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新たな未来を求めて  作者: イーヴァルディ
第一章 狭間の鬼
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第二百三十七話 移動隊の足

ニューニューヨークの都市は中心部分はかなり復興しているものの、中心部分からかなり外れた場所では都市というよりも軍事基地とでも言うかのような地形が広がっている。


国連軍と『GF』の部隊の駐屯地があるからだ。そこの警備はかなり厳しく、『GF』内の敷地には巨大な格納庫がある。


縦1km。横600m。高さ100m。


その大きさはニューニューヨークの街並みから見ても異質なほど大きいものだった。


この中では主に開発が行われ、ソードウルフやエクスカリバーもここで組み立てられた。


その中にオレ、由姫、音姉がいた。


「かなり組み上がっているね。このままだと予定には余裕で間に合うんじゃないの?」


格納庫内部にあるとある物。それを見ながら音姉は呟いた。


確かに、外見は90%ほど組み上がっており、後はほんの少しなのだが、色々と問題がある。


それを知っているオレは小さく溜息をついた。


「艦橋は出来上がっているからそういう風に見えるけど、完成していない部分はかなり多いぞ。フュリアス格納庫とかも完成しているかな?」


あれはそのまま組み立てたパーツをはめ込んだだけだから正確には完成したとは言えない。


完成していない部分を上げるなら、部屋や食堂にトレーニングルームなど必要なものがまだ抜けている。これでもかなり出来上がっている。


オレは第76移動隊のこれからの足となるものを見上げながら思った。


全長400m級フュリアス搭載型強襲航空空母。


航空の名の通り、空を飛ぶことが出来る。そして、フュリアスを搭載可能。最大六機だが、エクスカリバー、イグジストアストラル、ソードウルフの三機だけなので十分だ。


これ以上増えないことを祈る。


フュリアスの整備士や航空空母自体の整備士を載せた上に第76移動隊全員を載せても普通規模の正規部隊も載せれるくらいの容量がある。


後は、飛べるかどうかだけど、そこは音界の技術を流用しまくって、理論上は可能な水域を飛び抜けている。


「お兄ちゃん。これが、第76移動隊の足になるんだね」


由姫の言葉にオレは頷いた。


移動隊なのに移動が遅いことを逆手に取ったアイデア。まあ、結城家の作り出した航空空母が無ければ完成していないけど。


性能としては悪くはないはずだ。後は、どこまで飛べるかどうか。こればっかりはどうしようもない。


「でも、こんな箱が空を飛ぶんだね」


「箱言うな」


まあ、外見は箱だ。箱に翼とくちばしをつけたと言われても反論出来ない。反論する材料がない。


魔術の力で強引に進むシステムにしているからな。そこは我慢して欲しい。


「いや、箱にしか見えないから。これってお兄ちゃんが考えたんだよね?」


「オレが考えたのは内部構造と出力エンジンだけだ。それ以外は技術者達。出力エンジンも音界の技術者と強力したから正確には内部構造だな」


積載量上限一杯にならないようにいろいろと考えた。最初はフュリアスを八機も載せれる構造だったが、難しいと悟り諦めた。


部屋もゆったりさせることで人数的にたくさん乗らないようにしている。


「おっ、来てたか」


「七分の遅刻だ」


オレは聞こえてきた声に振り返った。そこにいるのは時雨だ。その横には秘書のフィルアさんの姿がある。


時雨はにかっと笑みを浮かべながら航空空母を見上げる。


「名前は決めたのか?」


「400m級フュリアス搭載型強襲航空空母『エスペランサ』」


「中学生だからドイツ語が来ると思っていたら、いやはや、別の言語が来るとは」


意味は確か希望だったと思う。この艦の名前に相応しい。


「完成状況は?」


オレは時雨に尋ねた。エスペランサの組み立てを担当しているのが時雨だからだ。


時雨は険しそうな顔になる。そんなヤバいのか?


「予定より三日早く完成しそうだ」


オレの拳がうなりを上げていた。時雨はギリギリで、いや、余裕の表情でギリギリで回避する。


かなりいらつく。


「紛らわしいわ!」


「紛らわしくしただけだ。どうだ、見事な演出だろ?」


「一度死にたいみたいだな」


オレはレヴァンティンを取り出し、柄に手を乗せて、


「はぁ、バカみたいだな。もういいよ。余裕で完成するんだな」


「ああ。今回は技術者達の力の入れようがすごいからな」


それはわかっている。わかっているから当分の間無視しようと三人で入った瞬間に決めていた。何故なら、


「出来る。お前らなら出来る。今からお前達はポッシブルマンだ!」


「うっす!」


「そこ! 諦めるな! 諦めるなよ! どうしてそこで諦めるんだ。ダメダメダメ。君なら必ず出来るから」


はっきり言うならかなりウザイしうるさい。お近づきになりたくない人種達のように思える。


オレは小さく溜息をついた。


「完成させてくれる職人達にはありがたいと思うけど、あれはないわ」


「うん。オレもねえな」


オレと時雨の意見が合致する。予定より早く完成することを考えると本当にありがたいけど、熱すぎる。


オレは軽く肩をすくめた。


「まあ、完成させた暁には『GF』の新たな顔になるんだよな」


「そういうこと。圧倒的な戦闘能力を誇る第76移動隊がどんな離れた距離でもあっという間に来るからな。まあ、最近は暇だから出番はなかなかないと思うけど」


「その方がありがたいよ」


むしろ、頻繁にあったらかなり嫌だ。


「『GF』という抑止力。その力を最大限に発揮出来る航空空母。お前の考えは時にオレ達の斜め上を行く」


「まあ、そのために考え出したからな。どこまで上手く行くかはわからないけど、上手く行くことを祈っているさ」



移動隊の足は航空空母でした。ちなみに、第一章で活躍する機会はありません。アメリカ編はこの話について書きたかったからです。アメリカ編は次で終わります。

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