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新たな未来を求めて  作者: イーヴァルディ
第二章 学園都市
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第二話 都島学園都島高校

第一章と第二章の中で何が起きていたかはゆっくり書いていくつもりです。

そう、それは忘れもしない二年前の冬。


都島学園都島高校の入試を一週間前に控えたオレと由姫はとある任務でロシアにいた。任務と行っても戦闘ではなく調査だったためロシアに行ったことのなかった由姫を連れて行ったのだ。


その調査の最中、近くの国家からのテロリスト達が襲撃してきた。オレ達は他に調査していた人達を守りながら目的の遺跡で飢えを堪えながら一週間守っていた。


まあ、一週間の内のほとんどがブリザード到来したからだけど。


オレと由姫の二人だけならブリザードは普通に突破出来たが、調査班がいる上にテロリストの存在もあり救援部隊が遅れてオレ達は簡単に高校浪人となった。すごく恥ずかしいことに。


キレた由姫がテロリストを相手に大立ち回りをしたのはすごかったけど。


そして、一年前の冬。この時は去年の二の舞になるまいと一ヶ月前から任務につかなかった。そして、受験当日、二人揃ってインフルエンザにかかってしまった。今までかかったことがなかったのに。


ベリエが言うには、


「動かないから免疫が落ちたのよ」


だそうだ。インフルエンザの中、無理にいったオレ達は全く頭が回らず由姫はダウン。オレは解答を一個ズラすという技を出して落ちた。


そして、今年。受験は成功した。まあ、一教科だけ名前を書き忘れるミスをしたけど学園側がオレの背景を知っているから大学(医学部レベル)の問題で再試験させられた。まあ、ギリギリだったけど。


そして、ようやく、ようやくオレ達は都島学園都島高校に入学出来た。


「何故回想に入っているんですか?」


由姫が外用の話し方で話しかけてくる。一度直さないか尋ねたのだが、慣れて修正が出来ないらしい。オレも嫌いではないからいいけど。


オレは都島高校の校舎を見上げながら言う。


「久しぶりの学園生活だからさ。オレも由姫も本当なら三年生だろ?」


「言わないでください。人生の汚点です。就職が不利になると思いませんか?」


「大丈夫大丈夫。由姫の将来の夢ってオレのお嫁さんって書いて」


手加減無しの拳が飛んできた。






痛む鼻を押さえつつ、オレと由姫の二人は校舎の壁に張られたクラス表を見ていた。入学式前にクラスに分かれないといけないようだが、オレのクラスは、


「3組か。由姫の名前もあるな?」


「本当ですか? やった」


由姫が小さく拳を握りしめて嬉しそうに笑みを浮かべている。そこまで喜ばれるとこちらも嬉しい。


同じクラスなのはオレ達が第76移動隊所属だからだろうな。


「また、兄さんと同じクラスですね」


「中二の頃以来だよな」


「そうですね。これで亜紗や都さん、アルさんにリードです」


口ではそう言っているけど、純粋に嬉しいだけなんだろうな。別名照れ隠し。


オレは笑みを浮かべながら玄関の方を見た。体育館に渡る渡り廊下が上にあり、その下に玄関。一年生クラスは四階だったな。一番上が四階で。


「これから教室向かえばいいんだよな。ん? あれは」


オレは見知った姿を見つけて歩き出した。由姫も歩き出したオレの後を追いかけてくる。


「何でこんなところに委員長がいるんだ?」


玄関付近にいた学生、上級生だろう、の中に委員長の姿を見つけた。


容姿はやはり相変わらずの委員長スタイル。第76移動隊内ではコンタクトにする時が多いけど。


「あれ? 海道君には言ってなかった? 生徒会長するって」


「あー、何か聞いたことがあるな」


「覚えておいてよ。事務の仕事もなかなか手伝えなくなるって言ったよね?」


言われた記憶がある。でも、その時は結構重要な書類をやっていたから覚えていなかったようだ。


しっかりしないと。


「会長、知り合いですか?」


委員長の隣にいた学生が委員長に尋ねている。生徒会の関係者か。


「うん。海道周君。第76移動隊隊長」


「あの」


隣の学生が絶句していた。そりゃそうだろう。第76移動隊隊長海道周は委員長と同じ年。着ている服装は都島高校のものだから同学年だとして聞いたことがないからだろう。


まあ、本当のことを言ったらさらに言葉を失いそうだけど。


「委員長が生徒会長か。優遇されそうだな」


「身内には厳しいから。それに私は生徒会長だって」


「異名が委員長だろ?」


委員長こと鈴木花子。『GF』では内外共に委員長と呼ばれている。理由は学園都市にやって来て第76移動隊の治療見習い兵として入隊してから最初の実戦治療で他の見習いじゃない治療兵に指示を飛ばすという凄まじいことをした。そのため、史上最速で治療兵に昇格した。


まあ、見習いなのにおどおどした他の治療兵に怒鳴りつけて指示を飛ばしたんだもんな。


オレが委員長と呼んでいたから異名が委員長に。ちなみに、日本語だ。


「もう、いいよ。海道君が異名を広めた存在だしね」


「まあ、委員長は委員長だし。これからオレ達は教室に向かえばいいのか?」


「うん。確か、3組だったっけ。そこに向かえばいいよ」


「ありがとう。行こうぜ、由姫」


「はい」


オレは由姫と一緒に玄関に入る。そして、そのまま上履きを取り出して履き替えた。


由姫が呆れたように溜息をついてくる。


「兄さんは覚えていなかったんですか? 鈴木さんが生徒会長だということを」


「あの頃はアメリカで通り魔が起きていたじゃないか。あれに関して色々まとめていたからな」


「まあ、兄さんも人の子ということですね。ところで、私達の3組はどこにあるんですか?」


ちょうど近くに地図が張ってあったので確認する。廊下は東から西に伸びていて東から1組ということは、


「東から三番目だな。さて、どういう人がクラスメートになることか」


「悪いことにはならないと思いますよ。天下の第76移動隊ですし」


「そりゃそうか」


オレは階段に足をかけながら笑みを浮かべた。






都島高校には少し面白い特徴がある。一学年につきクラスが五つしかない。五つしかないからか教室がかなり広々としているのが特徴だ。


そんな5組の教室の中を階段を上がりながら見ていた。緊張している人から友達と話している人まで様々な人がいる。


ようやく高校生活なんだなとしみじみと思ってしまうのはオレだけだろうか。


「ようやく高校生活なんですね」


もう一人いた。オレは軽く息を吐いて階段を登りきる。


「毎日上り下りするとなると億劫になってくるな」


「いや、そんなに登校しませんって。まあ、階段が面倒ということには賛成しますが。飛んだらダメですか?」


「許可を出すと思うか?」


「ですよね」


そんあ私的なことの飛行許可を出したら他のものを認めないといけなくなる。あくまで、飛行許可はちゃんと書類を申請してもらわないと。


まあ、申請書類のはそんな私的流用をしようとする奴もいるからそれに許可を出させないのがオレ達の仕事でもある。まあ、許可を出された場合でも回収する任務があるけど。


オレは上を見上げた。教室の入り口についているプレート。そこには1-3と書かれている。


オレはその中に足を踏み入れ、


「ふざけんなよ!」


いきなりの怒鳴り声に思わず目をパチパチしていた。踏み入れた足が完全に止まっている。まあ、横に跳ぼうとしたら扉があることを思い出して跳ばなかっただけだけど。


視界にいるのは男子グループ五人と男女一人ずつが向かい合っている。そのそばでは一人の背が小さめな女子がおどおどしていた。


一体何が起きているんだ?


「何勝手に人の私物を取っているんだよ。『GF』だからって言うのか?」


「ええ、そうよ。さすがにこの袋に入った粉は見過ごせないもの。ちゃんとした機関で調べてもらうから」


どうやら男女の方が『GF』らしい。女子がその手に白い何かが入った袋を振っている。あれはもしかして。


「だから、ふざけんな言ってるだろが! 帰せ!」


「おっと。『GF』に刃向かうつもりか?」


袋を取り返そうとした男子に『GF』の男子が笑みを浮かべながら言う。その言葉に相手は手を止めた。


『GF』に刃向かうということは学園都市に刃向かうと同義に聞こえるんだけどな。


オレは小さく溜息をついて歩き出した。


「『GF』に刃向かえばお前達に待っているのは地獄だぜ。まあ、こんな怪しいクスリを持っているならもう地獄行きは確定」


「主成分から考えて最近出たばかりの『カンタミラ』に近いものだな。まあ、クスリっちゃ薬だけど、中毒症状にはかなり遠い部類だな」


オレは袋の中身を微かに舐めていた。微かにというのもポイントだが、一番魔術で判断し易い舌で舐めるというのもポイントだ。もちろん、事前にいくつもの解毒魔術を使っておかなければならないけど。


『カンタミラ』は簡単に説明するなら拒食症の人に使う薬の一緒。向精神薬みたいな合法ドラッグとはほど遠くて良かった。


「てめぇ、何者だ?」


『GF』の男子が詰め寄ってくる。


「『GF』が取り上げたものを奪って舐めるとはいい度胸じゃねえか。学園都市を敵に回すつもりか?」


そのまま睨みつけつつ顔を近づけてくる。それに対してオレは溜息で返した。


「呆れてものも言えん。学園都市を敵に回す? 『GF』が学園都市を仕切っているわけじゃねえぞ?」


「『GF』が実質学園都市の仕切っているもんだ。それすらわからないてめぇはお子ちゃまだな」


呆れて何も言う気にならない。『GF』女子の方は完全にオレの正体に気づいているって言うのに。


オレは薬を男子グループに投げた。


「使い方は教わっているのか?」


「あ、ああ。こさじ一杯以上はいれるなと」


「正解だ。用法用量守らなかったら痛い思いをするのはお前らだしな。まあ、そんな袋に入れずに別の袋の方が」


「無視すんなや!」


掴みかかってきた腕に対し、オレはそれを左手で掴んだ。そのまま体を前にやりつつ背中を向け、上手く背負い投げる。


殴ってきたなら普通に投げる方が有効だけど、掴みかかってきたなら背負い投げた方が成功しやすい。


オレは小さく溜息をついた。


「チェーンバインド」


すかさず背負い投げた男子に拘束魔術をかける。さすがに今のは上限を超えた。


「とりあえず、お前の言う地獄に行くのはお前自身みたいだな」


「てめぇ、何者だ!」


喚き叫んでいるが、チェーンバインドの威力に関しては自信がある。


オレは『GF』帳と呼ばれる学園都市専用の『GF』証明書を取り出した。


「第76移動隊隊長海道周。お前が威張る学園都市内部の『GF』組織のトップだよ」


その言葉に誰もが言葉を失っていた。まあ、予定より早いから気にはしないけどな。


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