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密殺ジャンヌ・ダルク

〈ホット不味し缶珈琲評論家ぶり 涙次〉



【ⅰ】


「番軍」の魔界軍に對する戰績は、今のところ0勝2敗である(前回參照)。この儘では番頼母に支拂つた* 3千萬圓の髙額スカウト料が無駄になつてしまふ。カンテラ、梃子入れ策として、教練特別顧問としてじろさんを送り込んだ。番「何故あんた自身ぢやなく此井さんなんだ?」-カンテラ「白兵戰の基本は體術にある。あんたは教練振りと云ひ、実戰での兵運びと云ひ、間違つてはゐない。要は兵が弱兵過ぎるだけだ。」-「俺の剣は、左利きだ。** 白虎との合力と云ひ、かう云つちやなんだが、神祕のヴェールに包まれてゐて、初心者には理解不能だらう」-「その點じろさんの『古式拳法』には理論がちやんとある。警察で教へてゐると云ふ實績もある。何であんたが大原虎鉄に體術を教へさせないか、其処ら邊疑問なんだが-」-番「相分かつた。此井さんを受け容れやう」。



* 當該シリーズ第21話參照。

** 當該シリーズ第6話參照。



【ⅱ】


と云ふ譯で、じろさん、大原と組んで「番軍」の兵逹に稽古を付けた。見る見る内に、兵逹は強くなつて行つた。カンテラの讀みは圖星だつた譯である。ところが、何だか大原の調子が可笑しい。もぢもぢしてゐるやうだ。「大原くん、だうかしたのか?」じろさん。-「此井先生、折入つてご相談したい事が一つ」-「何だい? 私で良ければ何でも云ふがいゝ」-「實は... 僕、敵將に惚れてしまつて」-じろさんずつこけた。だが、魔界の女性將軍・果野睦夢は* かつて黑ミサの「祭壇」役だつた程の美女である。大原の想ひも、むべなる哉、と云つたところ。



* 前シリーズ第188話參照。



【ⅲ】


* 黑ミサ撤癈に踏み切つた「ニュー・タイプ【魔】」逹であつたが、ジャンヌ・ダルクが百年戰爭時、佛軍を勝利に導いたやうに、自軍の兵らに勇猛心を起こさせる為、果野睦夢將軍と云ふ、さもしい人事に頼つた事は、想像するに難くない。



* 當該シリーズ第22話參照。



※※※※


〈ネトウヨに地球の不思議見せつける品性下落したしぶとさよ 平手みき〉



【ⅳ】


じろさん、カンテラへの第一報告は、まづそんなところであつた。-カンテラ「なる程ね。これは一種の『憑依』と云つていゝなあ。放つて置くと危険だ。俺が一丁、果野を片付けて來るよ。この場合、我々の方は出來るだけ少人數の方がいゝ。謂はゞ『密殺』だ」。



【ⅴ】


カンテラ、一人で魔界に降り、時が來るのを物蔭で待つた。そして-「あら、また貴方なの、カンテラさん。わたしを斬る積もりね」果野。「その通りだ。『番軍』の未來が掛かつてゐる。惡く思はないで慾しい」-「わたしを斬つても、第二第三の果野睦夢が現れるわよ」-「分かつてゐるさ。その時はその時だ」-そして「しええええええいつ!!」-カンテラ、果野を斬つた。



【ⅵ】


果野を斬つたせゐで、魔界軍、「よくも我らが大將を!」と猛り狂つた。だが、こゝから先は『番軍』の専門領域だ。カンテラ、じろさん、敢へて手は出すまい、と、番に事を任せた。



※※※※


〈パンクスは平和の尖兵革ジャンよ 涙次〉



【ⅶ】


そろそろ『番軍』、惡名挽回と行きたいところ。だがそれはまた別日の話題としやう。お仕舞ひ。



PS: カンテラの果野密殺に依り宙に浮いた形となつた大原の「想ひ」。彼は密かに、自分のこれからには、カンテラ一味への叛逆も有り得ると、考ヘてゐた、と云ふ。だがこれも詳しくは後日。一味は一日も早く、この報酬もない不毛な戰さを切り上げなくてはならなかつた... 擱筆。


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