第百八十四話 帰還
短めですかこれで後半前編は終わりです。
オレ達が戦った中東での大規模なフュリアスとの戦い。そして、狭間市で起きた狭間の鬼を巡る戦い。
狭間の鬼のことを知らされたのはオレ達が中東大震災の救助活動に勤しんでいた時だったため、目眩がして倒れかけたりもした。
それらの戦いは今では『狭間戦役』と呼ばれ、規模の割りには死者がいなかった狭間市の長い一日を含めた1ヶ月間となっていた。
その中心で活動していたのが第76移動隊で、未曽有の戦いを二回(狭間市の長い一日と中東での戦い)も体験したことで第76移動隊は正式に正規部隊に格上げされた。
時雨から聞いた話では、8月にする予定があまりに早くなりすぎたららしい。一応、初期からある正規部隊を除けば史上最速かつ平均年齢が史上最低を獲得させていた。
まあ、そんな記録はどうだっていい。オレの考える未来へ進むためなら。
「お兄ちゃん、大丈夫?」
微かに息の切れてきたオレに心配そうに由姫が声をかける。由姫は自分とオレの分の荷物を持っているが平気そうだ。まあ、八陣八叉だし。
「まあな。さすがにいつもと違うのは辛いな」
自分で体中の疲労を感じつつ困惑気味に答える。まさか、ここまでオレの体が脆いものだとは思わなかった。
オレの言葉を聞いていた音姉がクスッと笑う。
「弟くんも人の子なんだよ」
「そうなんだけどさ」
やはり、まだまだ体は子供だ。というか、医者からそう言われた。
いつもならそろそろ駐在所がはっきりと見えてくるだろうが、今の状態では朧気にしか見えない。
亜紗達はもう駐在所でくつろいでいるだろうな。
今、オレの近くにいるのは由姫と音姉の二人だけだ。二人共、まだまだ体力が余っているらしく、オレと同じ速度で歩いている。
デュアルオーバードライブを使ったオレの体には様々な副作用が表れていた。
そもそも、成熟しきっていない体でのデュアルオーバードライブはオレの体の魔力のバイパスをことごとく破壊したらしい。
まあ、バイパスならいくらでも繋げれるけど。
最大の問題が核晶だ。核晶へのダメージは極めて高かった。おかげで医者から2ヶ月はあらゆる魔術の使用禁止を食らってしまった。
まだまだ体は子供なんだから、今は無理せず休むこと。
それが医者に言われた言葉だ。心はいくら大人でも体は子供のままだしな。
「そう言えば、悠聖さんの言っていた客人って誰なのかな?」
悠聖と直接連絡を取り合った時、悠聖はオレに客人がいると言っていた。その客人に鬼との戦いで助けてもらったらしい。
全く誰かわからないけど、可能性として一番高いのは刹那だろうな。
「さあ? オレもよく知らない。まあ、帰ってくるまでいるって言っているからもうすぐ会えるだろう」
それにしても、魔術強化無しの歩きって遅いし疲れるな。
「お姉ちゃんは何か聞いていない?」
「私は聞いていないよ。孝治君達は聞いているみたいだったけど」
つまりオレ達だけが除け者か。まあ、いいけど。
そのままオレ達はたわいもない世間話をしていた。
政治のことや経済のこと。そして、将来どう世界が推移していくか。
そんなたわいもない話を。
そして、ようやく駐在所につく。そして、オレは声を上げながら中に入った。
「ただいま」
後編の話は基本的に、
・体育祭
・ルーチェ・ディエバイト
・狭間の鬼(戦闘は無し)
で行こうと思っています。学校での話が多くなる代わりにルーチェ・ディエバイトに出る由姫の出番は少なくなる予定です。
ルーチェ・ディエバイトには名前だけ出してきた二人ほどを由姫と戦わせる予定。
狭間の鬼に関してはとことん続けます。後編の最後に周が知るもの。それが第二章以降に続く予定ですので。
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