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新たな未来を求めて  作者: イーヴァルディ
第一章 狭間の鬼
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第九十七話 過激派の援軍

とある後書きを訂正しました。書いてたらミスっていたのに気づいたので。

新たなキャラが二人でます。ちなみに名前は既に出ていますが。

「ちょっと、多いね」


光は小さくつぶやきながらレーヴァテインをありったけコピーする。そして、群がってくる翼竜とグレムリンやらデーモン、そして、キマイラを一瞬にして吹き飛ばした。だけど、空中戦力の数はまだ20分の1はいなくなっていない。どうやら、常に召喚されているようだ。


「そうだな」


孝治が弓を構えながら言う。だけど、弓ごときでは数を減らせるわけがない。


空中戦力には音姫と亜紗の二人も苦労していた。


「亜紗ちゃん、敵の範囲わかる?」


『半径200m。効果範囲より広い』


亜紗が左手でスケッチブックを捲って答える。右手では刀を振って向かってきた槍を切り払った。


「しゃあない。レーヴァテイン全開放」


光がレーヴァテインを振り上げる。すると、光の周囲に今の光が作り出すことが出来る最大限のレーヴァテインのコピーと炎弾。そして、ストックしていた全ての魔術を準備していた。


「行って。ここはうちが食い止める」


「だが、しかし」


「孝治行って! うちは負けるつもりはない。でも、ここで行かなかったら海道の、周ちゃんの願いは叶えられへんのや!」


光は叫びながら全てを全方向に放った。凄まじい爆発と共に空中戦力の穴が出来る。特に前方。


「行けっ!」


「っつ、了解!」


黒い翼をはためかせ孝治は前方を駆け抜けた。その下を音姫と亜紗が駆け抜ける。


光はレーヴァテインを構えた。そして、過去の出来事を思い出す。


あれは、初めて孝治と出会った時、よく似たことが起きていた。絶望的な敵の数に生き残っている味方は約20人。その中で戦闘出来るのは周、孝治、光の三人だった。光はみんなを逃がすために時間を稼ぎ、そして、大怪我をした。病院で話したことのない孝治にこっぴどく怒られたことを光は思い出す。


「あの時みたいにはせえへん。うちは『地獄の攻撃者(ヘルズアタッカー)』。全てを焼き尽くす地獄の死者。ここは通さへんで」


レーヴァテインの投影。それは普通の魔術を使うよりも火力が出る上に威力も高い。だから、光はそれを使う。自分の名前の由来となった魔物の殲滅戦の時から。


「レーヴァテイン、いくで。投影発動。能力開放」


大量のレーヴァテインを並べる。


魔物達は孝治達を追わずに全てこっちに向かってきているのがうれしい。敵の数は目視で大体1500ほど。一人が相手にする量じゃない。


「でも、ここはうちがやらんなあかん。レーヴァテイン、斉射」


そして、光はレーヴァテインを一気に放った。そのまま空を一気に動く。


砲撃手としての役割は安全な場所から確実にあたる攻撃を叩きつけること。それにより、絶対的なアドバンテージを得られる。砲撃手は基本的に攻撃力が高いからだ。でも、囲まれていたならどうするか。答えは簡単だ。ひたすら動き回って砲撃を加えて行く。


光は縦横無尽に飛びまわる。完全に囲まれて逃げ道を塞がれないように砲撃と炎弾を叩き込みながら。いままでの実戦経験を生かして。


でも、すぐに限界が来る。光はレーヴァテインを構えたまま止まった。


周囲は完全に囲まれており、逃げ道はない。この場で使うことはただ一つ。


「ははっ、孝治、約束破ってごめんな。投影発動。能力開放」


今すぐに作り出せる最大の投影を作り出す。そして、レーヴァテインを構えた。


「ただで死ぬつもりはないやから」


レーヴァテインが動く。


「この場にいる戦力を出来るだけ削ぎ取るのみ」


レーヴァテインのコピーが光を中心に球体を作り出す。そして、光は涙を流した。


「さようなら」


レーヴァテインが一斉に爆発する。その爆発は周囲にいた空中戦力を半分近く呑み込んだ。


自爆。


囲まれた時にする最終手段。自分の魔力を起爆剤にすることもあるが、それをすれば跡形も残らない。だから、光は全ての投影したレーヴァテインを爆発させることにした。巨大な球状の魔術陣を利用して。


これなら中にいる光は爆風によって死ぬ。そう、死ぬはずだった。だけど、光はまだ自分の意識があることに驚く。どうしてかわからない。それに、誰かに抱きしめられているような。


「バカ。光のバカ。久しぶりに会えると思ったのに、どうしてそんなことをするのよ」


聞いたことのある声。聞いたことのある久しぶりの声。この声は確か、あの日、『赤のクリスマス』以来聞くことの無くなった声。


「楓?」


「うん。うん。私だよ。木村楓だよ」


光が目を開けると、そこには目に涙をためた少女がいた。その手にあるのは砲撃杖と呼ばれる遠距離支援型の杖だ。砲撃も可能なため光は一度使用を考えたことがある。


懐かしい顔。でも、ちゃんと年をとってあの顔が同じ年月を過ごせばこうなるだろうという面影はあった。背中の半ばまで伸びた髪が懐かしい。


「楓、このままではマズイわよ」


そして、楓の近くにはもう一人いる。氷を纏う剣を持ち、背中に氷の属性翼を生やす少女と大人よりも大きそうな大きな狼が飛んでいる。


少女は後ろからしか見えないが、その髪はポニーテールに括っている。音姫よりかは短い。


「わかった。光、飛べる?」


「うん」


楓の言葉に光は頷いた。そして、楓が砲撃杖を構える。


「チャージに必要な時間は約20秒。それまで守りきれる?」


「当り前よ。そっちの子は?」


少女が振り返りながら挑発的な笑みを浮かべた。その笑みに同じような笑みで返す。


「20秒? 10分でも1時間でも、楓と一緒なら守りきれる」


「頼もしいわね。フェンリル、自由に行動しなさい!」


少女の言葉に狼が動いた。そのまま魔物の群れに突っ込む。光はレーヴァテインの投影を開始する。


「光よ集え。全てを遍く照らす光。全ての始まりである光」


楓は詠唱を開始している。それに気付いた魔物達は一斉に楓を狙うように動こうとした。だけど、光がレーヴァテインの投影を今まで以上に作り出している。


「私の絶対制空権を作り出す」


「生命の母である光。星空をやさしく照らす光」


「レーヴァテイン、オーバードライブ」


タイミングが揃った。さっきは使用できなかったレーヴァテインの最終形態。デバイスが持ち主の意志に応えようととした結果。誰かを守りたいという思いが力となっている。


「本当の地獄を見せてあげる」


そして、レーヴァテインが放たれた。


今までの破壊力とはケタ違いの爆発が魔物達に襲いかかる。それはレヴァンティンと同じ、世界を滅ぼす力の結晶。


「光は集いて槍となす。全てを無に帰す力となせ。光、冬華(とうか)、上がって!」


その言葉に二人は同時に上がった。そして、フェンリルも。


「コズミックバスター!」


それは、光の嵐。それは、全てを貫く光の槍。それは、膨大な熱量に指向性を持たせたもの。そして、凄まじい光が魔物達を焼き尽くした。


楓が砲撃杖を下す。


「ふう、これで、倒したかな」


「楓!」


光の声に楓は振り返った。振り返った先にいるのは一体のデーモン。その槍は目の前まで迫っている。


討ち漏らした。その考えが楓の中を駆け回り、デーモンの槍が吹き飛ばされた。地上からのエネルギーの塊によって。


「えっ?」


そして、驚く楓の目の前でデーモンが由姫によって殴り飛ばされた。そのまま由姫は落下する。


「お兄ちゃん、受け止めて。受け止めて!」


「了解」


レヴァンティンのモードⅡカノンをしまった周はそのまま跳び上がって由姫を抱きとめた。そのまま3人がいる空中まで登ってくる。


「助かった。隊員を助けてくれて。あんたらは?」


「『ES』過激派独立機動隊第48部隊隊長長峰冬華よ。そっちの名前は知っているからいいわ。こっちは隊員の木村楓」


「お二人は日本人なんですね」


由姫が感心したように言う。でも、周は固まっていた。


「楓、なのか?」


「久しぶりだね。周君。そこの子は、茜ちゃんじゃないよね」


「ああ。白百合由姫。一応、義理の妹だけど」


由姫がそのことに口を開こうとした瞬間、周囲が闇に染まった。まるで、何かに呑み込まれたように。


「なっ」


周が周囲を見渡す。だが、楓と冬華の二人はいたって平然としていた。


「始まったね」


「ええ。狭間の夜が」


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