第七十話 ~剛拳視点~
「…………よっ、とぉ」
品物が大量に入った木箱を店先に置く。そこそこ重かったな。
「あんちゃん……何者だ? 四個も同時に運ぶなんて……200kgはあったんじゃないか?」
「身体能力が高いことだけが唯一の取り柄でね……それも渡してくれ」
店主から木箱を渡してもらい、これも同様に店の前に積んだ。
「よし。これで大丈夫か?」
「助かったよ……けど、本当に力持ちだねぇ……」
イリエスの王城から逃れた先、エレンド王国。そこで俺は今――――店の手伝いをしている。
仲間を捜索しろよと言いたいところかもしれないが……ちょっと待ってほしい。恐らく俺がここで下手に動き回っても意味がない。手当たり次第に人を捜し回るにはこの世界は広大すぎるし、俺は面倒くさがりすぎる。
炎上する王城に書き置きは残してきたし、きっとユキヤとかが見つけるだろう。多分……見つけてくれるよな?
俺がやるべき事は一つ。
この国まで誰かが捜しに来てくれたときに入れ違いにならないようにすることだ。
「なぁあんちゃん、本当に賃金は要らないのかい?」
「ああ。でも一つだけ頼まれてほしい。人捜しをしてるんだが……」
店主の仕事を手伝ってこの頼みをするのも二十回目を超えた。人相の説明はお手の物と言えるだろう。
「探しているのは四人だ。全員はそろってなくても、多分複数人で行動しているはず。一人は黒髪短髪の優男。黒衣を身につけてすかした顔した奴だ」
正直ユキヤはあまり見つけてもらえそうにない(黒髪以外の特筆すべき特徴がない)から、テキトウでおっけー。
「で、特に注意してほしいのは残りの三人。全員直視したら目眩がするほどの別嬪さんだから見たらすぐ分かると思う。一人は金髪ロングで修道服を着てる。一人は青髪ショートヘアで耳が長いエルフ」
……四人って言ったけど、リーシャが居るかは分からないんだよなぁ。
俺の予想だと居る。
「最後の一人は緑髪ロングヘアのエルフ……覚えた? ここに特徴まとめといたから、この紙見て思い出してくれぃ」
店主のおっちゃんに紙片を渡す。
「なるほど……分かった。この人達を見たらあんちゃんに伝えればいいのかい?」
「ああ。俺はそこの”ステリア”って宿に泊まってるから、出来たらそこに伝えに来てほしい」
「了解した。ありがとなあんちゃん。一日かかるはずだった作業がもう終わっちまった」
「いいんだよ。じゃ、そいつら見つけたらよろしく~」
この行動にどれだけの意味があるのかは分からないが……やらないよりはましだろう。
人手が足りなさそうな店を探しに歩き始める。




