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第七十九話 原因

「……そうだ。ゼクルに訊いておきたいことがある」

 俺は先刻の王城における一幕をゼクルに説明する。


「ゼクルとルージュのメッセージを見つけた後、一階に降りて探索を進めようと思ったとき――――頭部が影に染まった男に斬りかかられたんだ」

「……ほう」


「そいつの剣術は、”剣聖”の役割を獲得した俺と同等の練度だった。王城から脱出するときにリーシャが封印魔法を放ってくれたんだが――――今頃魔法は解けているはずだ」


 奴の右手に刻まれた紋章。


 それは剣聖のものと同じ、月に寄り添う剣をかたどったものだった。


「そいつについて何か思い当たることはないか?」

「んー……。すまねぇが、思い当たる節はないな……」


「そっか……。その男には関わらないようにしろってレスカディアには言われたんだけど……あ、レスカディアって言うのは明龍族の良い奴でだな……」

「わかるよそれは。お前達が龍の背に乗ってエレンドまで飛んできたのを見たんだから。その姿を見たから宿まで走って帰ってきたんだよ」


 なんで龍を仲間に引き込んでんのかまでは知らないが……と言ってゼクルは苦笑した。


「……ゼクルも、アイツに突然襲われる可能性は考慮しておいた方がいいと思うわ」

「わかった。備えておく。タンク役でもあるからな」


 リーシャの言葉に、ゼクルが親指を立てて返答する。


「そいつにエンカウントする危険性があるから、イリエスに行くのはリスクが伴う……だけど、ルージュの手がかりが残っている可能性が最も高いのはイリエスだ」

「だろうね……ルージュが知っているかもわからない地域まで探索するのは非効率的かな」


 シルヴィアが顎に人差し指を添えて言う。


「だから……俺としては危険を冒してでもイリエスに帰るべきなんじゃないかと思う。ゼクルも加わったから戦力も増強できたし、探索は不可能じゃないと思うんだ」

「……私も、イリエスを隈なく探索するのが良いと思う」

 俺の提案にリーシャが頷いた。


「魔物の再発生の原因を調べるためにも、パーティーのメンバーを揃えるのは重要だろうからね……。私もイリエスに戻るのに賛成かな」

「俺も賛成だ」


 パーティー全体の同意が得られたから……じゃあ、イリエスに戻るか。


「…………なあ、ゼクルはどうやってエレンドまで来たんだ? 馬車とか雇ったのか?」

「ん? 走ってきたけど」


 やっぱり”脳筋”じゃないか。


「……流石にちょっと疲れたから、馬車を雇いましょう?」

「「……賛成」」


 リーシャの提案に俺とシルヴィアの同意が重なる。


 ゼクルは不思議そうな顔をして俺たちを見つめていた。

 なんだその顔は。お前みたいに身体能力お化けじゃないんじゃい。

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