第百五十九話 空戦
初めて文章とストーリーの評価を頂きました。ありがとうございます。
ノリと勢いで書き進めているので意外と高得点だと感じています。
気が向きましたら感想や評価をお願いします。
航空空母から砲撃が放たれる。向かってくるエネルギー弾を僕と鈴はお互いにダークエルフFBDモードとイグジストアストラルを駆って避けた。
FBDシステム作動中のダークエルフは空中でもかなりの機動力を確保できる。本来、エネルギー弾の防御に回す装甲のエネルギーを回さなくなるため、機動力に全エネルギーを傾けれるからだ。ただ、かすっただけでも落ちる可能性が高くなっているが。
「厄介、だよ」
僕は攻撃を避けながら取り出したエネルギーライフルで一つ一つの砲を破壊していく。周さんが航空空母に中に入っているからバスターカノンのような高威力の射撃が可能なあれを使用できない。
『悠人、私に任せて』
イグジストアストラルが全砲門を航空空母に向ける。そして、砲門から火が噴いた。
こちら側に向けられている砲門があっという間につぶれていく。多重ロックシステムがあるみたいだね。あれって便利だけどエネルギーをかなり食うからダークエルフには搭載できないんだよね。ただでさえ、第二世代よりも最大エネルギーキャパシティが低いのに。
『きりがないね』
鈴が呟いているのは航空空母から現れる黄土色のフュリアス達だ。一体何機いるのか不思議になるくらい出てくる。術式による規模拡張を行っていたとしても、考えられないくらい多い。
『呑気に話しているとは余裕だな』
呆れたようなルーイの声と共にアストラルブレイズが僕達の近くまで上がってくる。そして、肩のレールガンがちょうど発信した黄土色のフュリアスを貫いた。
僕は跳んできたエネルギー弾を避ける。
「余裕じゃないよ。今のダークエルフは一撃もかすれないから。回避を優先しないと」
『装甲が薄い超機動力型か。音界では考えられない設定だな。重火力か万能か』
イグジストアストラルの砲が向かってくるフュリアスを片っ端から撃ち落とす。
『悠人と青いフュリアスの人に聞いていいかな?』
攻撃が止んだすきに僕は新たな武器を取り出す。ダークエルフが所有する武器の中で最大の大きさの砲門を持つ高出力砲。ただし、完全な使い捨て。それの引き金を引いた。
膨大なエネルギー弾が飛び出す。全て散弾という形で。
距離を詰めてきていたフュリアスはもちろん、とっさに盾を構えたフュリアスも散弾の雨に沈んでいく。
『どうしてそんなに喋りながら戦闘できるの?』
鈴の乗るイグジストアストラルにエネルギー弾が直撃するが、エネルギー弾は周囲に散るだけだ。だから、イグジストアストラルはまるで砲塔のようにほとんど動いていない。時々動いているけど。
対する僕のダークエルフやアストラルブレイズは絶え間なく動きながら攻撃を行っていた。僕のダークエルフの場合はCCSについている追加エネルギーパックがなければ今頃落ちているだろうけど。
「戦場だとこれが基本だよ。立ち止まっていたらただの的だからね」
『第七世代といえども、エネルギー弾を食らえば撃墜するときだってある。避けるのは当たり前だ。僕も新人の頃はそれを叩き込まれた』
『あう、世界が違いすぎるよー』
まあ、そうだろうね。僕の場合はパワードスーツを身に付けた時の戦闘を元にしているから。ルーイの場合は本気でフュリアスの訓練しているし。
でも、出来る限り早く敵のフュリアスを倒さないと。
『悠人、行けるか?』
ルーイも同じ考えみたいだ。僕と同じように早く倒そうとしている。
「いつでも」
『行くぞ』
僕はダークエルフを一気に加速させた。そして、加速したアストラルブレイズと共に空を駆け抜ける。
フュリアスを使った高速飛翔戦闘なんてまずしない。エネルギーをかなり消費するからだ。でも、今は追加パックもつけているからやれるはず。
黄土色のフュリアスが僕達に狙いを付ける。このままでは制空権を完全にとられると思ったのだろう。でも、イグジストアストラルや地上にいるソードウルフ、そして、孝治さんに楓さんの射撃が確実に黄土色のフュリアスを削っていく。そして、僕達二人の行動も。
ほとんどアクロバットな行動で凄まじい機動と回避を行い攻撃を避ける。斬りかかってくるフュリアスに対してはルーイが攻撃を受け流した後、僕がエネルギー弾を中心に直撃させて落とす。
エネルギーライフルで攻撃してきた場合は僕が前に躍り出て牽制のエネルギー弾を放ちながら、アストラルブレイズが肩のレールガンで撃ち抜く。前衛と後衛の役割を交互にしながら敵に隙を見せない。なおかつ、敵のフュリアスを片っ端から撃ち落としていく。相手からすれば恐怖しかないだろう。それくらいに僕達の動きは神がかっていた。
僕はちらっとセンサーを見る。残るフュリアスは大体100程度。このまま数分戦い続ければ勝てる勝負だ。でも、その数分を戦えばあの人と戦うエネルギーがほとんどなくなる。どうするべきか。
『悠人くん! 青いフュリアスの人!』
すると、楓さんからの通信が入った。それと同時にセンサーに一直線の赤いラインが引かれる。ほとんどの赤いフュリアスをそこに捉えたラインが。
『収束砲で撃ち抜くkら退避して!』
『収束砲!? そんなことが可能なのか?』
「ルーイ、今は下がって!」
僕は聞いたことがある。『ES』の過激派に存在するとある砲撃手の話を。
過激派代表のアリエル・ロワソから砲撃の基礎を学び、周さんと同い年でありながら過激派で最強と言われる称号をもらった少女がいることを。
カメラに映った楓さんが持っている砲撃杖が淡く白い輝きを放つ。
この世に存在する神剣の中で、唯一、本物の神剣が過去にとある宗教で崇められたことがある。その神剣の名前は『カグラ』。アル・アジフさんから決して漢字に直してはいけないと言われている。
過激派の数少ない二つ名の持ち主、リュリエル・カグラの持ち物。
白い輝きが膨れ上がった。
『スターゲイザー・バスター!』
天空属性最強魔術である『スターゲイザー』の劣化派生技。ただし、その威力はけた違いに高い。多分、航空空母を一撃で落とせるくらいに。
光の暴風が黄土色のフュリアスを呑みこんだ。盾を構えた者も等しく一瞬で蒸発させる。スターゲイザー系列は光の収束を使う魔術。ただし、光属性じゃない。原理はよくわからないけど、巻き込まれたフュリアスは跡形もなく消え去っていた。
残ったフュリアスは後四機。いや、こちらに向かってくる一機を含めて後五機。
『悠人、行け!』
レールガンから放たれたエネルギー弾が一機のフュリアスを貫く。そのそばにいたフュリアスを地上からのソードウルフによる射撃によって翼をもがれ落下した。
『お前の決着をお前でつけろ!』
「ありがとう!」
僕は向かって来るフュリアスに向かってダークエルフを駆る。
『やはり、化け物はこの手で始末しなければならないようですね』
そして、聞こえてくる声。それを聞いても僕は冷静だった。冷静に対艦剣を取り出す。
「あなただけは、僕が倒す!」
出力を最大限まで上げて僕は実の母親が乗る黄土色のフュリアスに向かって飛びかかった。
アリエル・ロワソ、クロノス・ガイア、リュリエル・カグラなど過激派の一部につく二つ名、ほとんどその場において一瞬で考えます。クロノス・ガイアは神の名前からですが。