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新たな未来を求めて  作者: イーヴァルディ
第二章 学園都市
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第三十七話 シェルター点検

第二章は前編中編後編に分けられ、シェルター点検は前編のラストに入っていきます。

学園都市にあるシェルター。それは『赤のクリスマス』のような大規模テロ事件が学園都市内部で起きた場合、一般人が隠れるために作られたもの。


他の地域にあるような核と呼ばれる兵器から身を守るために作られたオーバーテクノロジー産物の核シェルターと言われるものとは違い、言うほど強度はない。


核シェルターは噂では慧海ですら抜けなかったとか。


そんな学園都市のシェルターの入り口の一つ、学園施設エリア第八入口にオレ達は来ていた。


本当なら音姉や孝治も連れて行きたかったがナイトメア関連で調べており、代わりに学園自治政府から援軍が来ていたりもする。


「久しぶりの一緒の任務。よろしくな」


そう言いながらオレの目の前にいる浩平は挨拶してきた。オレは小さくため息をつく。


「何でお前が来るんだよ」


「大和からの命令だよ。学園自治政府で一番の戦力は俺だからな」


「確かに、閉鎖空間の中じゃ一番強いかもしれないけど」


弾丸と弾丸を弾き合わせて逃げ場を無くすビリヤードショットと建物の壁に弾丸を反射させるリフレクトショットを得意とする浩平だからこそこういう任務にはかなり向いている。


ちなみに、名前は五年前に浩平が考え出した。浩平レベルのビリヤードショットやリフレクトショットは世界でも数人しかいない。その大半が『ES』だ。


「俺なら大和からシェルターについていろいろ教わってきたからな。周をサポートすることも出来るぜ」


「嬉しくて涙が出そうだぜ」


そんな情報はすでに集めている。


オレは小さくため息をつきながらシェルターの入口のロックを解いた。


解き方は簡単だ。暗証番号を打ち込むだけ。普通は誰もが開けれるようにするのが普通だが、そんなことをして不良の溜まり場になったらしく暗証番号制度になった。


ネットで調べれば普通に番号があるけど。


シェルターのロックを解いて重たいドアを開ける。開けた先の空間から少しひんやりした空気が流れてきた。


シェルターは地下にあるからか温度は他と比べて低めだ。だから、ひんやりするのはわかるけど、そのひんやりに従って何かの匂いがそんの少しだけ鼻につく。


ただ、ほんの少し。本当にかすかな匂いだった。


「何か匂うの?」


「そうなのですか?」


都が鼻を鳴らして匂いを嗅ぐがわからないだろう。最初嗅いだ時にはわかったが、ほんの少しの時間で匂いがわからなくなった。


だから、もう気づけない。ほんの少しの間しかわからなかった。


「どこかで嗅いだことがあるような気はした。だけど、それがどこか少しわからないな」


「そうじゃな。ここまで匂いが薄いと判断することは出来ぬ。我や周以外にわかったものは?」


由姫も亜紗も首を横に振る。浩平は元から期待していない。


「わからぬか。しかし、シェルターに匂いがあるものかの?」


「匂いは籠もりやすいだろ? 食料か何かが漏れているとしか考えられないな。まあ、潜ってみたらわかるだろ」


オレはそう言いながらシェルターの中に向かってボール状のものを投げた。簡単に説明するなら毒など人体に有害なものが濃い濃度である場合に警報を鳴らして知らせてくれる不便な便利グッズだ。先に入れないといけないのが問題だ。


音は鳴らないので一酸化炭素やらその他毒も大丈夫そうだ。少量あってもオレかアルが気づくし。


「さてと、フロントは亜紗と由姫。センターはオレと孝治。バックに都とアルで。シェルター内の危険はないだろうけど、単独行動だけはするなよ」


単独行動は本当に危険なのだから。


『了解』


みんなの声、何故かレヴァンティンの声もする。オレは小さく息を吐いて歩き出した。






「食料庫はよし」


オレはシェルターの中にある扉を開けながら確認する。オレの声が聞こえたアルは用紙にそのことを書いていた。


今、オレはアルの二人と回っている。シェルター一般空間に到着したオレ達は三組に分けてシェルター点検を始めたのだ。


シェルターは基本的に三つの通路があり、それぞれが様々な施設に繋がっているからだ。


そこでオレは一番数が多い中央通路をアルと一緒に行うことにした。


「ふむ、順調じゃな。このままではかなり早く終わるのではないかの?」


「シェルター点検だけならそんなに時間はかからないさ。ただな」


オレは楠木大和からもらった鍵をアルに見せた。アルはそれを受け取ってじっくり見る。


「ほう、かなり魔術細工が深い鍵じゃな。シェルター内の鍵かの?」


「シェルターよりさらに深部に至る場所への鍵だそうだ。よくわからないが。というか、そんなに魔術細工が深いのか?」


そっち方面は知らないからよくわからないが、アルからすればちょうど専門家だ。だからこそ、わかるのだろう。


オレから見れば何か細かい鍵にしかならない。


「細かいの。我でもコピーするのに三ヶ月はかかる」


「どんだけかかるんだよ」


まるで、どこかの銀行の金庫だ。あそこは専門家が専門的な道具で作っているのと同じこと。それほどまでに重要なのか。


シェルターにそんなに必要な区画が必要なのか疑問だ。


「次は、避難してきた人の待機所か」


オレはドアを開けた。そこにあるのはただの広い空間。空間なのだが、その空間の匂いを嗅いだ瞬間、オレは眉をひそめた。アルも同じように眉をひそめただろう。


「匂うな」


「そうじゃな。この匂いはシェルターを開けた時の匂いじゃの」


「ああ。それに、埃があまり見当たらない。多分、ここで何か行われていたな」


オレとアルはその区域に入った。そして、同時に地面を触る。


定期的に掃除しているならともかく、シェルター点検は一ヶ月に一回のはずだ。なのに、綺麗すぎる。まるで、昨日か今日に掃除したかのような。


「運び出されたか。証拠がわからないように綺麗にした」


「普通の部隊なら気づかないからの。我やそなたしか気づかぬことじゃ」


「だろうな。気づくとするなら都くらいか。他のところも調べた方がいいな。アル、さっさと点検を済ませて他を回るぞ」


「了解じゃ」


オレ達は走り出した。これと同様の部屋が他に見つかったならかなりヤバい。ここで何があったかわからないが、何かがいるということは確かだ。


腰に提げたレヴァンティンに肘を置いてオレはその部屋から出た。そして、次の部屋のドアを開ける。


そこには、扉があった。


「ここは、地図には書かれておらぬ扉じゃな。しかも、扉の中に扉があるとは」


「ここでこの鍵を使うのか。今は開けるべきじゃないな」


開ける時はメンバーが揃っている時の方がいい。


「奥を調べよう。何かわかるかも、なっ」


オレはレヴァンティンを鞘から抜いた。何故なら、前方にあいつの姿があったからだ。


幻想種であるゲルナズム。それが通路の先から八匹ほど。


「おいおい。普通はシェルターの奥に入ってからだろ。シェルター内で出るものじゃないっての」


「どうやら我らが気づいたから慌てて出したという感じじゃな。本当ならもっと早くに出しておる。罠と共に」


「おかげで奥に何かがあるってわかった。アル、援護を頼む」


「了解じゃ」


オレは前方にいるゲルナズムに向かって床を蹴った。


次回から戦闘が続きます。

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