幕間 とある会話 その2
優月の名前が決まった時の話です。今回も会話のみ。
時期は優月を保護した夜のことです。
『むむむ』
「何唸っているんだよ。アルネウラらしくないな」
『私が唸っていたらダメというわけ? どうせ、能天気な女ですよーだ』
「オレは天真爛漫だと思うけどな。なにか悩みごとがあるなら相談に乗るぜ」
『私は悠聖の悩みごとで悩んでいるだけだよ』
「ですよねー」
『悠聖が悩んでいる、あの女の子をどうするか。精霊というより人と言った方がいいかな。精霊として生活するより、悠聖と一緒に人として生活させた方がいいかもしれない』
「それには賛成だ。精霊のことはお前らに任せたらよかったけど、今は人だ。学力に問題がなければ学校にも連れて行くか。いや、あのクラスメイトが暴走するのは勘弁だな」
『そうだね。でも、それが一番だよ。今、あの子は精霊召喚符によるマスターとの絆よりも、悠聖との絆の方が強まっている。多分、今なら強引に』
「契約出来ると言いたいんだろ。お断りだ。アルネウラの考えもわかる。今でもオレのことを考えている。あの子を守ることに関してならアルネウラの意見が一番だ。オレの精霊として手元に置く。でも、オレは」
『悠人のその考えは大好きだよ。わかっているよ。だから、私は悠聖についていく。悠聖の最強の精霊として』
「お前には精霊としてついてきて欲しくないな」
『えっ?』
「お前は精霊としてじゃなくて、オレのそばにいて欲しい。何度も、助けられているからな」
『うん。ありがとう。そばにいるよ。私の大切な悠聖』
「頼む。まあ、問題は山積みのままだけど、とりあえず、この子の名前を付けないか?」
『この子の名前? うーん、何かいい名前はある?』
「そうだな」
『急に空を見上げてどうしたの?』
「優月」
『えっ?』
「名前だよ。優月ってのはどうだ? 優しい月って書いて優月」
『良い名前だね。うん、私も賛成。明日、優月が起きたら提案してみようか』
「ああ。さて、これからどうするか。真剣に考えないといけないな」
幕間はこれで終わり、次から日常が始まります。