天井を蹴りながら空間というものを最大限に使って。


「つか、なんでこんなに敵が量産されているんだよ。量産型幻想種なんてぞっとしねぇぞ」


そう言いながらも浩平は双拳銃の引き金を引く。引き金を引いている際には亜紗は普通に走り、リボルバーの中身をリロードしている最中には斬り込んでいる。


誰が見ても見事な連結だった。


亜紗がゲルナズムの触手を避けて潜り込もうとした瞬間、ゲルナズムを貫くように光が降り注いだ。


亜紗がすかさず後ろに下がり、変わりに浩平が前に出る。


ゲルナズムの後方にいるのは蛇のような存在だった。ただし、その目は八つある。魔物ではないことは確かだ。


「新たな幻想種ってか!?」


すかさず双拳銃を戻して地面と壁を蹴りながら取り出したフレヴァングの引き金を引く。放たれたエネルギー弾は確実に蛇のような存在の目を打ち抜いていた。すかさず連続で引き金を引き目を打ち抜く。


そして、全ての目を打ち抜いた瞬間に亜紗が七天失星で斬り裂いていた。防御力はゲルナズムより硬くなく、むしろ柔らかいほどだ。


亜紗が着地した先にはゲルナズムの姿は見あたらない。


「はぁ、これで少しは休憩出来るな」


『突き進む。休んではいられない』


「わかってるよ。だけど、スピードは抑えた方がいいだろ。このまま走ってたらバテるぞ」


『大丈夫』


そう言いながらも二人は走る速度を緩めない。浩平は小さくため息をついてフレヴァングを戻した。


「まあ、確かに亜紗ちゃんなら大丈夫だろうな」


亜紗が七天失星を鞘に収めて速度を上げる。対する浩平はそれについて行くだけで十分だった。


第76移動隊最速の亜紗と浩平じゃ勝負にならないから。


「つか、亜紗ちゃんは三本の刀提げているのになんでそんなに速いんだよ」


矛神と七天失星と普通の刀。


重さ的にはかなりのレベルではあるのがだが、亜紗の足は止まらない。


「これからの考えたら魔力温存したいし、リースからの援護は期待出来ないし」


頑張ってくらいつきながら浩平は小さく呟く。その瞬間、ほんの一回だけ足音がする。


浩平はすかさず振り返った。そこにいるのは槍を持った男。


「亜紗ちゃん、先に行け!」


その言葉を叫びながら浩平は空中に飛び上がる。本来は通路での空戦は危険なのだがその危険性を考慮しながらも浩平は飛びフレヴァングを構えた。


そして、ローブの男に向かってフレヴァングの引き金を引く。放たれたエネルギー弾は壁を跳弾しながらローブの男に襲いかかる。しかし、ローブの男はそれを軽々と弾いた。


「さすがに、やらせてはくれないかよ!」


浩平はフレヴァングを戻し手のひらをローブの男に向ける。すると、凄まじい風の刃がローブの男を切り裂こうと襲いかかった。


だけど、ローブの男は壁や天井を縦横無尽に駆け回り回避する。


「おいおい。今のを回避するのかよ」


距離が縮まっていないのが唯一の幸運だと思っていい。浩平の飛行速度とローブの男の走行速度はほぼ同じ。だったら、浩平に分がある。


「悪いが、決めさせてもらう」


浩平はすかさず双拳銃を構え、引き金を引く。浩平の十八番の一つ、ビリヤードショット。


通路なのでもう一つの十八番であるリフレクトショットは使わなくていい。壁による跳弾でいくらでもリフレクトショットの代わりは出来る。


引き金を引く速さはギリギリ限界。高速の射撃は追いかけるローブの男の動きを完全に止める。


浩平はそれを確認しながらさらに速度を上げた。


高速機動戦闘中は飛行出来る方が便利な時がある。それが今だった。


孝治は後ろ向きのまま飛行しつつ自らの十八番であるビリヤードショットを簡単に成し遂げた。それは高速機動戦闘中にするようなものじゃない。そして、それは下手をすれば壁にぶつかるようなもの。


前に進む亜紗と自分の飛行能力に自信が無ければ出来ない芸当だった。


「相手はビリヤードショットでもダメだった。リフレクトショットも組み合わせるしかないのか? ったく、こういう時は通路じゃなくて開けた空間の方がやりやすいぜ」


そう言いながら浩平はローブの男を見る。ローブの男は立ち止まり、その手に持った槍を下ろしていた。


浩平も双拳銃を戻す。


「次会う時は、俺の得意なフィールドでな」


そう言いながら、銃使いにとって一番有利とされる通路を浩平は後ろ向きに飛んで駆け抜ける。

第二章後編において浩平が派手に戦闘を行う予定です。ビリヤードショット、リフレクトショット、竜言語魔法など力の全てを出す予定なので、浩平の活躍を期待していてください。期待に沿えるかわかりませんが(笑)

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