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新たな未来を求めて  作者: イーヴァルディ
第一章 狭間の鬼
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第十一話 狭間市へ

まだ狭間市に入らないorz

次こそ舞台は狭間市になります。戦闘は薄いのを除けばほとんどありません。



「なあ、一つ聞いていいよね。むしろ聞かせて欲しいんだけど」


オレ達が狭間市に向かう道中の電車の中。その中でオレ達を前に一人の少年が話しかけてきた。


佐野浩平。


孝治が推薦した人物で腕だけは確からしい。一応、実績などを送ってもらえるよう、時雨に頼んでいるので明日か明後日くらいには連絡が来るだろう。


あまり特徴の無い人物だ。同い年の普通の顔を思い浮かべろと言われればすぐに出てくるような顔。


「電車の中では静かにしろ」


孝治が目を瞑ったまま言う。ちなみに孝治だけでなくオレや悠聖も目をほとんど瞑っている。何故なら、


「周囲の民家に迷惑だ」


「迷惑なのは電車の音じゃね? というか、俺はこいつらのことを名前しか知らないから質問したっていいよな」


まあ、確かに迷惑なのは声よりも電車の音だろう。確実に。


「浩平。今、何時か考えろ」


孝治が話してくれるから休息がとれる。どちらかというと、休息というより脳を休める時間というべきか。


「今は朝の五時でこの車両には俺達しか乗っていないからいいだろ? というか、眠いのはみんな同じだろ?」


「はあ、狙撃手スナイパーのお前と一緒にすんなって」


オレはそこでようやく発言する。その言葉に浩平は大いに驚いていた。


「知っていたのか?」


自分が狙撃手であることを浩平は一言もしゃべっていない。知っているのは孝治だけだが、孝治はむやみやたらに個人情報を漏えいするようなことはしない。だから、驚いている。


「狙撃手は独特の休息の仕方をとるからな。実際、知り合いが何人かいる。そのやり方とお前のやり方は似ていた」


独特の休憩の仕方といっても、そのほとんどが呼吸法だ。狙撃手の呼吸は一般人と比べて長い。長いと言っても大きく吸って大きく吐くというわけじゃない。吐いてから吸うまでの時間が長いということだ。言うなら常に通常の息のペースが深呼吸というわけだ。


後は、立ったまま寝ることができたりもする。どこでもどんな体勢でも休めるのが狙撃手だ。


「オレ達は普通のメンバーだから疲れているんだよ」


「だけどよ、孝治もこんな時間から任務出るのはあっただろ?」


「周と俺は準備があった」


ちなみに、オレの準備は由姫の第76移動隊への入隊を決定した旨を時雨に伝えたり、『GF』について由姫に説明したりと、正直に言うなら寝た時間はかなり短かった。それでも動ける自分を褒めてやりたい。孝治は副隊長だからいろいろ書類をやってもらったしな。


まあ、必要なことだから苦にはならなかったけど。


「なんか俺だけ不真面目って感じだよな。同い年最強の男子三人がこの場にいるからどんな奴らかなと思えば、俺と同じガキなんだな」


「幻想でも抱いていたのか? そりゃ残念。オレ達はそこまで大人になりきれんしな。ただ、同じじゃないと思うぜ」


悠聖の言葉にオレ達は頷いた。


「お前はまだ普通の人生に足をかけている状態だ。でも、オレ達は向こうの方に足を出している」


「どういうことだ?」


「オレ達が戦い始めた理由は過去にある。ただ、それだけだ」


オレがそう言うと浩平は理解したの静かに頷いてくれた。


浩平はがどういう理由で戦っているかわからないが、オレ達のように暗い過去はないはずだ。オレ達のように、あの事件で大事なものを失ったことはないはずだ。


過去に縛られ、普通の人生を歩むことを放棄したのがオレ達だから。


「でもよ、お互いを知るのは大事だと思うぜ。だから、俺の名前は佐野浩平。ポジションは狙撃手。一応戦闘ランクはBB。趣味は幼女かんさ」


オレ達は同時に通信機器にデバイスを付けた。ちなみに、所要時間は約1秒。


「冗談。冗談だってば。本気にしないでくれよ。まあ、趣味は女性観察っちゅうかそんな感じ」


「お前を誘ったことを後悔している」


孝治の悩みはわかるけど、それは本人の前で言うのはダメだと思うぞ。とりあえず、危険人物であることをメールで時雨に送っておこう。


「俺が自己紹介したんだから三人も頼むよ」


オレは小さく溜息をつきながら口を開く。


「海道周。プロフィールは秘密」


「白川悠聖。右に同じ」


「花畑孝治。右に同じ」


語りたくないというより、語る時間があるなら休む時間にあてると言うべきか。まあ、浩平は完全に呆然と口を開けているけど。完全に予想外なのだろう。普通はそうなるな。


でも、オレ達の中ではこの時この瞬間、こいつの扱いが決まったような気がする。まあ、何があっても同じ扱いになる気しかしないけど。


「そりゃねえだろ。というか、俺の扱いってこんなもの?」


「大丈夫だ。問題ない」


孝治が頷きながら答えるのをオレ達は吹きそうになりながら見ていた。普通なら問題ありだが、孝治の言うように大丈夫だろう。浩平は肩を落として座り込む。


「はあ、言う立場が違うくね?」


「まあ、貴重ならキャラだと言っておこう」


「オレからすればボケ役が卒業出来たことに感謝する」


悠聖はニヤリと笑みを浮かべた。確かに今まで悠聖はボケ役だったよな。体を張ったボケをしていた。ただ、その大半が無意識だけど。


多分、こいつのボケ役から外れるのは当分先になりそうだ。


「浩平。オレ達の第76移動隊に歓迎するよ。孝治の推薦では腕は確かのようだし」


「腕だけは確かだと言っただろう」


フッと笑みを浮かべる孝治の横で悠聖はうんうんと頷いている。確かに腕は確かみたいだ。狙撃手という肩書は普通じゃ手に入らない。よっぽど戦場を駆け抜けてきたのだろう。


オレは小さく息を吐いて窓の外を見た。だんだん明るくなってきた明けの空を背景に風景を見る。


風景の中に移るのは田んぼや畑などの田園風景に、透かし離れた場所にある集合型の都市。そろそろ狭間市の駅だ。


「みんな、降りる準備をしろよ」


「周隊長、そろそろか?」


「ああ」


オレは窓の外にある集合型の都市を指差した。


「あそこが、今回の任務場所である狭間市だ」


所要男メンバー四人の見分け方ですが、

オレが周と悠聖。俺が孝治と浩平です。前者の方が性格は固く、後者の方が緩い設定です。

ちなみに、一番固いのが孝治で、柔らかいのは浩平という具合です。


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