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新たな未来を求めて  作者: イーヴァルディ
第一章 狭間の鬼
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第二百四十三話 開始の攻防

こんなの戦場だと絶対に起きません。

オレはレヴァンティンモードⅡの柄を握り締める。


第一特務との戦い。実戦経験から全体的な実力まで全てが総合的に上だろう。多分、音姉、孝治、アルの三人だけが第一特務と対等に戦えるはず。今回の作戦の要である由姫と亜紗がどこまであの人を抑えられるかどうか。


オレは小さく息を吐く。


「とりあえず、相手のメンバーの復習だ。要注意人物は五人」


オレはレヴァンティンと投影装置を使い、壁に相手メンバーを全員出す。


「『無敵』の異名を持つ善知鳥慧海。はっきり言うならチート。作戦が当たらなかったら一人で夢想されるな」


「オレは慧海さんとは戦ったことがないんだけど、そんなに強いのか?」


悠聖が不思議そうに首をかしげる。まあ、仕方ないだろう。慧海の強さは次元を超越している、と言っても全く過言じゃない。


昔はもっとチート的存在だったらしいけど。


「簡単に言うなら、一撃の重さは由姫の全力。通常攻撃範囲は楓の砲撃級。魔術の威力はアルに匹敵」


「何そのチート? なんていうレアスキル持ちだよ」


「あいつ、個人スキルすら持っていないぞ。純粋な才能」


才能の時点でチートと言うしかない。オレや孝治がタッグを組んでギリギリまで追い詰めれたくらいだ。一応、総長に勝つ実力はあるんだけどな。


オレは小さくため息をついた。


「次は『雷神』の海道時雨。我ら『GF』の総長。加速術式『ミョルニル』が冗談抜きのチート。反応速度はオレ並みだと思ってくれた方がいいな。スピードは亜紗クラス」


時雨に関しては全員が知っているだろう。『GF』の中ではかなりの有名人だ。その能力から本気で雷の神様と呼ばれているくらいだし。


「次、『破壊者』アイシア。破壊という一点では最強。多分、『天空の羽衣』が一撃で剥される。続いて、『黒牙』レノア。アイシアとよくコンビを組んでいる。速度は亜紗級。武器は鎌。リーチの長さとレアスキル『影縛り』には気を付けるように」


これで四人目。後の一人は本当に最重要人物だ。


「『闇聖の貴公子』ギルバート。はっきり言うが、今回の最重要人物だ。速度は世界最高。武器の能力もチート級。今回、ギルバートさんをどう止めるかで勝敗が大きく変わると思う」


「やっぱり、周は勝つつもりやねんな」


「当たり前だろ。勝ち目がない戦なんで誰が仕掛けるか。全員、四月と比べて格段に強くなっている。新しい武器、新しい戦い方。それを実戦でも使える証明にすればいい」


模擬戦でも勝つことを諦めていたら前には進めない。戦場でただ死ぬだけだ。勝つことだけを考え、敵を倒す。それが、今回の一番の目的。


それに、みんなの新技は舌を巻くほど強いからな。第一特務にも一回だけなら通用する。


オレはレヴァンティンから投影装置を外した。そして、第一特務がいるであろう方角に向く。


開始の時刻まで後二分か。


「みんな。今回は負けることを考えるな。勝つことも考えるな。ただ、自分の全てをぶつけるとを考えろ。狭間戦役を乗り越えたオレ達がどこまで強くなったか、子供だからと言って何かを言ってくる奴らを静かにさせるために、力を使い果たせ」


レヴァンティンモードⅡを構える。それに応じてアルが魔術書アル・アジフを開き、楓がカグラを構え、都が断章を掲げた。


向こうも砲撃係が砲撃の準備をしているはずだ。ただ、向こうの火力はかなりおかしい。


「レヴァンティン。FBDシステム起動」


FBD(フルバーストドライブ)システム。


悠人のダークエルフに搭載されていたシステムをオレとレヴァンティン専用に組み替えたもの。レヴァンティンだからこそ可能とする圧縮魔力を幾重にも溜めて一気に解放するシステム。もちろん、戦いが長引けば不利になるけど、今回は短期決戦。常に全力全開だ。


『FBDシステム起動。スタート同時に魔力収束に入ります』


「ああ、どでかい花火」


残りのカウントが10秒になる。それを見た誰もが息を呑んだ。


今まで他の部隊と模擬戦すらしなかった第一特務が第76移動隊との模擬戦をするから。そして、それが開始されるから。誰もが息を呑む。そして、


カウントが5になる。4、3。


アル、都、楓が息を吸い込む。


2、1。


レヴァンティンの柄に力を込めた。


0。


「「「スターゲイザー・バスター!」」」


三人の声が重なり合った。収束系の魔術をコンマ一秒の間に放つ特殊な方法。複数人が同時に魔術の発動に入るのだ。それを行った三人。主な魔力は狭間から受け取っている。見る人が見ればわかるが、周囲にある木々や草などが微かに距離を寄せているだろう。地面を微かにえぐりながら。


放たれたスターゲイザー・バスター。だが、それは、向かってきたスターゲイザー・レインによってぶつかり合った。


「やっぱり、慧海が砲撃に入ったか!」


三人の砲撃がたった一人に受け止められる。この時点で相手は完全な化け物だ。


スターゲイザー・レインも一応収束系だが、その気になれば収束の時間なしで発動できる。その威力を極めて低くして。


なのに、普通に収束したスターゲイザー・バスターと同威力。もう、次元が違う。


「レヴァンティン!」


『収束率98%です。マスター、いけます!』


レヴァンティンモードⅡカノンを構える。砲撃系で、もっとも的にダメージを与えられる特殊砲撃。これの準備をするだけでまる一日の消費する魔力と同じ魔力を必要とする。だけど、開始の攻防にしては一番ふさわしい。


「混沌たる闇より出でし聖なる光。大地を包み、炎を焦がし、水を狂わせ、風を乱舞させる。稲妻は周囲に舞い、その向きは敵を狙おうと矛先を向ける。世界を舞う神楽のごとく、世界を包む力となせ!」


長い詠唱と共に巨大な魔術陣を出現させる。昔、楓が放ったことのある神剣『カグラ』を使った史上最強の砲撃魔術。天空属性でありながら、全ての魔術属性を持つ究極の砲撃魔術。


拮抗していたスターゲイザー・バスターとスターゲイザー・レインがお互いに消滅する。そして、迫りくるのはスターゲイザー・バスター。


ちょうど消えるタイミングで放ってきた。でも、これは予想通りだ。


「スターゲイザー・ブレイカー!!」


スターゲイザーの派生形の中で最も異質であり、もっとも戦場に置いて戦果を発揮する究極の砲撃魔術。その威力は、単一属性であるスターゲイザー・バスターを簡単に消し去る。


属性の暴力が天空属性だけのスターゲイザー・バスターを消し去った。威力が弱くても、属性が五つ以上多い魔術を放った場合、相手の魔術の威力次第では消し去ることが出来る。


オレの放ったスターゲイザー・ブレイカーは相手に迫り、そして、巨大なハンマーが具現化した。


オレは予定通りに『天空の羽衣』を展開しながら前に出る。


スターゲイザー・ブレイカーを打ち消し、迫りくるハンマーと正面からぶつかる。


『天空の羽衣』が消滅してオレの目の前に赤いゴスロリ服を着るアイシアさんが姿を現した。その手にあるのは巨大な斧。


「周坊、やるじゃねえか」


「予想はしていたんでね」


アイシアさんが獰猛な笑みを浮かべる。その笑みを見た瞬間、オレの体が総毛立つ。


「そうか。なら、お前はここで私が」


「あなたの相手はオレが努めますよ。だから、周は先に行け!」


その瞬間、アイシアさんに向かってチャクラムが放たれた。アイシアさんが手に持つ斧でチャクラムを弾き飛ばす。


それと同時にオレは地面を蹴った。アイシアさんが近くにいると言うことは、すぐ近くにレノアさんがいる。


神経をとがらせる。そして、嫌な感覚と共にその場にスライディングをした。オレの髪の毛をかするように鎌が通り過ぎる。視線を向けた先には驚いた表情のレノアさん。完全な不意打ちを避けられたからだろう。でも、驚いている暇はあるのですか?


オレの視線に気づいたレノアが振り返ろうとする。だけど、それより早く、レノアさんの背後に回り込んだ孝治がその手にある運命を振り切っていた。


レノアさんの右足を運命が浅くえぐり、レノアさんが孝治から距離を取るように離れる。その時にはオレの姿は敵陣に向かって一直線に進んでいた。


「都」


「はい」


オレの横に都が瞬間移動(ショートジャンプ)で現れ、オレと都との間を固定する。つまり、オレが走れば都の体も勝手に動く。オレに負荷はかからない。はっきり言うなら反則だ。


「このまま作戦通り、倒すぞ」


「大丈夫でしょうか。確かに、ルール上は可能です。私も許可を出すので力を使えますし」


「あいつに勝とうと思えばレヴァンティンと断章。二つの力を使うしかない。オレ一人じゃ限界があるからな。でも、そしてでも、オレは、海道時雨を倒す。そう決めているんだ」


チート級の面々である第一特務との戦い。周と都は時雨と。悠聖はアイシア、孝治はレノアと戦いますが、他の面々は次に機会に語ります。模擬戦さえ終われば第一章の終わりは間近です。

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