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新たな未来を求めて  作者: イーヴァルディ
第一章 狭間の鬼
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第百八十二話 狙い撃つ

タイトル通り浩平のターンです

悠聖の体が地面に叩きつけられる。もちろん、自分の放った収束砲の爆風に巻き込まれたからだ。地面に叩きつけられると同時にアルネウラと優月も分離する。


浩平と冬華が慌てて駆け寄る。


「無事、だよな」


「ええ。全員気絶しているみたいね」


冬華の言葉に遅れて駆け寄ってきた全員が安心したように息を吐いた。


傍目から見ていた最後の砲撃は桁違いの威力を誇っていた。何故なら、爆風が巻き起こった場所には巨大なクレーターが出来上がり、周囲の木々は爆風によって薙ぎ払われているのだから。


至近距離で放ったため、途中で技がキャンセルされてすらこの威力。もし、最後まで放っていたならどうなっていたかわからない。


「なんつうか、オレ達ってここに来てからかなりパワーアップしているよな」


浩平の言葉に隣にいたリースが不思議そうに首を傾げた。多分、この中では浩平以外意味がわからなかったのだろう。


「あ、いや、体力って面もそうだけどさ。俺や悠聖は様々な出会いから本当に強くなっていると思うんだ。自惚れとかじゃなくて。由姫ちゃんだって強くなった。ここに来てから、狭間の鬼と関わってから大きく変わったなって」


「確かに」


リースが頷く。


リースもここに来て変わった。浩平と出会い、周から弱点を知り、そして、浩平と共に歩くことを誓った。もしかしたら、一番影響を受けたものかもしれない。


「私達も、かな」


「うん。周お兄ちゃんが全力で私達を止めようとした」


「そうね。あんな奴でも頼りになるときがあるのよ」


エレノアやベリエ、アリエの三人もそうだ。最初は貴族派として狭間の鬼の力を利用しようとした。でも、周達に止められ、今ではエレノアは『炎帝』の役から下りている。


「そうなると、私も否定できないか。悠聖や七葉と久しぶりに出会えたし。まあ、悠聖がアルネウラと付き合ったのは誤算だけど」


冬華もここに来てからいろいろあった。『ES』では出来なかったことがたくさんある。例えば、大好きな人と一緒にいることなど。


「ふふっ。全ては周様のおかげですね」


都が嬉しそうに笑った。


都もみんなと同じだ。周達が来て、周を知り、そして、周に受け入れてもらった。大切なものを失っても、それ以上に大切なものが出来た。


刹那一人仲間はずれなのだが、刹那は空気を読んで隅の方で精霊達を会話をしている。邪魔をするつもりはないのだろう。


「周は不思議な奴だよな。どうして、ここまでみんなを集めるのかわからないくらいだ」


浩平の言葉に誰もが思っている疑問があった。


全ては周がいたから始まった。周がいたから第76移動隊が結成され、正規部隊所属の五人もそこに加わった。由姫が周に認められ、孝治は浩平を呼び、七葉が悠聖についてくる。


ここではアル・アジフ達『ES』の穏健派と仲良くしていた。それも全て周がいたから。


「周お兄ちゃんの一番の才能は人を集めることかな?」


アリエの言葉に全員がそちらを振り向いた。アリエはきょろきょろとしてから顔を真っ赤に染める。


「まあ、アリエの言う通りかもね。あいつ、無駄に人との出会いだけはすごいから」


「ベリエは相変わらずツンデレなんだから」


エレノアの言葉と共に空気が静まりかえった。そして、凄まじい速度で顔を赤くしつつ、エレノアに詰め寄る。


「お、おおお、お姉様? 一体何を」


「あれ? 違った?」


「違います。絶対に違います。違いますからね!」


強く否定するベリエの前に誰もが声をあげて笑う。それにベリエの顔がさらに赤くなった。


その時、浩平の視界に何かが映った。浩平はそっての方を振り向く。


「どうかしました?」


それに気付いた都が浩平に尋ねた。


「いや、何だろう。今、何か光ったような」


浩平が周囲を見渡す。確かに、浩平の視界の隅で何かが光ったのだが、それが何か分からない。でも、都は何かを見つけたように杖を構えた。


「来ます」


都のその言葉にその場にいた誰もが動きを止める。そして、膨大なエネルギーが飛び込んできた。


「なっ」


浩平がフレヴァングを、リースが魔法書を構えようとするが間に合わない。間に合ったのは都ただ一人。


「連綿と続く章を断て!」


その言葉と共に膨大なエネルギーぬ向けて杖を叩きつけた。すると、一瞬にしてエネルギーが全て消え去る。


だが、その場にいた全員のショックは隠せないものだった。そもそも、いったいどこから来た攻撃かわからなかったからだ。


浩平がフレヴァングを構える。


「一体どこから」


「わかりません」


都が杖を構えつつ周囲を見渡す。だが、周囲には何も見えない。超人的な視力を持つ浩平だすら見つけることが出来ない。隠れているのか。それとも、


「今の攻撃は戦艦に搭載されているバスターマグナムだよな。そんな砲撃を一体どこから」


浩平は静かに考えだす。自分の知る兵器の使い方を思い出しながら。


「エネルギーを充填できるポイントが少ないはずだぞ。イグジストアストラルが格納されていた場所はただの空間だったし」


つまり、どこかにエネルギーをバスターマグナムにつぎ込む場所があるはずだ。つまり、自ずと場所は限られてくる。


浩平はフレヴァングを構えた。


「フレヴァング、リフレッシュ」


その言葉と共にフレヴァングの機能をつかさどるコアに魔力の弾丸が叩き込まれた。それだけでフレヴァングの形が変わる。通常のライフルから貫通能力を極限まで上げたものである対物ライフルのようなものへ。


浩平が膝立ちになりフレヴァングを構える。そして、目的のものがありそうな場所に向かって銃口を向けた。


もし、またバスターマグナムが撃たれたなら、浩平はその場所を知ることが出来るように。


そして、浩平が予測していた場所から膨大なエネルギーが放たれた。都が動く。


「連綿と続く章を断て!」


放たれたエネルギー弾を都が打ち消した瞬間、浩平の視界に目的のものが見えた。


バスターマグナムの発射台の姿。カモフラージュしていたようだが、バスターマグナムが放たれた瞬間に膨大なエネルギーを使うためカモフラージュに割くエネルギーが足りないと思っていたら案の定だった。


だが、問題点として距離が余りに離れすぎている。大体7、8kmと言ったところか。


この世界のライフルが狙える平均距離は大体2kmほど。対物ライフルとなると4km。ただし、専用の弾丸などを使用しての話だ。


今回はそれよりも長い距離。浩平は息を整える。そして、引き金に指をかけた。


「狙い撃つ。外すものか」


そして、フレヴァングからエネルギー弾が放たれた。エネルギー弾は浩平の思い描いた軌道を外すことなく向かい、バスターマグナムがある場所に突き刺さる。


一拍遅れての爆発。


それを見た浩平は小さく息を吐いた。


「これで、終わりだな」


戦闘はこれで終わり、後は事後処理だけとなりました。ですが、まだ後半の前編は終わっていませんよ。終わるのは周達が狭間市に戻ってきてからです。

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