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新たな未来を求めて  作者: イーヴァルディ
第一章 狭間の鬼
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第二百七話 悠遠の翼

ルーイが使う特殊能力の解説が入ります。ゲイルナイト戦で使った能力です。

ルーイは小さく息を吐きレバーを操作してアストラルソティスの手に握られているエネルギーライフルを下ろした。ルーイが見つめているのはエネルギー弾が破壊した岩肌。


完全に隙をついたアストラルソティスの攻撃はエクスカリバーが戦闘機形態に変形したことで完全に回避されていた。あの反応速度は予想以上だ。


「まさか、今のも避けられるとは」


絶対に当たると思っていた攻撃が避けられたのはさっきのを含め二回目。今回は死角からの攻撃ではなかったため、偶然避けられたで済ますことはできたが、一回目はありえない。完全に死角をついたこちらの攻撃は完全に避けられた。


エクスカリバーのレスポンスもさることながら、パイロットの技量が桁違いに高いのも理由だろう。だが、それでも納得することが出来ない。


相手の支援AIが極めて優秀なのか、死角が存在しないのかのどちらかだ。


できれば前者であってほしいとルーイは思っている。


「レスポンスは向こうが上。攻撃力も、速度もか。これが、人界のフュリアス」


ほんの最近まで第三世代のダークエルフが最強の座に位置していたとは思えない。もっとも、悠人の乗るダークエルフなら特殊能力を使わないアストラルブレイズでは刃が立たない可能性だってある。


ルーイはエクスカリバーの位置を見る。大空を飛翔しながらこちらをうかがっているエクスカリバー。その姿は鳥のように美しい。


ルーイはアストラルソティスが握っている両手のエネルギーライフルを構えた。


「行くぞ、悠人」






「周さん、今のは?」


鈴がイグジストアストラルに取り付けられているモニターを見ながら近くのマテリアルライザーに乗る周に尋ねた。周もこの光景を見ているはずだ。


『多方向からの同時攻撃。しかも、丁寧に死角からの攻撃もある。まあ、避けているのが奇跡の様な状況だな』


確かに奇跡と言っても差し支えがないほど極めてレベルの高い移動だった。はっきり言って、マテリアルライザーを使う周の回避力に匹敵するかもしれない。


イグジストアストラルなら自慢の防御力でどうにかなるが、エクスカリバーではそうはいかない。


「リフレクトショット? それとも」


『多方向同時攻撃。俗に言うAAですね』


複数地域からの一点への同時攻撃。テロ組織の拠点を攻撃する時に使われる手法だ。ほとんど囲んだ状態から使うため、標的はまず逃げることが出来ない。


アストラルソティスはそれをたった一体で成し遂げている。


『AA自体が使えないってわけじゃないけど、一人で仕様と思ったらよほどの集中力を必要とするからな。実戦じゃおススメしないけど、この攻撃は見事というしかないな』


エクスカリバーを簡単に翻弄するエネルギー弾の嵐。確かに、それだけは見事としか言いようがない。だが、それに玩ばれているのは鈴の想い人なのだ。


「勝ち目はないんですか?」


『ある。エリシア、解析は?』


『終わりました。これは確かにAAですが、歪曲空間を使ったやり方ですね』


『やはり、都と同じか』


二人の言葉に鈴は首を捻った。歪曲空間ということは曲がる空間のことだろうが、エネルギー弾が曲がった形跡はない。モニターにも映っていない。まるで、見えないエネルギーライフルによって撃たれているかのように。


『放たれたエネルギー弾が歪曲空間を通って別の歪曲空間から出る。それが多方向同時攻撃の真実か。所見でほとんど避ける悠人の実力はけた違いだな』


鈴にはあまり理解できなかったが、悠人が凄いということだけは理解できた。


『この能力は悠遠の力ですね』


『悠遠?』


『はい。最強のフュリアスの機能の一つです。アストラルソティスの中身がわかりましたよ』


鈴のモニターに何かの設計図が現れる。よく見てみると、それはアストラルソティスの設計図だ。


その背中にある一本の棒のようなもの。


『真ん中の棒状のものがエネルギー機関。通称『悠遠の翼』です。理論上は無尽蔵のエネルギーを生み出す機能で、特殊能力を有しています』


「そんなものがあるんですか?」


『はい。この中でも悠遠は歪曲空間を作り出し、攻撃を無力化したり、対象を閉じ込めたり、歪曲空間の出口を自由に設定できたりとかなり強力な機能です。この映像を見てください』


マテリアルライザーから送られてきた映像。それは、ゲイルナイトとの戦いの映像だった。


『蒼い閃光の後にバスターマグナムが破壊されています。これは、バスターマグナムの攻撃を歪曲空間を使いAEFの内側に展開したからです』


『つまり、その力があればどんな攻撃も簡単に返すことが出来て、あらゆる方向から攻撃が可能というわけか。チートだな』


『チートなのは悠人の方です』


鈴がエクスカリバーの動きをみる。だんだんエクスカリバーの動きが正確にはっきりとなってきていた。確実にアストラルソティスの隙を狙っている。


『多分、近接格闘戦を狙っています』


『そういうことか。いい作戦だ』


「何がですか?」


二人で納得しているが、鈴には全く分からない。すると、エクスカリバーの向きが変わった。アストラルソティスの方向へ機首を向けている。


『悠人は狙っているんだよ。理論上、アストラルソティスを一撃で倒し、イグジストアストラルですらタダで済まない攻撃をな』


その言葉に鈴は鳥肌が立ったのを感じた。もし、周のその言葉に誇張した表現があったならここまではならなかっただろう。実際に、鈴はエクスカリバーと模擬戦をしている。それをしているからこそわかる。そんな攻撃はないと。


だが、本能がそれはないと叫んでいた。周の言葉にウソはないと本能が確信している。


『エクスカリバーに聖剣の名前が付けられた理由。それをルーイが知った時、悠遠の翼は白銀の翼によって打ち砕かれる運命になるだろうな』


アストラルソティスもかなり凶悪な性能も持ちますが、エクスカリバーはさらにその上を行きます。

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