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新たな未来を求めて  作者: イーヴァルディ
第一章 狭間の鬼
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第二百三話 聖剣の名を冠するもの

GFF-3エクスカリバー


戦闘機と呼ばれるフォルムを身にまとい、白銀の機体は目の前に存在していた。


尖った機首にまるで鳥のような翼。鳥を真似たと言われる旅客機をさらに小さくしたものがそこにある。


「これがエクスカリバー」


僕の口から言葉が漏れる。


アストラルソティスに対抗するこちらの世界の最高傑作。あまりのスペックの高さに乗り手を選ぶ機体。


後、三日以内に乗りこなさないといけない。


「ソードウルフと同じ変形機構持ちだよね? という、この大きさで動けるのかな?」


リリーナが不思議そうに技術者達と一緒に最終調整に走っている周さんに尋ねた。周さんは頷く。


「絶えず出力エンジンを起動させないとこの形態じゃ飛べない。でも、最高速度ならエクスカリバーの右にでる機体はない」


そう言いながら周さんがエクスカリバーを撫でる。確か、エクスカリバーは周さんが一から作り出した機体のはずだ。


フォルムからエンジン機構まで。中学生が出来るようなものじゃない。周さんは本当に天才だ。


武器に関しては複座式のコクピットの後部座席に集積デバイスを積み込んでいて、そのデバイスの力で武器を取り出す。希望的には戦闘機形態での追加装備か人型での装備からしい。


ほとんどがどちらか一方しか使えないけど、一部のブースターと装備がどちらも使えるらしい。これは重要なので頭に叩き込んでいる。


ニトロブースターとカスタムブースター。そして、旋回式電磁砲。


今は何もつけていないけど、この機体を操る以上、その三つは三日以内に使いこなさないと。


「これからやることがはっきりしているみたいだな」


いつの間にか周さんがそばにいた。技術者達もエクスカリバーから離れている。


「対戦相手にイグジストアストラルを準備している。エクスカリバーを存分に操れ」


「はい!」


僕はエクスカリバーに向かって駆け出した。精一杯の身体強化を使って飛び上がりコクピットに乗り込んだ。


コクピットはソードウルフと同じ形式で、右のレバーが出力の調整と変形の起動。左のレバーはエネルギー弾の出力調整。ダークエルフとはここまで一緒だ。


でも、足下にあるペダル。それを踏み込む力によってブースターの射出方向の設定。人型なら足の力の動きになる。


スラスターに関しては新しく設定してもらった精神感応システムを使う。そのため、今身につけているのはパワードスーツだけど、戦闘に使えるものじゃない。


アル・アジフさんはパイロットスーツと言っていたけど。


レバーのグリップをしっかり握りしめる。エクスカリバーを収納する隔壁が開くのをコクピットの中がら見えた。


レバーの出力を上げてスラスターを使い車輪を動かして機首を外に向ける。さらに出力を上げて格納庫の中から外に向かってエクスカリバーを動かしていく。


リリーナは外にあるソードウルフに向かって走っていく。それを見ながら僕はエクスカリバーをゆっくり格納庫から出した。


格納庫内部で絶対ブースターを使うなと言われているのですぐに発進することは出来ない。


外は雲一つない晴天。その晴天の下で灼熱の砂漠が陽炎を作り出している。


『悠人、リラックスリラックス』


リリーナの通信に僕は笑みを浮かべた。どうやらリリーナにも鈴にも隠しごとは出来ないみたいだ。


緊張しているのがバレている。


「大丈夫だよ。僕もエクスカリバーも最高のコンディションだから」


周さん達が必死に作り上げた機体。僕用にスペックすら作り出された僕専用機。そんな機体と相性が悪いはずがない。


僕は出力を最大限まで引き上げた。ブースターが起動しエクスカリバーが加速する。ある程度加速したところで車輪を収納しエクスカリバーを大空に向かって飛翔させる。


大空を舞うエクスカリバー。大空を鳥のように飛翔するのは本当に心地よいものだった。加速中の圧力さえ除けば。


パイロットスーツや集積デバイスの力でかなり抑えられているけど、それでもかなりキツい時がある。


それでも、僕はエクスカリバーを駆る。加速減速急加速急減速ローリングなど、ダークエルフの時に空中で使う技法。エクスカリバーはそれを滑らかに使える。


レバーが動かすままに、ペダルを踏み込むままにエクスカリバーが滑らかに動く。まるで、僕が鳥になったかのように動けた。


「すごい。これ、本当にすごいよ!」


僕は興奮していた。ダークエルフとは違う機動性。イグジストアストラルとは違うレスポンス。ソードウルフとは違う加速。その全てが僕にしっくりくる能力だった。


「周さん! これ、本当にすごいね」


僕は周さんとの通信を広げて興奮しながら感想を言った。


『悠人、大丈夫か? クルクル回転しているって、宙返りも出来るんだ』


エクスカリバーを駆ることが、空を飛ぶことがこんなに楽しいとは思わなかった。


すると、僕の視界の中に蒼鉛の機体と青い機体。イグジストアストラルとアストラルソティスだ。


僕は出力を下げながらレバーを立てた。エクスカリバーが変形し人型に変形する。この時にコクピット内部はシートが倒れほとんど立っているように形が変わった。確かに人型の状態じゃこっちの方がやりやすいけど。


『それがエクスカリバーか。僕達が想像していたよりも遥かに高性能だな』


ルーイが苦笑しながら言うのを聞きつつ、僕はエクスカリバーを地面に着地させた。もちろん、イグジストアストラルとアストラルソティスの近くだ。


『悠人、すごいね。あんな動き私じゃ出来ないよ』


「多分、エクスカリバーしか出来ないと思う」


他の機体も出来たらそれはそれで問題だと思う。というか、エクスカリバーのみであって欲しい。


『あの動きなら当てるのが大変だな。だが、いいのか? 僕がここにいて』


僕はその言葉に頷いていた。


「僕がアストラルソティスの動きを見ているのに、ルーイがエクスカリバーを見ないのは卑怯だよ。それに、今日は追加装備を使わないから」


エクスカリバーの本領は追加装備にあると僕は思っている。追加装備の攻撃オプションに関してはダークエルフと大差はない。旋回式電磁砲があるくらい。だけど、機動オプションに関してはダークエルフより幅が広い。


幅が広い分、使い分けれるか心配だけど。


『奥の手は隠す、か。アストラルソティスの方も隠しているから何とも言えないか。今日はエクスカリバーの通常機動を見させてもらう。四日後が楽しみだ』


「僕もだよ」


音界最強のフュリアスであるアストラルソティス。それと僕のエクスカリバーが本気で戦う。僕はそれが楽しみで仕方ない。


「負けないから」


『こっちもだ』


エクスカリバーとアストラルソティスの拳がぶつかり合った。

後二話くらいすればエクスカリバーVSアストラルソティスです

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