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新たな未来を求めて  作者: イーヴァルディ
第一章 狭間の鬼
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第二百九話 エクスカリバー

エクスカリバーVSアストラルソティス戦のラストです。

ルーイは自らの失態を理解していた。


悠人の前でアストラルソティスの特殊能力をしようし移動したことでアストラルソティスが何らかの力で移動出来ると理解出来たはずだ。


岩影に隠れながらアストラルソティスの状態を確認する。


両翼のサブブースターとスラスターの大半は破壊された。メインブースターは生き残っているが、このアストラルソティスで小回りは効かない。


「まさか、あんな武装があるとはな」


放たれたのはエネルギー弾ではなく実弾。コストがバカみたいにかかる兵器だ。効果対費用で考えても普通は装備しない。


しかも、エクスカリバーに装着されていた追加ブースターの影に隠れ正面から見えなくなっていた。つまり、エクスカリバー専用兵器だと思っていいだろう。


「旋回式の実弾砲か。下手に当たれば一撃で落ちる。今は」


アストラルソティスのレーダーでエクスカリバーの位置を確認する。エクスカリバーは高速でアストラルソティスを探すために移動していた。


向こうが何の武装を使うかわからない。だが、こうなった以上、アストラルソティス専用装備を使うだけだ。


この世界で開発されたバスターライフル。それを音界の技術で発展させた悠遠の力を持つアストラルソティス専用のライフル。


「フレキシブルカノン。使うぞ」






大空を舞うエクスカリバーの中で悠人は周囲を見渡しながらレーダーを確認する。アストラルソティスにはステルス装甲でも用いられているかのようにレーダーには映らない。


悠人は小さく溜息をついた。


「アストラルソティスの位置さえわかれば後は一撃なんだけどな」


アストラルソティスの両翼は破壊した。スラスターやサブブースターによって小回りを可能とする両翼を破壊した以上、超高速の一撃はアストラルソティスには避けられないはずだ。


ただし、アストラルソティスの場所がわかっているなら。


ペダルを操作しながら精神感応によってカスタムブースターの旋回式ブースターを上手く稼働させて無駄なく移動する。


悠人は目を瞑りながら小さく息を吐いた瞬間、見開くように目を開けて出力を上げた。


エクスカリバーが旋回式ブースターの影響で90°回転する。その瞬間、ちょうどエクスカリバーを上下に挟み込むようにエネルギー弾が通り過ぎた。大空と地面から。


「今のは」


通り過ぎたはずのエネルギー弾がエクスカリバーを狙って曲がる。だが、その曲がり方はかなり荒く、軌道を変えるだけで当たらない。


エネルギー弾の大きさは通常のエネルギー弾より大きい。もしかして、


「理論上可能な曲線射撃フレキシブルショット? 出力的に考えてバスターライフル以上のものかな」


曲がるエネルギー弾ははっきり言って厄介だ。例え、悠人の勘が当たりやすいとしても避けるのはかなり難しくなる。


「面白いね」


悠人の顔に笑みが浮かんだ。そして、飛んでくるエネルギー弾をことごとく回避する。


その全てが曲線を描くエネルギー弾だった。軌道が全く予測出来ない。だが、エクスカリバーの体にはかすりもしない。


旋回式ブースターがくるくる回りながら火を噴きつつエクスカリバーの機体を面白いように動かしていく。それはAIですら予測不可能なまでに複雑な軌道だった。


だが、悠人の勘が告げる。このまま進めば撃ち落とされると。そして、視界の隅でアストラルソティスを発見した。


その手にあるのはバスターライフルのようなもの。あれが曲線射撃フレキシブルショットを可能にしたライフル。フレキシブルカノンだ。


チラリと計器を見ると、一番端にちょこんとついている、これまた小さなランプが赤く光っていた。それを見た悠人が頷く。


悠人はすかさずカスタムブースターをパージし収納する。そして、精神感応の力でエクスカリバーにとあるコマンドを送った。


エクスカリバーが動く。それと同時にフレキシブルカノンから放たれた幾つもの曲線射撃フレキシブルショットがエクスカリバーを狙って迫り来る。


悠遠の力で周囲に張り巡らされた歪曲空間から普通に進んだだけでは避けることは出来ない場所に。


その瞬間、エクスカリバーの翼に変化があった。翼が後ろに収納されたのだ。まるで、徳利のような形になっている。それがありえない軌道を描いた。


まるで、紙飛行機がそよ風によって進路を変えたように、強烈に吹いた突風がエクスカリバーの体を翻弄している。減速しながらその場で縦に回転する。それは本来ありえない機動。下手をすれば空中分解しかねない動きだった。


だが、その動きが全ての曲線射撃フレキシブルショットを回避する。翼が展開されエクスカリバーは態勢を立て直した。


「見せよう。僕と、エクスカリバーの本当の剣を」


出力を最大まで上げる。






その光景をメリルは見つめていた。ありえない軌道を描き、アストラルソティスの奥の手であったフレキシブルカノンを完全に避けきった。かすっていれば支障をきたす攻撃をエクスカリバーは避けきった。


おそらく、音界ではこのような軌道を描けるパイロットはいないだろう。


「嘘ではなかったみたいですね」


メリルは最初第三世代で第七世代の性能を出せる悠人を認めなかった。それから発展したこの戦いだが、それを見ている限り認めざるをえない。


エクスカリバーとアストラルソティスのスペック差は微々たるものだ。最高速度はエクスカリバーが遥かに上回っているが、出力、攻撃力はアストラルソティスが上。総合的ならアストラルソティスが上のはずだった。


しかし、悠人は様々なオプション武装でその差を追い越して圧倒的な差を作り出している。


機体を完全に熟知しなければ出来ないはずだ。


エクスカリバーがアストラルソティスの方向を向く。アストラルソティスはフレキシブルカノンを構えた。


次で勝負が決まる。


そう思った瞬間、エクスカリバーが新たな装備に包まれた。いや、装備というにはあまりにも大きすぎる。まるで、装甲だ。


メリルの目に映っているのはまるで四角錘になったエクスカリバー。対するアストラルソティスはフレキシブルカノンを構えてエネルギーを溜めている。


そして、エクスカリバーが加速した。その加速は今まで以上に速い。対するアストラルソティスはフレキシブルカノンの引き金を引いた。放たれたのは極太のエネルギー弾。


両者がぶつかり合う。


「メリルちゃん」


メリルの隣にいた音姫が真剣な表情で言う。


「研ぎ澄まされた刃に断ち切れぬものはないよ」


エクスカリバーが駆け抜けた。フレキシブルカノンとアストラルソティスの右腕と頭を破壊する。装甲をパージしながら人型に変形しつつカスタムブースターに切り替えて逆噴射をかけている。


アストラルソティスが振り返る。残ったセンサーだけでも攻撃しようとしている。左手に握られたエネルギーサーベルを引き抜きながらエクスカリバーに飛びかかる。


エクスカリバーはカスタムブースターの旋回式ブースターで姿勢を制御しながら対艦刀を取り出し、着地した足で地面を蹴った。


対艦刀とエネルギーサーベルがぶつかり合い、対艦刀が砕け散る。


アストラルソティスはすかさず振り切ったエネルギーサーベルを振り下ろす。狙いはエクスカリバーの頭。だが、エネルギーサーベルは空を斬り、変わりに戦闘機形態に変形したエクスカリバーがアストラルソティスに突撃していた。


アストラルソティスが跳ね飛ばされて崖に激突する。そして、その手からエネルギーサーベルが落ちた。


エクスカリバーはすぐさま人型に戻り、対艦剣でアストラルソティスの右腕を破壊した。


メリルが小さく息を吐く。


この瞬間、エクスカリバーVSアストラルソティスの戦いはエクスカリバーの勝利で終わった。


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