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第六話 エルフの長老

「じゃあ、行動開始といこうか。里の中で行っておきたい所とかある?」

 俺がそう言うと、リーシャは顎に手を当ててふむ、と考え出した。

「んーと……長老のところに行きましょう。新しい情報があるかもしれないし。あと旅をすることになりそうだから挨拶しないと」

「そうだな。長老の家に向かおうか」


 簡素かつ上品な部屋――リーシャの部屋だったわけだが――を出ると、長大な廊下が見える。前来た時めちゃくちゃ迷った記憶があるなここ。

 住んでいる当人であるところの彼女は、迷路のような複雑さに少しも惑わされることなく(当然と言えばそうだけど)、城の出口までたどり着く。


「長老の家の場所、覚えてる?」

「覚えてる。ルージュのパーティー同行を許可してもらうために何回も通ったからな」


 エルフは結束の強い種族だ。だから、危険の伴う旅にルージュを連れ出そうとした際は物凄い反対に遭った。

 なんどもなんども長老の家を訪れて、魔王討伐には彼女の力が不可欠だと主張し続けた末に、ようやくお許しをもらったのだ。


「……結局危険に巻き込んじゃったわけだし、顔を合わせづらくはあるけど」

「でも――長老はずっと、あなたに感謝していたわよ」


「え? あの長老が? あの堅物爺さんが?」

「ええ。長老も、姉様が里の中で一生を終えていいような器じゃないって分かってたから。姉様の才能を見いだして連れ出してくれたあなたに、結構感謝してたみたい」


「……そう、か」

 頭ごなしに反対を掲げてたように見えて、ちゃんと考えてたんだな……。

「じゃあ――なおさら、ルージュを早く見つけなきゃなんないな」

「そうね。あなたの耳が長老のお小言で埋め尽くされる前に」



「……ユキヤ」

 長老は神妙な顔つきで俺たちを出迎えた。


 ルージュは必ず見つけ出します。俺たちに任せてください。


 その決意を口にしようとした俺は、次の長老の発言に呆気にとられて言葉を発せなくなってしまった。

「無事だったのだな……安心したぞ」

「は……え?」


「なんだその素っ頓狂な顔は」

「いえ……俺の身を案じてくださるとは思ってなくて」

「お前なしに誰がルージュの手綱を握るというのだ。アイツの無理難題に答えられるのはお主しかおらんだろう」

「そ、そっすか……」


 ルージュのお守り役が欠けたら困るって事ね……。

「素直じゃないわね、長老サマ」

 リーシャが呆れたように呟いた。

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